来年4月に始まる特定健診・保健指導制度で、医療機関の受診を勧める必要性を判断する「受診勧奨判定値」について、日本人間ドック学会(奈良昌治理事長)が、国の判定値より緩やかな独自の判定値を定めた。国の判定値は厳しすぎ、すぐには受診の必要のない人まで「病人」と判定する恐れがあると判断した。近く同学会誌で公表する。公的な大規模健診の開始前に、学会が別の基準を決めるという異例の事態となった。
特定健診は40〜74歳の全員が対象で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を中心とした生活習慣病対策として実施される。
同学会は、関連学会の治療指針などを参考に独自の判定値を設定した。例えば、国は最高血圧の判定値を「140」とするが、同学会は「160」を採用した。人間ドックの結果判定用に同学会がまとめたガイドラインの改訂版に盛り込む。
さらに、同学会は国内外の大規模臨床研究を分析。国の受診勧奨値を超えても、6カ月以内なら、投薬治療をした群としない群で、脳卒中や心筋梗塞の発症率に差がないことを確認した。
このため、国の判定値を超えても、学会の判定値より低い場合は、程度に応じて3〜6ヶ月の経過観察期間を設ける。生活改善を指導するが、受診勧奨はしない。
厚生労働省は、判定値を超えても、実際に受診を勧めるかどうかは、異常の程度や年齢などを考慮し、健診機関の医師が個別に判断することを求めている。しかし、数値だけで機械的に受診を勧めたり、投薬を始める医師が相次ぐ可能性が指摘されている。
同学会ガイドライン作成委員長の山門実・三井記念病院総合健診センター所長は「病人を減らし、医療費を削減することが新制度の目的だが、このままでは病院の受診者も医療費も大幅に増えかねない。一般の健診でも、学会の判定値を参考にしてほしい」と話す。
(国より緩やかな独自の判定値 受診勧奨)
日本人間ドック健診協会の発表によると、来年度から始まる40〜74歳の新しい健康診断(特定健診)の結果、受診者のおよそ5割が医療機関での診察が必要になる恐れがあることが分かったそうです。
日本人間ドック健診協会は、過去1年間に全国12ヶ所の大手健診機関で人間ドックを受診し、特定健診の方法に準拠した検査を受けた約5万3,000人分のデータを分析したそうです。結果、血圧や中性脂肪、血糖などの検査数値について、厚生労働省が医療機関を受診する目安として定めた「受診勧奨判定値」を一つでも超えた受診者の割合が、49.7%に上り、65歳以上の高齢者では、54.6%とのこと。
もともとはメタボリック・シンドロームの予防に重点を置くために特定健診を導入し、健診後の保健指導を強化するという目的がありました。結果、一次予防の拡充で医療費の抑制ができるのではないか、と期待していたわけです。
ところが、もし「異常」という判定を受けて、中高年の方の半分が医療機関を受診すれば、抑制どころか医療費の高騰につながる恐れがあります。
こうした「検査値の基準値」に関する問題は、以下のようなものが最近でもありました。
特定健診は40〜74歳の全員が対象で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を中心とした生活習慣病対策として実施される。
同学会は、関連学会の治療指針などを参考に独自の判定値を設定した。例えば、国は最高血圧の判定値を「140」とするが、同学会は「160」を採用した。人間ドックの結果判定用に同学会がまとめたガイドラインの改訂版に盛り込む。
さらに、同学会は国内外の大規模臨床研究を分析。国の受診勧奨値を超えても、6カ月以内なら、投薬治療をした群としない群で、脳卒中や心筋梗塞の発症率に差がないことを確認した。
このため、国の判定値を超えても、学会の判定値より低い場合は、程度に応じて3〜6ヶ月の経過観察期間を設ける。生活改善を指導するが、受診勧奨はしない。
厚生労働省は、判定値を超えても、実際に受診を勧めるかどうかは、異常の程度や年齢などを考慮し、健診機関の医師が個別に判断することを求めている。しかし、数値だけで機械的に受診を勧めたり、投薬を始める医師が相次ぐ可能性が指摘されている。
同学会ガイドライン作成委員長の山門実・三井記念病院総合健診センター所長は「病人を減らし、医療費を削減することが新制度の目的だが、このままでは病院の受診者も医療費も大幅に増えかねない。一般の健診でも、学会の判定値を参考にしてほしい」と話す。
(国より緩やかな独自の判定値 受診勧奨)
日本人間ドック健診協会の発表によると、来年度から始まる40〜74歳の新しい健康診断(特定健診)の結果、受診者のおよそ5割が医療機関での診察が必要になる恐れがあることが分かったそうです。
日本人間ドック健診協会は、過去1年間に全国12ヶ所の大手健診機関で人間ドックを受診し、特定健診の方法に準拠した検査を受けた約5万3,000人分のデータを分析したそうです。結果、血圧や中性脂肪、血糖などの検査数値について、厚生労働省が医療機関を受診する目安として定めた「受診勧奨判定値」を一つでも超えた受診者の割合が、49.7%に上り、65歳以上の高齢者では、54.6%とのこと。
もともとはメタボリック・シンドロームの予防に重点を置くために特定健診を導入し、健診後の保健指導を強化するという目的がありました。結果、一次予防の拡充で医療費の抑制ができるのではないか、と期待していたわけです。
ところが、もし「異常」という判定を受けて、中高年の方の半分が医療機関を受診すれば、抑制どころか医療費の高騰につながる恐れがあります。
こうした「検査値の基準値」に関する問題は、以下のようなものが最近でもありました。
メタボリックシンドロームの診断基準を決めた日本内科学会など8学会が、基準再検討へ動き出したことが分かっています。世界の人種別基準を作っている国際糖尿病連合は今年6月、日本人の基準を他のアジア人と同様に男性90cm、女性80cmとすることを発表しています。現行では、女性で90cm以上なのに対し、男性は85cm以上と、諸外国に比べても厳しい基準となっています。実は、国際的にみても、男性の方が厳しい基準となっているのは日本だけです。
内科学会はこれを受け、「早急に関係学会の意見を取りまとめて見解を出す必要がある」と再検討を呼びかけたといいます。腹囲だけでなく、他の検査数値も議論があり、「メタボリックシンドローム」が生活習慣病への認知度を上げ、国民の予防意識を高めた意味は大きいが、さらに一歩踏み込んで、科学的な検討を加えることが必要、という意見もあります。
健康診断などを受けると、こうした「検査値の異常」で悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。やはり、"異常"などと言われてしまうと、「何か深刻な病気でも抱えているのではないか」と思ってしまうものです。
ですが、「検査値が正常範囲(基準値)にない=何かの病気」ということでは決してありません。健康診断や病院で行う血液検査には基準値があり、検査結果の値を基準値に照らし合わせて、正常か異常かを判断するのが一般的です。しかし、健康な人すべてが基準値の範囲内に入るのではなく、健康でも基準値から外れる人もいます。
たしかに、「生活習慣を見直す」ということは重要ですが、考えすぎてしまったり、神経質になってしまうべきではないと思われます。病気の診断は、症状やその経過、診察や検査結果などを総合して行います。健康診断で異常値があっても、あまりナーバスになりすぎないようにしたいですね。
【関連記事】
「白血球が基準値より少ない」とお悩みの方へ
メタボリック症候群の診断基準をまたまた再検討?内科学会
内科学会はこれを受け、「早急に関係学会の意見を取りまとめて見解を出す必要がある」と再検討を呼びかけたといいます。腹囲だけでなく、他の検査数値も議論があり、「メタボリックシンドローム」が生活習慣病への認知度を上げ、国民の予防意識を高めた意味は大きいが、さらに一歩踏み込んで、科学的な検討を加えることが必要、という意見もあります。
健康診断などを受けると、こうした「検査値の異常」で悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。やはり、"異常"などと言われてしまうと、「何か深刻な病気でも抱えているのではないか」と思ってしまうものです。
ですが、「検査値が正常範囲(基準値)にない=何かの病気」ということでは決してありません。健康診断や病院で行う血液検査には基準値があり、検査結果の値を基準値に照らし合わせて、正常か異常かを判断するのが一般的です。しかし、健康な人すべてが基準値の範囲内に入るのではなく、健康でも基準値から外れる人もいます。
たしかに、「生活習慣を見直す」ということは重要ですが、考えすぎてしまったり、神経質になってしまうべきではないと思われます。病気の診断は、症状やその経過、診察や検査結果などを総合して行います。健康診断で異常値があっても、あまりナーバスになりすぎないようにしたいですね。
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