大阪大は14日、心臓が収縮する力が弱まる拡張型心筋症の男性患者(56)に、患者本人の足の筋肉細胞からつくったシートを心臓に張って心筋の働きを再生させる治療に成功し、20日に退院できる見通しになったことを明らかにした。男性は心臓移植が必要と判断され、当初は補助人工心臓を装着していた。現在では取り外して病院の周囲を散歩できるまでに回復したという。
こうした治療の成功例は世界初とみられ、再生医療の実現が本格化してきたことを示す画期的成果といえそうだ。主治医の藤田知之助教は「自らの細胞を使って重い心臓病を治療できる可能性を示せた」としている。
患者は大阪府松原市の男性で、昨年2月22日に大阪大病院に入院。心臓を動かす機能が低下したため補助人工心臓を装着。8月には脳死心移植の待機患者となった。
心臓血管外科の澤芳樹教授らは、筋肉が傷ついたときに修復する働きを持つ筋芽細胞を、男性の左大腿部から採取。培養して増やし、直径約3・5センチ、厚さ0・1ミリ以下の円形のシートを20−30枚つくった。今年5月30日に男性の左心室外側を覆うようにシートを張る手術を実施。3カ月後には心臓が収縮する力が回復。9月5日に人工心臓を外すことができた。
大阪大は同様のシートで、2年間で6人の患者を治療する計画。
(心臓病の再生医療に成功 足の筋肉細胞シートで機能回復)
拡張型心筋症は、原因不明(特発性)の心筋疾患であり、主な病態は心筋収縮力の低下(心筋が縮めずに、伸びきったゴムのようになってしまう)です。その結果、左室内腔の拡大をきたし、大きくなった状態になります。
左室拍出血液量の減少や左室拡張期圧の上昇をきたしやすく、うっ血性心不全を引き起こしやすい状態にあります。心不全のほか重篤な不整脈、血栓塞栓症をきたし、予後はきわめて不良であるといわれています。
そこで、治療の第一選択となるのは心臓移植となりますが、ドナー不足が深刻な移植待ちの代替医療として『医龍』でも有名なバチスタ手術が期待されました。しかしながら、バチスタ手術は予後が悪いといわれています。そのため、心臓移植の代替医療にはなりえず、国際的なマイナス評価はほぼ定着してしまったように思います。
主な問題点としては、手術死亡率が高く、左室拡張障害、心不全の再発が高率であるといわれています。一部の施設では施行されていますが、適応となる症例も限られてきているそうです。また、他の方法(左室縮小手術など)が試されているそうです。
上記の方法は、難治性心不全に対するdynamic cardiomyoplastyと似ているようにも思います。この手術は、以下のようなものです。
こうした治療の成功例は世界初とみられ、再生医療の実現が本格化してきたことを示す画期的成果といえそうだ。主治医の藤田知之助教は「自らの細胞を使って重い心臓病を治療できる可能性を示せた」としている。
患者は大阪府松原市の男性で、昨年2月22日に大阪大病院に入院。心臓を動かす機能が低下したため補助人工心臓を装着。8月には脳死心移植の待機患者となった。
心臓血管外科の澤芳樹教授らは、筋肉が傷ついたときに修復する働きを持つ筋芽細胞を、男性の左大腿部から採取。培養して増やし、直径約3・5センチ、厚さ0・1ミリ以下の円形のシートを20−30枚つくった。今年5月30日に男性の左心室外側を覆うようにシートを張る手術を実施。3カ月後には心臓が収縮する力が回復。9月5日に人工心臓を外すことができた。
大阪大は同様のシートで、2年間で6人の患者を治療する計画。
(心臓病の再生医療に成功 足の筋肉細胞シートで機能回復)
拡張型心筋症は、原因不明(特発性)の心筋疾患であり、主な病態は心筋収縮力の低下(心筋が縮めずに、伸びきったゴムのようになってしまう)です。その結果、左室内腔の拡大をきたし、大きくなった状態になります。
左室拍出血液量の減少や左室拡張期圧の上昇をきたしやすく、うっ血性心不全を引き起こしやすい状態にあります。心不全のほか重篤な不整脈、血栓塞栓症をきたし、予後はきわめて不良であるといわれています。
そこで、治療の第一選択となるのは心臓移植となりますが、ドナー不足が深刻な移植待ちの代替医療として『医龍』でも有名なバチスタ手術が期待されました。しかしながら、バチスタ手術は予後が悪いといわれています。そのため、心臓移植の代替医療にはなりえず、国際的なマイナス評価はほぼ定着してしまったように思います。
主な問題点としては、手術死亡率が高く、左室拡張障害、心不全の再発が高率であるといわれています。一部の施設では施行されていますが、適応となる症例も限られてきているそうです。また、他の方法(左室縮小手術など)が試されているそうです。
上記の方法は、難治性心不全に対するdynamic cardiomyoplastyと似ているようにも思います。この手術は、以下のようなものです。
dynamic cardiomyoplastyとは、広背筋で心室を被覆し、心拍動に同期させてペーシングする方法です。簡単に言ってしまえば、心筋の力だけでは不足なので、そこに広背筋で覆ってあげて、力を補ってあげる、というものです。
ところが、広背筋は心筋とは異なり、たしかに瞬発的な力を発揮するのは得意ですが、心筋に持久力は劣ります。そのため、長い期間拍動しつづけるのは難しいそうです。
上記の方法でも、左大腿部から採取して培養しているため、組織としては骨格筋なのではないでしょうか。となると、長期的にみて本当に維持することができるのか、といった疑問点があるのではないでしょうか。
ですが、広背筋を切り出してくるよりも侵襲が少なくて済むでしょうし、替えが効きやすいという利点もあるでしょう(もちろん、再手術が可能かどうかという問題はありますが)。今後、心臓手術の代替手術として利用できることが、期待されます。
【関連記事】
拡張型心筋症とは
1つの幹細胞から心臓を造り出す技術開発に成功−イギリス
ところが、広背筋は心筋とは異なり、たしかに瞬発的な力を発揮するのは得意ですが、心筋に持久力は劣ります。そのため、長い期間拍動しつづけるのは難しいそうです。
上記の方法でも、左大腿部から採取して培養しているため、組織としては骨格筋なのではないでしょうか。となると、長期的にみて本当に維持することができるのか、といった疑問点があるのではないでしょうか。
ですが、広背筋を切り出してくるよりも侵襲が少なくて済むでしょうし、替えが効きやすいという利点もあるでしょう(もちろん、再手術が可能かどうかという問題はありますが)。今後、心臓手術の代替手術として利用できることが、期待されます。
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