平均寿命が最も長い都道府県は、男性は長野で79・84歳、女性は沖縄で86・88歳であることが17日、厚生労働省が公表した「平成17年都道府県別生命表」で分かった。
 
都道府県別生命表は昭和40年から5年ごとに作成され、今回が9回目。長野の男性は平成2年から4回連続、沖縄の女性は昭和50年から6回連続のトップ。最下位は男女とも青森(男性76・27歳、女性84・80歳)だった。平成12年の前回と比べ、すべての都道府県で平均寿命は延びた。
 
男性の2位は滋賀(79・60歳)で、以下神奈川、福井、東京の順。女性の2位は島根(86・57歳)で、熊本、岡山、長野と続いた。長野は女性も5位で男女とも長寿ぶりが目立った。女性でトップの沖縄は、男性が25位にとどまった。
 
青森の男性は7回連続、女性は2回連続の最下位。男性は続いて秋田、岩手、高知、鹿児島。女性は栃木、秋田、大阪、茨城の順だった。
 
平成12年からの5年間で、平均寿命の延びが最も大きかったのは、男性は滋賀と岡山で1・41歳、女性は大分と鳥取の1・36歳だった。男性で前回15位だった東京は、今回5位と大幅に上昇。このほか順位が大きく変わったのは、男性の滋賀(前回44位から32位)、岡山(同21位から11位)、女性の大分(同25位から15位)だった。

生命表は、出生や死亡に関する統計データを基に「平均余命」を算出したもの。ゼロ歳児の平均余命が平均寿命を意味する。厚労省は毎年、日本人全体の「簡易生命表」を公表。平成18年の寿命は、女性が85・81歳と世界1位、男性は79・00歳で同2位だった。
(男は長野、女は沖縄 全国長寿ランキング)


平均寿命とは、「ある集団に生まれた人間が平均して何年生きられるかの期待値」です。平均寿命は、国や地域の医療・衛生水準を示す指標として用いられています。
一方、平均余命とは、「ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値」のことです。よって、「平均寿命」=「0歳児の平均余命」であるとも言えます。

「平均寿命」の具体的な計算法は、各年齢の人間の年間死亡率を求め、今年生まれた人間の人口が「この死亡率に従って毎年どれだけ死亡するか」を求めます。このシミュレーションで(年間死亡率が変化しないと仮定)、それぞれの死亡した年齢を平均したものが平均寿命となります。

一方「平均余命」は、生命表の数値を利用して、計算されています。生命表には、10万人が生まれたとき、ある年齢に達するまで何人生存し、その年齢で何人が死亡するかが計算されています。また、毎年10万人が生まれる集団において、ある年齢の人口が何人になるか(定常人口)も計算されています。

どうして沖縄の男性の平均余命が減少したのかというと、以下のような原因があるからであると言われています。
以前は長寿県として有名だった沖縄県は、かなりのランクダウンしています(女性は相変わらず1位ですが)。その背景として、ファーストフード店が人口に対する店舗数が、全国に比較してかなり多い(1.7倍といわれています)ことがあげられています。つまり、今までのようなバランスのとれた栄養を、摂っている人が少なくなってしまった、ということが原因の一つであると指摘されています。

こうした食生活と非常に大きな関連がある、と考えられているメタボリックシンドロームは、「内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態」をいいます。

それぞれ単独でも、リスクを高めますが、これらが多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まるため、リスクが重なった状態はハイリスク群として予防・治療の対象と考えられています。近年では、特に内臓脂肪の蓄積による肥満が共通の基盤として着目されています。

島袋充生・琉球大医学部講師たちがまとめた沖縄県の約7,000人を対象にした疫学調査では、心筋梗塞など心臓血管系の病気になる危険性が男性で約2.5倍、女性で約1.8倍に増加するとのことです。動脈硬化とは、動脈が肥厚し硬化した状態です。これによって引き起こされる様々な病態を動脈硬化症といいます。

さらに、来年からは政府の医療制度改革の目玉でもある「特定健診・保健指導」が4月から開始されます。

生活習慣病は、一般診療医療費の3割を占めると言われています。その生活習慣病の発症リスクが高まるとされるメタボリック症候群を予防するため、企業の健康保険組合や国民健康保険を運営する自治体に、40〜74歳の健診を義務化する制度を上記の「特定健診・保健指導」と称しているわけです。

今後、こうした指導によってどれくらいの効果がもたらされるのか、非常に興味深いところです。

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