読売新聞の医療相談室に、以下のような相談が寄せられていました。
この質問に対して、弘前大病院産婦人科教授の水沼英樹先生は、以下のように答えてらっしゃいます。
本来柔らかく細い軟毛が、太く長い毛になる状態を多毛症と呼び、男女や部位に関係なく体毛が濃くなるものをいわゆる多毛症、特に女性で卵巣や副腎の異常により男性ホルモン分泌が亢進して、顎髭や手足の毛などが毛深くなるものを男性型多毛症と呼びます。
鑑別や治療に関しては、以下のようなものがあります。
このごろ、あごひげが生えてきました。心配ですが、誰にも相談できず、どこの診療科にかかればいいのか、わかりません。考えられる原因と治療法を教えて下さい。(47歳主婦)
この質問に対して、弘前大病院産婦人科教授の水沼英樹先生は、以下のように答えてらっしゃいます。
女性で、あごなど通常では見られない場所に濃い体毛が生えてくる状態を多毛と呼びます。女性にとって美容上とても気になる症状であり、程度が著しいと多毛症として治療の対象になります。
先天的な異常による発症もありますが、質問者のように、思春期以降に起こったのなら、男性ホルモンの分泌過剰や、ある種の薬剤の服用が原因となります。
よく見られるのは、更年期障害の治療目的で男性ホルモンを含む注射を受けている場合で、同時に声も太くなることが特徴です。てんかんの治療薬、免疫抑制剤などの服用でも見られます。薬剤が原因ならば、薬剤の変更や減量ができるかどうか、主治医と相談して下さい。
一方、正常の女性でも卵巣や副腎からは少量の男性ホルモンが分泌されていますが、分泌量が異常に増えると、多毛症やニキビ、女性器の一部・陰核が肥大するなど男性化兆候が出てきます。副腎などにできた腫瘍(しゅよう)から男性ホルモンが作られることもあります。まず、ホルモン検査で、男性ホルモンの分泌状態を調べ、分泌過剰であれば画像診断などでその部位を特定し、男性ホルモンを作り出す腫瘍の有無を調べます。
本来柔らかく細い軟毛が、太く長い毛になる状態を多毛症と呼び、男女や部位に関係なく体毛が濃くなるものをいわゆる多毛症、特に女性で卵巣や副腎の異常により男性ホルモン分泌が亢進して、顎髭や手足の毛などが毛深くなるものを男性型多毛症と呼びます。
鑑別や治療に関しては、以下のようなものがあります。
もし男性ホルモン(アンドロゲン)が過剰状態であったならば、それに依存したパターン(男性と同じように体毛が濃くなる)を示すのが特徴的です。もし過剰の体毛の分布が健常男性でみられるパターンに一致しておらず、前頭部や側腹部に柔軟な直毛が観察されるといった場合には、アンドロゲンとは無関係な多毛、すなわち家族性や薬物性の原因が考えられます。
治療に関して、水沼先生は以下のように答えてらっしゃます。
基本的に、原因疾患を探し、それを根治することが主立った治療となります。
腫瘍などが原因でない場合、内科的治療法として卵巣および副腎性アンドロゲンの産生抑制などが行われます。卵巣機能の抑制薬として、経口避妊薬、GRH(gonadotropin releasing hormone)製剤が用いられ、副腎機能抑制薬としては糖質コルチコイドが用いられます。アンドロゲン受容体拮抗薬としてスピノラクトン、フルタミドが有効です。
やはり女性としては気になってしまうことかと思われます。また、基礎疾患の検索(副腎腫瘍など)もやっておいたほうがいいでしょう。ぜひ、病院へ行かれることが望まれます。
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治療に関して、水沼先生は以下のように答えてらっしゃます。
治療は、該当する腫瘍があれば摘出し、悪性かどうか調べます。腫瘍がないなら、男性ホルモンの分泌や作用を抑える薬を使います。
受診先は、多毛のみなら皮膚科、ほかの男性化兆候もあれば、内分泌を専門とする内科、あるいは婦人科を受診して下さい。
基本的に、原因疾患を探し、それを根治することが主立った治療となります。
腫瘍などが原因でない場合、内科的治療法として卵巣および副腎性アンドロゲンの産生抑制などが行われます。卵巣機能の抑制薬として、経口避妊薬、GRH(gonadotropin releasing hormone)製剤が用いられ、副腎機能抑制薬としては糖質コルチコイドが用いられます。アンドロゲン受容体拮抗薬としてスピノラクトン、フルタミドが有効です。
やはり女性としては気になってしまうことかと思われます。また、基礎疾患の検索(副腎腫瘍など)もやっておいたほうがいいでしょう。ぜひ、病院へ行かれることが望まれます。
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