最高裁判所によると、医療関係の訴訟は1992年の371件から2003年には987件と、ほぼ3倍に増えている。医療不信が強まる中、どれほどの人が医者に対して、不満を持っているのだろうか?
医者に「感謝したい」と思った経験がある人は83%、一方「不満」を持った経験たある人は88%と、多くの人が両方の経験があるようだ。医者に感謝したいと思った人のうち32%は、“感謝の気持ち”を実際には口にしておらず、不満を思った人の42%も、「一切伝えていない」と回答。こうした結果について調査をしたQLife(キューライフ)は「コミュニケーションギャップが存在する」としている。
病院の口コミ検索サイトを運営するQLife(キューライフ)は「医師とのコミュニケーション実態」について調査を実施した。インターネットを使った調査で、読売新聞のyorimo会員4710人が回答。調査期間は2007年11月29日から12月9日まで。
医者が医療行為などを事前に説明するインフォームド・コンセント。このインフォームド・コンセントは1980年代の半ばから普及し始めたが、5年前と比べ医者のコミュニケーションが「向上した」と回答した人は47%。具体的には「説明が丁寧、詳しくなった」を挙げる人が圧倒的に多い。このほかには「親切」「インフォームド・コンセント」「正直」といった回答が目立った。逆に否定的な意見としては「上から目線」「つまらない質問をするなという態度」「PCばかり見て、目を合わさない」という声が多かった。
「診療の際の理解度や納得度」は61%の人が、5年前と比べ「向上した」と回答。一方「低下」したと考えている人は、2%にも満たなかった。
医者との会話の時間や内容については、「増える方がいい」と回答した人は71%で、最も多かったのは30代の女性で78%に達した。増やしてほしい会話内容は「原因」「症状」「薬」などが多いほか、「回復見通し」「予測される症状変化」など将来に関するものも目立った。
(医者に「感謝したい」それとも「不満」?)
医師と患者の関係は、両者の信頼関係が基本であるというのは今も昔も変わりはないでしょう。強固な信頼関係があれば、大きなトラブル(訴訟への発展など)は生じない、と長年考えられてきていました。
患者さんの側も、ご家族を含めて「信頼してきた医療スタッフに任せてきたのだから…」ということで納得することが多かったようです。ですが、近年では患者の権利擁護への意識や情報公開への関心などが高まり、医療訴訟は急増しているようです。一説によれば、25年前と比較し3倍以上に増加しているとの統計もあります。
こうした背景において、大学での医学教育においてもインフォームドコンセントの重要性は繰り返しなされていると思われます。最近では、医学部などの大学入試においても問われている内容です。
そもそもインフォームドコンセントは、「説明と同意」と訳されることが多く、その名の通り、医療における患者の自己決定を実現し、その利益を保護するための過程を指すと考えられます。
具体的には、以下のような項目を含むと考えられます。
医者に「感謝したい」と思った経験がある人は83%、一方「不満」を持った経験たある人は88%と、多くの人が両方の経験があるようだ。医者に感謝したいと思った人のうち32%は、“感謝の気持ち”を実際には口にしておらず、不満を思った人の42%も、「一切伝えていない」と回答。こうした結果について調査をしたQLife(キューライフ)は「コミュニケーションギャップが存在する」としている。
病院の口コミ検索サイトを運営するQLife(キューライフ)は「医師とのコミュニケーション実態」について調査を実施した。インターネットを使った調査で、読売新聞のyorimo会員4710人が回答。調査期間は2007年11月29日から12月9日まで。
医者が医療行為などを事前に説明するインフォームド・コンセント。このインフォームド・コンセントは1980年代の半ばから普及し始めたが、5年前と比べ医者のコミュニケーションが「向上した」と回答した人は47%。具体的には「説明が丁寧、詳しくなった」を挙げる人が圧倒的に多い。このほかには「親切」「インフォームド・コンセント」「正直」といった回答が目立った。逆に否定的な意見としては「上から目線」「つまらない質問をするなという態度」「PCばかり見て、目を合わさない」という声が多かった。
「診療の際の理解度や納得度」は61%の人が、5年前と比べ「向上した」と回答。一方「低下」したと考えている人は、2%にも満たなかった。
医者との会話の時間や内容については、「増える方がいい」と回答した人は71%で、最も多かったのは30代の女性で78%に達した。増やしてほしい会話内容は「原因」「症状」「薬」などが多いほか、「回復見通し」「予測される症状変化」など将来に関するものも目立った。
(医者に「感謝したい」それとも「不満」?)
医師と患者の関係は、両者の信頼関係が基本であるというのは今も昔も変わりはないでしょう。強固な信頼関係があれば、大きなトラブル(訴訟への発展など)は生じない、と長年考えられてきていました。
患者さんの側も、ご家族を含めて「信頼してきた医療スタッフに任せてきたのだから…」ということで納得することが多かったようです。ですが、近年では患者の権利擁護への意識や情報公開への関心などが高まり、医療訴訟は急増しているようです。一説によれば、25年前と比較し3倍以上に増加しているとの統計もあります。
こうした背景において、大学での医学教育においてもインフォームドコンセントの重要性は繰り返しなされていると思われます。最近では、医学部などの大学入試においても問われている内容です。
そもそもインフォームドコンセントは、「説明と同意」と訳されることが多く、その名の通り、医療における患者の自己決定を実現し、その利益を保護するための過程を指すと考えられます。
具体的には、以下のような項目を含むと考えられます。
医師が患者の病状、予想される予後、適応のある診断方法、治療方針,成功率(治療成績)、不確実性、診療行為に伴う副作用や合併症などを患者に説明し、患者がそれらを十分理解したうえで、自らの価値観や希望に沿った決定を下す過程であると考えられます。
ただ、こうした説明は患者さん本人だけでなく、ご家族に対しても十分にする必要があると思われます。もちろん、自己決定権は十分に尊重されるべきであり、治療方針などを決められるのは患者さん本人であることに揺らぎはないと思われますが、その一方で、訴訟に発展するケースとしては、亡くなった患者さんの死や対応に関して、何らしらかの疑問を持たれたご家族が法的な手段に出る、ということが多いと思われるからです。
たとえば、以下のようなケースがあります。転移性肝癌の患者さんが、医療保険ではまだ認められていないが、徐々に広まりつつある治療法を医師に提案されました。予め、転移の数が多いので、死亡率は20%くらいと説明したが、このまま死を待つよりはと、患者もその妻も治療を望んだ。ところが不幸にして経過が悪く、患者は亡くなってしまった。
そこに娘が出てきて、そんな危険な治療とは聞いていなかった、父親を新治療の実験台にしたと言い出し、訴訟になったといいます。危険な治療であることは本人と妻には十分説明していたが、妻によれば、娘には「かわいそうなので、知らせなかった」らしい。そこで娘を説得してくれればよかったのだが、悲しみに暮れる母親にその力はなかった…というケースです。
このケースからすると、患者さんご自身ではなく、ご家族への対応も医師を始めとした医療スタッフにとって、重要な位置を占めていくのかも知れません。ご家族を含めたインフォームド・コンセントといったことが、今後の課題となっていくことも考えられます。
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顎関節手術の医療訴訟−「脳にワイヤ」認められず
ただ、こうした説明は患者さん本人だけでなく、ご家族に対しても十分にする必要があると思われます。もちろん、自己決定権は十分に尊重されるべきであり、治療方針などを決められるのは患者さん本人であることに揺らぎはないと思われますが、その一方で、訴訟に発展するケースとしては、亡くなった患者さんの死や対応に関して、何らしらかの疑問を持たれたご家族が法的な手段に出る、ということが多いと思われるからです。
たとえば、以下のようなケースがあります。転移性肝癌の患者さんが、医療保険ではまだ認められていないが、徐々に広まりつつある治療法を医師に提案されました。予め、転移の数が多いので、死亡率は20%くらいと説明したが、このまま死を待つよりはと、患者もその妻も治療を望んだ。ところが不幸にして経過が悪く、患者は亡くなってしまった。
そこに娘が出てきて、そんな危険な治療とは聞いていなかった、父親を新治療の実験台にしたと言い出し、訴訟になったといいます。危険な治療であることは本人と妻には十分説明していたが、妻によれば、娘には「かわいそうなので、知らせなかった」らしい。そこで娘を説得してくれればよかったのだが、悲しみに暮れる母親にその力はなかった…というケースです。
このケースからすると、患者さんご自身ではなく、ご家族への対応も医師を始めとした医療スタッフにとって、重要な位置を占めていくのかも知れません。ご家族を含めたインフォームド・コンセントといったことが、今後の課題となっていくことも考えられます。
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