肝臓移植を受けたオーストラリアの少女(15)が、臓器提供者(ドナー)と同じ血液型と免疫システムに自然に変わり、拒絶反応を抑える免疫抑制剤の必要がなくなったことが分かった。米医学誌に極めて特異なケースとして掲載され、医師は「こうした例は世界的に知られていない」としている。
25日付のオーストラリア各紙によると、少女は6年前、ウイルス感染で肝機能が低下、移植手術を受けた。
免疫抑制剤を服用していたが、術後9カ月ごろに体調が悪化。調べたところ、「O型Rhマイナス」だった血液型が、ドナーと同じO型Rhプラスに変わり、移植した肝臓中の幹細胞が少女の骨髄に根付いていた。免疫システムがドナーのものにほぼ取って代わられ、骨髄移植と同じ効果が得られたという。
担当したシドニーのウエストミード小児病院の医師団は「メカニズムの解明はこれから」としているが、ドナーが12歳と若かったことや、少女の白血球が少なかったことなどが理由ではないかと推測。今後、免疫抑制剤の副作用に苦しむ移植患者の治療に役立てられればとしている。
(世界初?臓器移植で血液型まで変化 豪少女)
拒絶反応とは、移植において宿主免疫系(移植を受けた側:レシピエント)が非自己抗原(ドナーからの臓器)を認識し、移植片(ドナーからの臓器)を排除しようとする反応のことです。
もちろん、移植片と宿主の組織適合性が高いほど,また宿主の免疫能が抑制されているほど、移植片の生着率は高いです。故に、拒絶反応を抑えるために、組織適合性の高いドナーを探し、免疫抑制剤を使う必要があるわけです。
拒絶反応は、細胞性免疫(生体内のリンパ球のうちのT細胞が主となって起こる免疫反応)と液性免疫(抗体など、血清の成分によって行われる免疫現象)によって起こります。
そのメカニズムは、以下のようになっています。
25日付のオーストラリア各紙によると、少女は6年前、ウイルス感染で肝機能が低下、移植手術を受けた。
免疫抑制剤を服用していたが、術後9カ月ごろに体調が悪化。調べたところ、「O型Rhマイナス」だった血液型が、ドナーと同じO型Rhプラスに変わり、移植した肝臓中の幹細胞が少女の骨髄に根付いていた。免疫システムがドナーのものにほぼ取って代わられ、骨髄移植と同じ効果が得られたという。
担当したシドニーのウエストミード小児病院の医師団は「メカニズムの解明はこれから」としているが、ドナーが12歳と若かったことや、少女の白血球が少なかったことなどが理由ではないかと推測。今後、免疫抑制剤の副作用に苦しむ移植患者の治療に役立てられればとしている。
(世界初?臓器移植で血液型まで変化 豪少女)
拒絶反応とは、移植において宿主免疫系(移植を受けた側:レシピエント)が非自己抗原(ドナーからの臓器)を認識し、移植片(ドナーからの臓器)を排除しようとする反応のことです。
もちろん、移植片と宿主の組織適合性が高いほど,また宿主の免疫能が抑制されているほど、移植片の生着率は高いです。故に、拒絶反応を抑えるために、組織適合性の高いドナーを探し、免疫抑制剤を使う必要があるわけです。
拒絶反応は、細胞性免疫(生体内のリンパ球のうちのT細胞が主となって起こる免疫反応)と液性免疫(抗体など、血清の成分によって行われる免疫現象)によって起こります。
そのメカニズムは、以下のようになっています。
非自己抗原(ドナーの臓器)は、抗原提示細胞に取り込まれ,細胞内でペプチド断片に分解されます。その後、主要組織適合性抗原と結合し,抗原提示細胞表面に提示されます(「こんな異物が体の中に入ってますよ」と知らせるワケです)。
次に、ヘルパーT細胞がこの抗原情報を認識して、活性化され、分裂・増殖するとともに、種々のサイトカインを分泌するようになります(ヘルパーT細胞は、いわば免疫システムの司令塔です。この司令塔が、「こんな異物がいるのか、それならば攻撃せよ」と指令(サイトカインなどの分泌により)を出します)。
細胞傷害性T細胞は、このサイトカインに応答して増殖し,直接非自己細胞を排除します。このことを細胞性免疫といいます。一方、Bリンパ球はサイトカインによって活性化され、抗原に特異的な抗体を産生する形質細胞へと分化成熟していきます。こちらを液性免疫といいます。
こうした免疫システムは、そもそも体の中に入ってきた異物などを排除するためにあるわけですが、生きるために必要なドナーの臓器をも攻撃してしまい、これが問題となっているわけです。
上記ニュースでは、どうしたことか分かりませんが、移植した肝臓中の幹細胞が少女の骨髄に根付いていた。免疫システムがドナーのものにほぼ取って代わられ、結果としてドナーの臓器を攻撃することもないようです。
こうしたメカニズムが解析され、移植手術を受ける人に応用できれば、免疫抑制剤を使用し続ける必要もなくなるかもしれません。免疫抑制剤には、感染やがんの拡大をうまく抑えることが出来なくなったり、高血圧、異脂肪血症、高血糖、消化性潰瘍、肝臓や腎臓の機能障害などの副作用もあります。これらの副作用から解放されるかもしれない、大きな意味をもつかもしれません。
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次に、ヘルパーT細胞がこの抗原情報を認識して、活性化され、分裂・増殖するとともに、種々のサイトカインを分泌するようになります(ヘルパーT細胞は、いわば免疫システムの司令塔です。この司令塔が、「こんな異物がいるのか、それならば攻撃せよ」と指令(サイトカインなどの分泌により)を出します)。
細胞傷害性T細胞は、このサイトカインに応答して増殖し,直接非自己細胞を排除します。このことを細胞性免疫といいます。一方、Bリンパ球はサイトカインによって活性化され、抗原に特異的な抗体を産生する形質細胞へと分化成熟していきます。こちらを液性免疫といいます。
こうした免疫システムは、そもそも体の中に入ってきた異物などを排除するためにあるわけですが、生きるために必要なドナーの臓器をも攻撃してしまい、これが問題となっているわけです。
上記ニュースでは、どうしたことか分かりませんが、移植した肝臓中の幹細胞が少女の骨髄に根付いていた。免疫システムがドナーのものにほぼ取って代わられ、結果としてドナーの臓器を攻撃することもないようです。
こうしたメカニズムが解析され、移植手術を受ける人に応用できれば、免疫抑制剤を使用し続ける必要もなくなるかもしれません。免疫抑制剤には、感染やがんの拡大をうまく抑えることが出来なくなったり、高血圧、異脂肪血症、高血糖、消化性潰瘍、肝臓や腎臓の機能障害などの副作用もあります。これらの副作用から解放されるかもしれない、大きな意味をもつかもしれません。
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