流産を繰り返し、検査や治療を受けても、なかなか出産できない場合もある。神奈川県相模原市の主婦B子さん(42)は、37歳で初めて自然に妊娠した。2年半後、今度は体外受精で妊娠したが、いずれも7週目で流産した。
26歳で結婚。3年ほどたって子供を望むようになっても、妊娠しなかった。近くの病院で、排卵を抑える働きなどがあるホルモン「プロラクチン」の分泌が多いと言われ、ホルモンを抑える薬を飲んだところ、基礎体温の変動が激しくなった。頭痛や発熱で寝込むこともあった。「だんだん病院に行くのが怖くなりました」
それでも、やはり子供は欲しかった。35歳を過ぎると、各地の不妊治療施設を転々とし、体外受精と人工授精を計10回以上、繰り返した。「子供を抱いているお母さんを見ると、自分はまだ治療すら終わっていないのに、とあせります」とうつむく。
東京都の主婦(30)は、これまで3回流産した。今でも毎月、妊娠半ばで力尽きた子供の墓参りをし、部屋には手作りの産着とおもちゃを供える。だが一昨年、2回目の流産をした後、子供のいる友人から「次にできればいいじゃない」と言われた。「生まれてこなければ子供じゃない、と思われている気がしました」と涙を流す。
昨年初めに3回目の流産をし、「自分に子供はできないのでは、と絶望を感じました」と話す。ただ、義母に「(子供がいない)そういう人生もある」と言われ、救われたという。
流産を繰り返し、周囲の何げない言葉に、深く傷つき、悩む女性たち。名古屋市立城西病院(名古屋市)第一産婦人科部長の青木耕治さんは「精神的なストレスは、ホルモンの分泌や免疫機能などに影響を与え、いっそう流産しやすくなる」と説明する。
青木さんは診察時、家族や友人の気遣いをどう感じているかや、夫が長男か、実家にどのくらいの頻度で行くかなどについて、患者に質問する。「両親に報告するため、里帰りする盆や正月を妊娠の期限に決めている」と話す患者もいる。
青木さんは「不育症の女性には、ストレスの少ない環境をつくってあげることが大切」と言う。不安や緊張を取り除くため、抗不安薬などを使うこともある。
(ストレス少ない環境を)
プロラクチンとは、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。生理作用は乳腺および生殖に及ぼす作用が主体で、乳汁の産生と分泌を促進します。分泌が過剰になると、性腺機能は抑制されます。
たとえば、高プロラクチン血症(第一ラジオアイソトープ社製のSPAC-Sプロラクチンキットで15ng/mL以上)の場合、比較的低ければ月経周期を有することもありますが、値が高くなっての場合は無月経となり、乳汁漏出を伴うことがあります。故に、高プロラクチン血症の場合、不妊の原因にもなります。
具体的には、25〜50ng/mLの中等度の高プロラクチン血症では黄体機能不全や無排卵性月経となることが多く、50ng/mL以上の高プロラクチン血症では多くの場合、無月経となります。一部の症例(特に潜在性高プロラクチン血症)では、多嚢胞卵巣症候群を合併することもあります。
薬剤性のものが最も多く、次いで下垂体腺腫に伴うものが多いといわれています。原因となる薬としては、以下のようなものがあります。
26歳で結婚。3年ほどたって子供を望むようになっても、妊娠しなかった。近くの病院で、排卵を抑える働きなどがあるホルモン「プロラクチン」の分泌が多いと言われ、ホルモンを抑える薬を飲んだところ、基礎体温の変動が激しくなった。頭痛や発熱で寝込むこともあった。「だんだん病院に行くのが怖くなりました」
それでも、やはり子供は欲しかった。35歳を過ぎると、各地の不妊治療施設を転々とし、体外受精と人工授精を計10回以上、繰り返した。「子供を抱いているお母さんを見ると、自分はまだ治療すら終わっていないのに、とあせります」とうつむく。
東京都の主婦(30)は、これまで3回流産した。今でも毎月、妊娠半ばで力尽きた子供の墓参りをし、部屋には手作りの産着とおもちゃを供える。だが一昨年、2回目の流産をした後、子供のいる友人から「次にできればいいじゃない」と言われた。「生まれてこなければ子供じゃない、と思われている気がしました」と涙を流す。
昨年初めに3回目の流産をし、「自分に子供はできないのでは、と絶望を感じました」と話す。ただ、義母に「(子供がいない)そういう人生もある」と言われ、救われたという。
流産を繰り返し、周囲の何げない言葉に、深く傷つき、悩む女性たち。名古屋市立城西病院(名古屋市)第一産婦人科部長の青木耕治さんは「精神的なストレスは、ホルモンの分泌や免疫機能などに影響を与え、いっそう流産しやすくなる」と説明する。
青木さんは診察時、家族や友人の気遣いをどう感じているかや、夫が長男か、実家にどのくらいの頻度で行くかなどについて、患者に質問する。「両親に報告するため、里帰りする盆や正月を妊娠の期限に決めている」と話す患者もいる。
青木さんは「不育症の女性には、ストレスの少ない環境をつくってあげることが大切」と言う。不安や緊張を取り除くため、抗不安薬などを使うこともある。
(ストレス少ない環境を)
プロラクチンとは、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。生理作用は乳腺および生殖に及ぼす作用が主体で、乳汁の産生と分泌を促進します。分泌が過剰になると、性腺機能は抑制されます。
たとえば、高プロラクチン血症(第一ラジオアイソトープ社製のSPAC-Sプロラクチンキットで15ng/mL以上)の場合、比較的低ければ月経周期を有することもありますが、値が高くなっての場合は無月経となり、乳汁漏出を伴うことがあります。故に、高プロラクチン血症の場合、不妊の原因にもなります。
具体的には、25〜50ng/mLの中等度の高プロラクチン血症では黄体機能不全や無排卵性月経となることが多く、50ng/mL以上の高プロラクチン血症では多くの場合、無月経となります。一部の症例(特に潜在性高プロラクチン血症)では、多嚢胞卵巣症候群を合併することもあります。
薬剤性のものが最も多く、次いで下垂体腺腫に伴うものが多いといわれています。原因となる薬としては、以下のようなものがあります。
原因となる薬剤としては、ドパミン産生抑制薬であるレセルピンやαメチルドパなど(プロラクチンの分泌調節は、視床下部の分泌抑制因子であるドパミンの支配が主であるため)、抗ドパミン作動薬である抗精神病薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬などの中枢性抗潰瘍薬、一部の抗うつ薬など、下垂体に直接作用するエストロゲン製剤であるピルなどが原因となります。
薬剤性の場合は、原因となっている薬剤が中止可能であれば投与を中止します。下垂体腺腫が見つかった場合、径1cm未満の微小腺腫であれば、ブロモクリプチンなどのドパミン受容体作動薬の投与が有効であるといわれています。
また、ドパミン受容体作動薬は、PRL産生細胞の膜上に存在するドパミン(D2)レセプターに作用して、PRL分泌を低下させ、さらには腫瘍縮小効果を示します。妊娠希望の女性には、催奇形性の少ないブロモクリプチンを用います。以前は、経蝶形骨洞下垂体腺腫摘除術(Hardy手術)が行われていましたが、最近では内服治療が主体となっています。
もしかしたら、こうしたことが不妊症の原因となっていることもあります。お悩みの方は、病院の不妊外来などで、一度調べてみることをお勧めします。
【関連記事】
着床前診断を受けた女性 「もうこれ以上、流産したくない」
5回もの流産の原因に…中隔子宮
薬剤性の場合は、原因となっている薬剤が中止可能であれば投与を中止します。下垂体腺腫が見つかった場合、径1cm未満の微小腺腫であれば、ブロモクリプチンなどのドパミン受容体作動薬の投与が有効であるといわれています。
また、ドパミン受容体作動薬は、PRL産生細胞の膜上に存在するドパミン(D2)レセプターに作用して、PRL分泌を低下させ、さらには腫瘍縮小効果を示します。妊娠希望の女性には、催奇形性の少ないブロモクリプチンを用います。以前は、経蝶形骨洞下垂体腺腫摘除術(Hardy手術)が行われていましたが、最近では内服治療が主体となっています。
もしかしたら、こうしたことが不妊症の原因となっていることもあります。お悩みの方は、病院の不妊外来などで、一度調べてみることをお勧めします。
【関連記事】
着床前診断を受けた女性 「もうこれ以上、流産したくない」
5回もの流産の原因に…中隔子宮