足の親指が外(小指)側に曲がってしまう外反母趾は、進行が遅いものの、重症になると変形が激しく、痛みで歩行にも障害が出る。ハイヒールをはく女性だけでなく、体質などで子供や男性にも発症するので、早めの手当てが大切だ。靴の見直しや体操・ストレッチで予防できるという。
「原因には体質と環境の両面ある」と説明するのは、千葉大付属病院整形外科で「足の外科」を担当する永嶋良太医師(37)。関節が軟らかい人や親指が長い人、扁平足で指の付け根付近に体重がかかってしまう人が、なりやすいという。
環境面では、靴の影響が大きい。指を締め付ける幅の狭い靴、特にハイヒールは体重で指が細い靴先に押し付けられるので最も良くない。「痛みが軽い場合が多く、靴をはけば変形も気にならないので、受診が遅れて重症になる患者が多い」
このため患者は女性が大半だが、男性も1割ほど。「子供のうちに発症する場合もあり、放っておくと社会人として活躍する時期に悪化することもあるので、早期治療が肝心」
甲にある中足骨の延長線より、親指が15度以上曲がっていれば外反母趾が始まっている。「20〜40度では中程度。40度以上の重症では親指が人さし指の下に潜り込み、人さし指は脱臼している場合が多く、痛みも強い」
治療は手術法と保存法があり、「手術は痛みが取れない場合などに行う」。中足骨をいったん切り、つなぎなおすことなどで角度を矯正する。見た目もきれいになるが、ふつうに歩けるまで2カ月ほどかかる。
保存法は装具と体操による改善だ。装具はオーダーメードした靴と中敷き(インソール)。「靴は前部が広く、甲をひもでしっかり締め付け、かかともしっかりして足がぐらつかない。中敷きは土踏まずを前後、横方向に盛り上げる。これで重症でも痛みが取れるので、満足する人が多い。費用は保険適用なので計2〜3万円で済む」
体操は、指を思い切り広げては丸める「グーパー運動」を、朝昼晩に分けて計200回。広げたタオルを指で少しずつ引く「たぐり寄せ運動」を可能な限り。ストレッチは、親指を手で内側に開くように引っ張り15〜30秒間そのままに。朝昼晩10回ずつ行う。
「外反母趾かな」と思ったら診察を受けないまでも、体操・ストレッチと靴の見直しが大切。
婦人靴企画卸「シンエイ」商品研究室長の楠本彩乃さん(47)は「人さし指から中指の付け根の足裏がビリビリしたり、タコができたりすれば外反母趾のサイン。甲を覆わないパンプスは前足部に負担がかかり、症状を悪化させるので絶対ダメ」と指摘する。
−を満たすことが必要で「ウオーキングシューズが最適。また、甲部分がサポーターになった5本指靴下や、オーダーメードのインソールの併用もいい」。
これらの要素は予防にも有効で、逆に「ミュールはもってのほか」と警告している。
(外反母趾、手遅れになる前の予防法とは)
外反母趾では、足の親指が小指の方に曲がっていく疾患です。MTP関節という足の付け根の間接が外側、小指側に曲がり(「く」の字に変形)、爪が内側に向いてしまいます。出っ張った部分(中足骨骨頭が内側に突出し)が、靴に圧迫されて炎症を起こして痛みます。
原因としては、親指が人差し指と比較して長かったり(エジプト型の足趾)、扁平足でも生じやすく、ハイヒールなど先細の靴をはき続けていることなどがあります。
症状としては、最も一般的なのは、上記にもある母趾中足趾節(MTP)関節の痛みです。骨頭が内側に突出し、靴による圧迫で関節包が肥厚して痛みます。また、親指が曲がるため、曲がった内側に胼胝(たこ)ができたり、親指に力が入りにくいため、足底の第2・3中足骨頭部に胼胝を伴う痛みが生じることもあります。
診断としては、まず痛みがどこにあるかといった部位を特定したり、足の変形をみます。画像診断は、荷重時足部背底X線像が基本です。重症度は第1基節骨軸と第2中足骨軸のなす角である外反母趾角(正常15度未満)の大きさで評価します。
治療としては、以下のようなものがあります。
「原因には体質と環境の両面ある」と説明するのは、千葉大付属病院整形外科で「足の外科」を担当する永嶋良太医師(37)。関節が軟らかい人や親指が長い人、扁平足で指の付け根付近に体重がかかってしまう人が、なりやすいという。
環境面では、靴の影響が大きい。指を締め付ける幅の狭い靴、特にハイヒールは体重で指が細い靴先に押し付けられるので最も良くない。「痛みが軽い場合が多く、靴をはけば変形も気にならないので、受診が遅れて重症になる患者が多い」
このため患者は女性が大半だが、男性も1割ほど。「子供のうちに発症する場合もあり、放っておくと社会人として活躍する時期に悪化することもあるので、早期治療が肝心」
甲にある中足骨の延長線より、親指が15度以上曲がっていれば外反母趾が始まっている。「20〜40度では中程度。40度以上の重症では親指が人さし指の下に潜り込み、人さし指は脱臼している場合が多く、痛みも強い」
治療は手術法と保存法があり、「手術は痛みが取れない場合などに行う」。中足骨をいったん切り、つなぎなおすことなどで角度を矯正する。見た目もきれいになるが、ふつうに歩けるまで2カ月ほどかかる。
保存法は装具と体操による改善だ。装具はオーダーメードした靴と中敷き(インソール)。「靴は前部が広く、甲をひもでしっかり締め付け、かかともしっかりして足がぐらつかない。中敷きは土踏まずを前後、横方向に盛り上げる。これで重症でも痛みが取れるので、満足する人が多い。費用は保険適用なので計2〜3万円で済む」
体操は、指を思い切り広げては丸める「グーパー運動」を、朝昼晩に分けて計200回。広げたタオルを指で少しずつ引く「たぐり寄せ運動」を可能な限り。ストレッチは、親指を手で内側に開くように引っ張り15〜30秒間そのままに。朝昼晩10回ずつ行う。
「外反母趾かな」と思ったら診察を受けないまでも、体操・ストレッチと靴の見直しが大切。
婦人靴企画卸「シンエイ」商品研究室長の楠本彩乃さん(47)は「人さし指から中指の付け根の足裏がビリビリしたり、タコができたりすれば外反母趾のサイン。甲を覆わないパンプスは前足部に負担がかかり、症状を悪化させるので絶対ダメ」と指摘する。
1)足先に負担をかけないよう、甲を覆い、ヒモやベルトで締める
2)足裏の痛みを緩和する厚くクッション性のある底
3)足が前にずれないようヒール高は3センチ以下
4)足を支える頑丈なかかと
−を満たすことが必要で「ウオーキングシューズが最適。また、甲部分がサポーターになった5本指靴下や、オーダーメードのインソールの併用もいい」。
これらの要素は予防にも有効で、逆に「ミュールはもってのほか」と警告している。
(外反母趾、手遅れになる前の予防法とは)
外反母趾では、足の親指が小指の方に曲がっていく疾患です。MTP関節という足の付け根の間接が外側、小指側に曲がり(「く」の字に変形)、爪が内側に向いてしまいます。出っ張った部分(中足骨骨頭が内側に突出し)が、靴に圧迫されて炎症を起こして痛みます。
原因としては、親指が人差し指と比較して長かったり(エジプト型の足趾)、扁平足でも生じやすく、ハイヒールなど先細の靴をはき続けていることなどがあります。
症状としては、最も一般的なのは、上記にもある母趾中足趾節(MTP)関節の痛みです。骨頭が内側に突出し、靴による圧迫で関節包が肥厚して痛みます。また、親指が曲がるため、曲がった内側に胼胝(たこ)ができたり、親指に力が入りにくいため、足底の第2・3中足骨頭部に胼胝を伴う痛みが生じることもあります。
診断としては、まず痛みがどこにあるかといった部位を特定したり、足の変形をみます。画像診断は、荷重時足部背底X線像が基本です。重症度は第1基節骨軸と第2中足骨軸のなす角である外反母趾角(正常15度未満)の大きさで評価します。
治療としては、以下のようなものがあります。
まず、靴の指導を行います。履いたときに足が動かせるように広いトーボックスをもち、足が靴の中で前に滑らないように足背部を押さえる構造がついた靴を選択します。ヒールは3cm以下にする、といったことも重要です。
手術は、疼痛があり、保存治療が無効で変形矯正を希望すれば適応となります。現在の手術法の主流は、第1中足骨骨切り術です。これは、足趾MTP関節から2cm近位で中足骨の根本を、斜め45度で骨切りと数mmの骨切除をおこない、骨片を背側にスライドさせて短縮する方法です。
こうした手術に至る前に、保存療法やストレッチで手入れしていくことが重要です。ただ、個々の足で特徴が異なるため、自分にあった靴の選択などが必要です。上記の予防法などを参考にしてみるといいと思われます。
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手術は、疼痛があり、保存治療が無効で変形矯正を希望すれば適応となります。現在の手術法の主流は、第1中足骨骨切り術です。これは、足趾MTP関節から2cm近位で中足骨の根本を、斜め45度で骨切りと数mmの骨切除をおこない、骨片を背側にスライドさせて短縮する方法です。
こうした手術に至る前に、保存療法やストレッチで手入れしていくことが重要です。ただ、個々の足で特徴が異なるため、自分にあった靴の選択などが必要です。上記の予防法などを参考にしてみるといいと思われます。
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