「疝痛」。さし込むようなスルドい痛み。もしくはズキズキとした痛み。個人的には「内臓をギューっと雑巾絞り」されるような腰周りの痛み

腎臓結石、尿管結石…。“石”のある場所によって病名は違えど、結石の痛みはまさに激痛。たまったもんじゃありません。しかも25歳からの働き盛りの若者が、この病気を患うケースが確実に増えているという。ね、他人事じゃないでしょ? どうしてこの病気になるのだろう?

「一般的に、シュウ酸カルシウムを主成分とする尿路結石の原因は食生活にあります。動物性タンパク質や塩分・砂糖の過剰摂取、就寝前に食事を摂る習慣がある…また尿量が1日に1リットル以下の人も要注意ですね。尿が濃くなり、腎臓に結石ができやすくなります」(東京医科歯科大学医学部附属病院・泌尿器科・小林 剛医師)

腎臓にできた石が、なにかのキッカケで尿管に落ちて詰まる。ホースの中に石が詰まるようなものだ。尿の供給源である腎臓が尿でパンパンに膨れ上がり、「水腎症」を併発。では治療法は?

「結石が5mm以下であれば自然排石が期待できます。それ以上のサイズの場合は、大きさや水腎症の程度を考慮して手術を行います。スタンダードに行われているのは『体外衝撃波結石破砕術』ですね。その名の通り、“衝撃波で石を砕く”のです」(同)

施術は約30分から1時間。粉々に砕かれた石は、尿と一緒に自然排出される。合併症がなければ外来通院で済ませられる場合が多いという。だけど一度石を砕いたといって安心は禁物。結石は再発しやすいのだ。5年以内の再発率は4割を超えるとか。

かく言うボクも再発経験者。実はもう5度目くらいだ。みなさん、食生活は十分に気をつけて、水分摂取を心がけてくださいね。ボクもいいかげん、再発防止にがんばりますので。
(「尿路結石」ってどんな病気?身をもって体感レポート!)


尿路結石とは、その名の通り、「尿路(腎,尿管,膀胱,尿道)に結石のある状態」を指します。ちなみに、腎・尿管結石を上部尿路結石、膀胱・尿道結石を下部尿路結石と呼びます。

生涯罹患率は10人に1人程度といわれ、増加しつつあるようです。5年再発率は約40%であり、繰り返しやすいのも特徴です。20〜50歳代が大半を占め、男女比は 2〜3:1です(下部尿路結石では、6:1と圧倒的に男性に多い)。

結石の種類としては、シュウ酸カルシウム結石のほか、シスチン結石や尿酸結石(両者ともX線透過性)、尿路感染で形成されやすいリン酸マグネシウムアンモニウム結石、リン酸カルシウム結石(遠位型尿細管性アシドーシスの存在を疑う)などがあります。

原因としては、上記のような生活習慣や基礎疾患の存在(原発性上皮小体機能亢進症、ビタミンD中毒、長期臥床、クッシング症候群など)があります。また、尿酸結石などの場合、高尿酸尿症、痛風、白血病などが原因となります。

症状としては、疼痛、血尿、結石自排(自然に尿道から結石を排出させることです)が3大特徴です。

他にも、疝痛発作といって、結石が腎盂や尿管に嵌頓して尿流を遮断すると、腎部に激しい痛みをきたす状態になります。痛みは、鼠径部から陰嚢に放散します。また、悪心・嘔吐、冷汗などの症状を伴うこともあります。嵌頓しない限り、疼痛はあまりありません。膀胱結石や尿道結石では、排尿困難になったり、尿の出が悪くなったりします。

検査所見や治療としては、以下のようなものがあります。
まず、肋骨脊柱角の叩打痛がみられます。これは、腎臓のあるあたりを背中側から叩くと、痛みが生じる現象です。また、尿は肉眼的または顕微鏡的に血尿がみられます。

腹部超音波(エコー)断層法では、結石は高エコーで音響効果を伴います。水腎症を伴うことが多いといわれています。静脈性尿路造影では、結石陰影と尿流停滞、水腎症がみられます。X線陰性結石では、陰影欠損となるので、CT(単純ヘリカルCTも有用)が必要となることもあります。

血液・尿生化学検査で、血清Ca、尿酸、1日尿Ca、P、シュウ酸、尿酸、クエン酸排泄量などを調べ、治療との関連性から、原因を調べることも重要です。

治療としては、横径6mm 以下の結石は自排可能であり、飲水と運動を行うことで促すことも行われます。疝痛発作に対しては、鎮痙薬を投与します。

上記にある体外衝撃波結石破砕療法(extracorporeal shock-wave lithotripsy; ESWL)は、衝撃波を体内の結石に集束させて破砕する方法です。2cm 以下の結石が対象で、疝痛発作にも有効です。ただ、合併症として、破砕片の嵌頓(砕かれた結石がつまることもある)、腎被膜下血腫があります。当然のことながら、妊婦は基本的に禁忌です。

また、内視鏡手術で、破砕不能な結石は尿管鏡手術または経皮的腎盂鏡手術で破砕・摘出します。

尿路結石は再発しやすいため、原因の除去と予防が重要となります。早い話が、生活習慣を見直すべきであると思われます。

【関連記事】
子宮頸癌予防のワクチンって、どんなもの?

胆石症で救急搬送されていた 渡辺恒雄さん