ドイツ東部のハレにある動物園で、1歳の息子と同園を訪れていた医学生が、肉をのどに詰まらせた4カ月のトラの赤ちゃんを人工呼吸で救うという出来事があった。動物園のディレクターが1日に明かした。

この医学生はMDRラジオに対し、肉を詰まらせたトラが震えて倒れたと説明。のどから肉を取り出したものの、トラが動かなかったため人工呼吸と心臓マッサージを行ったと述べた。トラの赤ちゃんは3─5分後に息を吹き返したという。
(ドイツの医学生、トラの赤ちゃんを人工呼吸で救出)


口、鼻腔から末梢気管支に至るまでの気道のどこかに、異物の存在する場合を気道異物といいます。気道に異物があれば、当然のことながら呼吸がという生命を司る最重要な部分を傷害するため、非常に危険です。

治療における時間的な余裕はありません。上記のように、直ちに処置を行う必要があります。窒息をきたすような閉塞している異物の除去を行い、すでに窒息のために呼吸停止、心停止があった場合、心肺蘇生法を行う必要があります。

救命処置のうち、特殊な器具や医薬品を用いずに行う心肺蘇生法を一次救命処置(Basic Life Support; BLS)と呼び、救急救命士や医師による高度な蘇生処置(心肺蘇生以外も含む)を二次救命処置(Advanced Cardiac Life Support; ACLS)と呼びます。上記の事柄はBSLの方であり、一般市民ができる範囲での救命措置法です。

方法としては、以下のように説明できると思います。
まず、倒れている人に呼びかけて、意識の有無を確認します。そして、速やかに応援を呼びます。意識がない場合には周囲の人に声をかけ救急車を呼んでもらい、また可能であれば自動体外式除細動器(AED)を手配させます。

その後は、1.意識を確認 → 2.気道を確保し呼吸を確認 → 3.どちらもなければ心臓マッサージの順番で行います(ABCの順番で覚えます。Aは気道確保Air way、Bは人工呼吸Breathing、Cは心臓マッサージCirculationです)。

AEDが到着すれば、使用します。自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillator)とは、心臓の心室細動の際に電気ショックを与え(電気的除細動)、心臓の働きを戻すことを試みる医療機器です。

自動体外式除細動器(AED)は、操作を自動化して医学的判断ができない一般の人でも使えるように設計されています。操作はいたって簡単で、AEDの発する指示音声に従ってボタンを押すなど2〜3の操作のみです。

使い方は、電源を入れ、電極パッドを胸に貼り付けると心電図を解析して電気ショックを与えるべきかを調べます。電気ショックが必要と解析した場合には、機械の指示に従ってスイッチを押すと電気ショックを与えます。

AEDが、その機能を発揮するのは心室細動を起こしている心臓に対してです。"正常な拍動をしている""心臓・完全に停止している""心房細動を起こしている"心臓に対しては、AEDの診断機能が「除細動の必要なし」の診断を下し通電は行われません。

音声のガイダンスは、以下の4ステップで指示されます。
1.電源を入れる

2.電極パッドを傷病者の胸部に貼る(ケーブルを本体に接続する)

3.AEDが自動的に傷病者の心電図を解析する

4.AEDから除細動の指示が出たら、除細動ボタンを押す

こうした流れで、除細動を行います。
最近ガイドラインで変更になったのは、心肺蘇生法の胸骨圧迫対人工呼吸法の比率を『15:2から30:2に改める』など、従来よりも胸骨圧迫に注目した点です。また、効果的な救急蘇生を行うには、できるだけ早期から十分な強さと十分な回数の胸骨圧迫が絶え間なく行われることが重要であり、強調されています。

上記のニュースに関しては、とっさの事態、しかもトラに対してよく処置できたな、とビックリしました。命を救うには、日頃からの勉強は大事ですが、それ以上に実行力や決断力が必要なのだと、思いました。

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