細胞が増殖しているのか、休眠状態なのかが一目で分かる新技術を理化学研究所などが開発した。緑と赤の蛍光を出す2つのタンパク質を使って、がん細胞などの「動静」を生きたままの状態で色分けできる。8日付の米科学誌「セル」に掲載された。
沖縄県のイシサンゴから見つけた2種類の蛍光タンパク質の遺伝子を、ヒトのがん細胞に導入。細胞の「増殖期」に増える物質を緑色、「休止期」に増える物質を赤色の蛍光タンパク質でそれぞれ標識し、細胞ごとに増殖レベルを区別できるようにした。
これをマウスに移植して観察したところ、転移した場所で活発に増殖している様子がはっきりと分かった。がんの仕組みの解明や良性腫瘍との識別、抗がん剤の効き目の評価などに役立つという。
細胞にはDNAを複製して分裂するまでの増殖期と、増殖が止まる休止期がある。個々の細胞がどの段階にあるかを調べるには従来、組織を切り取って薬品で染める必要があり、生きたままリアルタイムで観察することはできなかった。
(細胞の増殖レベルを色分け技術 がん解明に光)
そもそも癌細胞とは何か、といいますと「正常な細胞増殖機構の統制から逸脱した脱統御自己由来細胞であり、非合目的な脱分化増殖細胞」であると定義づけ(医学大事典)られています。これは、「元々は正常だったけど、本来あるべき状態を逸脱して、勝手気ままに増殖してしまう(自律性増殖)細胞」と言い換えられると思われます。
結果として、その勝手気ままに増殖してしまった細胞に侵食されてしまい、本来あるべき正常な細胞は増えることが出来ず、悪性腫瘍に取って代わられてしまう(浸潤)わけです。
どうして癌が発生してしまうのかというと、これを説明したものとして、「発癌多段階説」と呼ばれるものがあります。これは、「正常組織から前癌病変、最終的に浸潤・転移能をもつ癌細胞へ、多段階的に進行する」ということを説明しており、それぞれの段階が細胞内に順次蓄積していく、種々の遺伝子異常に対応し、段階的に腫瘍が発生・進展していく、という考え方です。
その遺伝子変化とは、癌遺伝子の活性化、癌抑制遺伝子・DNA修復遺伝子の不活性化、遺伝子発現の異常などが含まれています。こうした遺伝子の変化により、「勝手気ままに増殖してしまう」といった細胞が生まれるわけです。まとめると、
こうした変化により、発癌が起こって進行していくと考えられます。
もちろん、発癌の最初の段階も、化学的刺激・物理的刺激あるいはウイルスによって起こされるDNAの変化です。さらに、細胞が癌細胞として増殖していく過程で、上記のような遺伝子変化があるわけです。ここには、免疫状態も関与しており、免疫力などが下がっている場合(Wiskott-Aldrich症候群など)では、悪性腫瘍の発生率が高いことが知られています。
ここまでが細胞レベルでの話です。こうした増殖能力の大きなところが、悪性腫瘍として「怪しい」という所であると判別できるようになるのではないか、と思われます。さらに、悪性腫瘍の臨床的な側面としては、以下のようなことがいえると思われます。
沖縄県のイシサンゴから見つけた2種類の蛍光タンパク質の遺伝子を、ヒトのがん細胞に導入。細胞の「増殖期」に増える物質を緑色、「休止期」に増える物質を赤色の蛍光タンパク質でそれぞれ標識し、細胞ごとに増殖レベルを区別できるようにした。
これをマウスに移植して観察したところ、転移した場所で活発に増殖している様子がはっきりと分かった。がんの仕組みの解明や良性腫瘍との識別、抗がん剤の効き目の評価などに役立つという。
細胞にはDNAを複製して分裂するまでの増殖期と、増殖が止まる休止期がある。個々の細胞がどの段階にあるかを調べるには従来、組織を切り取って薬品で染める必要があり、生きたままリアルタイムで観察することはできなかった。
(細胞の増殖レベルを色分け技術 がん解明に光)
そもそも癌細胞とは何か、といいますと「正常な細胞増殖機構の統制から逸脱した脱統御自己由来細胞であり、非合目的な脱分化増殖細胞」であると定義づけ(医学大事典)られています。これは、「元々は正常だったけど、本来あるべき状態を逸脱して、勝手気ままに増殖してしまう(自律性増殖)細胞」と言い換えられると思われます。
結果として、その勝手気ままに増殖してしまった細胞に侵食されてしまい、本来あるべき正常な細胞は増えることが出来ず、悪性腫瘍に取って代わられてしまう(浸潤)わけです。
どうして癌が発生してしまうのかというと、これを説明したものとして、「発癌多段階説」と呼ばれるものがあります。これは、「正常組織から前癌病変、最終的に浸潤・転移能をもつ癌細胞へ、多段階的に進行する」ということを説明しており、それぞれの段階が細胞内に順次蓄積していく、種々の遺伝子異常に対応し、段階的に腫瘍が発生・進展していく、という考え方です。
その遺伝子変化とは、癌遺伝子の活性化、癌抑制遺伝子・DNA修復遺伝子の不活性化、遺伝子発現の異常などが含まれています。こうした遺伝子の変化により、「勝手気ままに増殖してしまう」といった細胞が生まれるわけです。まとめると、
1)癌原遺伝子が癌遺伝子に変化した場合
2)癌抑制遺伝子の機能を失った場合(網膜芽細胞腫など)
3)DNA修復能力の低下した場合(色素性乾皮症など)
こうした変化により、発癌が起こって進行していくと考えられます。
もちろん、発癌の最初の段階も、化学的刺激・物理的刺激あるいはウイルスによって起こされるDNAの変化です。さらに、細胞が癌細胞として増殖していく過程で、上記のような遺伝子変化があるわけです。ここには、免疫状態も関与しており、免疫力などが下がっている場合(Wiskott-Aldrich症候群など)では、悪性腫瘍の発生率が高いことが知られています。
ここまでが細胞レベルでの話です。こうした増殖能力の大きなところが、悪性腫瘍として「怪しい」という所であると判別できるようになるのではないか、と思われます。さらに、悪性腫瘍の臨床的な側面としては、以下のようなことがいえると思われます。
一般的に、臨床で「癌をみつける」という状態はどういうことかと言いますと、癌細胞が10の9乗(10億個です)という大きなサイズ(1g程度で、大きさ1cmくらい)になった時点で診断できると言われています。ただ、この時点で多くの転移が起こっていると考えられています。
ただ、乳癌や肺癌などの固型癌を、10の9乗個の時点で切除すると、根治的治療となりうるわけです。ただ、悪性細胞は消失しても(一見、消失したように見える)、かなりの細胞が残存しており(この状態を寛解といいます)、その後に再発してくる可能性があるわけです。
こうした治療を開始するにも、やはり手術や化学療法、放射線療法など、多くの副作用・合併症が考えられます。そのため、やはり組織などの病理診断を行い、しっかりと確定診断をすることが行われています。そうした際にも、上記のような技術は非常に有用であると思われます(見落としが少ない)。さらに、手術における切除範囲を明確に出来るなど、患者さんの負担をより少なくすることができると思われます。
今後、さらなる有効な治療法が出てくることと思われますが、そのためにも診断技術の向上が重要であり、期待されます。
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胃癌など、「がん情報」掲載の人気サイトを、医師が『診断』した結果…
ただ、乳癌や肺癌などの固型癌を、10の9乗個の時点で切除すると、根治的治療となりうるわけです。ただ、悪性細胞は消失しても(一見、消失したように見える)、かなりの細胞が残存しており(この状態を寛解といいます)、その後に再発してくる可能性があるわけです。
こうした治療を開始するにも、やはり手術や化学療法、放射線療法など、多くの副作用・合併症が考えられます。そのため、やはり組織などの病理診断を行い、しっかりと確定診断をすることが行われています。そうした際にも、上記のような技術は非常に有用であると思われます(見落としが少ない)。さらに、手術における切除範囲を明確に出来るなど、患者さんの負担をより少なくすることができると思われます。
今後、さらなる有効な治療法が出てくることと思われますが、そのためにも診断技術の向上が重要であり、期待されます。
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