米人気ロック歌手のレニー・クラビッツさん(43)が11日、重い気管支炎でマイアミの病院に入院した。広報担当者が発表した。

クラビッツさんは1月中旬以降、インフルエンザに伴う重い呼吸器感染症を患っていた。広報担当は声明で「極度の脱水症状と疲労のため外来治療ができず、医師から入院を勧められた」と説明。マイアミにあるマウント・サイナイ病院の緊急治療室に運び込まれたことを明らかにした。
(米歌手レニー・クラビッツ、重い気管支炎で入院)


気管支炎とは、ウイルスや細菌などの微生物の感染、アレルギー、喫煙・大気汚染ガスなどの吸入などに起因する気管支粘膜の炎症を指します。症状の時間経過により、急性気管支炎と慢性気管支炎に分類されます。

上記の経過から考えると、おそらく急性気管支炎であると思われます。一般に予後は良好で、多くは数日で治癒します(全経過は通常2週間以内で、3週間以上続くことはほとんどない)。ですが、高齢者や慢性呼吸器疾患が存在する場合には、肺炎へ進展することもあり、恐らく上記の例でも肺炎の恐れがあるのではないか、と考えられます。

インフルエンザが原因と考えられ、インフルエンザウイルスは気道上皮細胞に親和性があり、これらのウイルスが感染・増殖すると気道上皮の線毛細胞の脱落や変性、気管支粘膜の浮腫、分泌過多が生じます。結果、粘液線毛輸送系(気管に入ってくる異物を排除しようとするところ)が障害され、異物排除能が低下するとともに、二次感染細菌が付着しやすくなります。そのため、肺炎を起こしやすくなり、注意が必要になります。

こうした可能性があるため、急性気管支炎なのか、細菌性の肺炎なのかといった鑑別が重要で、発熱や呼吸、脈拍、胸部聴診所見の異常などがある場合は、肺炎の合併を考えます。

急性気管支炎の場合、以下のようなことで診断や治療を行います。
臨床所見としては、湿性せき(痰をともなう咳)、発熱など下気道症状がみられることが特徴的です。ウイルス感染の場合は、痰はあっても無色透明ですが、細菌感染を合併すると膿性痰にかわってきます。

急性気管支炎では、特異的な検査所見はなく、細菌感染が合併すると末梢血白血球増多、CRP上昇などの炎症反応があります。通常、胸部X線像に異常はみられません。ただ、肺炎などの合併があると、肺野に異常陰影などがあらわれてきて、重要な検査となります。

治療としては、安静休養、水分、栄養分の補給、喫煙などの刺激物質回避が原則で、これにより数日の経過で治癒することが多いです。ただ、合併症が生じたり、重症例では積極的治療が必要となります。

発熱が続いたり,呼吸が苦しそうなときは受診する必要があります。抗ヒスタミン薬は痰を粘稠にして喀出しにくくさせるので注意する必要があります。鎮咳薬は咳による痰の喀出を妨げることがあり、基本的に湿性咳嗽を伴う場合には用いません。抗菌薬は、菌による二次感染が起きた場合、必要となります。

インフルエンザや風邪など、軽視しがちな疾患であっても、放っておくとやはり危険です。安静にし、重篤化しないように注意してください。

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