駅での「親切を装った」大音量のアナウンスは日本独特のものだ。毎日の通勤で騒音公害にさらされ、ストレスを感じ続けてきた医師の著者が騒音計で実測したところ、救急車の10倍にもなる駅があった。関東運輸局に苦情を伝えたところ、京王電鉄は音量を下げた。騒音公害の苦情を無視しようとしたJR東日本だったが、大塚会長に直談判したら上野駅は翌日には改善。日本人の後天性難聴は「騒音性難聴」によるものも多いと考えられるが、東京メトロだけは「現状を維持したい」と改善拒否を表明している。
以前から「特にうるさい」と思っていた京王線「多摩センター」駅、JR東日本「上野」駅、東京メトロ「溜池山王」駅で実測してみると、なんと100dBを超える駅もあったのです。100dBというと、救急車に近い音量(90〜120dB)です。
車掌の放送(立っていると85dBくらい)については、通常会話の音量60dBと比較して、「300倍も大きい」と表現すると、大きさがピンと来るかもしれません。
大阪府立公衆衛生研究所の「公衛研ニュース No23 平成16年1月」に騒音性難聴の解説があります。また、日本産業衛生学会 ・許容濃度等の勧告に80dBから100dBまで、1dBごとの許容暴露時間があります。
とあり、3dB 上がるごとに時間暴露の許容基準は半分になります(参考:デシベルの定義 10log2=3より。なおlogは10を底とする常用対数)。また、1992年10月1日に旧労働省が策定した「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について」(基発第546号)を見てみても、85dB以上の暴露に注意を呼びかけています。
私の地元駅である京王相模原線「橋本」駅は 88dB、京王線「明大前」駅は 90dB、「京王多摩センター」駅に関しては、新宿方面は85dBであるのに橋本方面は101.4dBもありました。
(大音量「バカ放送」で騒音性難聴の危険)
騒音性難聴とは、慢性的に長時間にわたって騒音に曝露されて発症する慢性進行の感音難聴(内耳に障害をきたし、生じます)の1つです。長時間かつ連続的に騒音に曝され続ける状況は、通常職業と密接な関係があるため、職業性難聴ともいい、障害が高度の場合には労災の適用となります。
また、最近では「ウォークマン難聴」といって、長らくイヤホンで大音量の音楽を聴いていることも問題になります。
上記のような80〜90dB以上の騒音に長期間曝露されると、蝸牛コルチ器、特に外有毛細胞に障害が起こってきます。音は、外耳から入り鼓膜を振動させ、中耳の耳小骨を介して卵円窓から内耳に伝播します。振動は内耳の蝸牛内に満たされたリンパ液を介して基底膜上のコルチ器官に伝わり、有毛細胞によって感知されます。そこで発生した神経インパルスは中枢へ送られ、音を認識します。この過程の中で、内耳の異常が起こっていることで、聴覚異常がみられるわけです。
もし上記の調査結果が正しいものならば(正確な測定をしているかどうか分かりませんが)、駅構内で働いている人は結構、騒音性難聴が起こっている可能性もあると思われます。
検査としては、オージオグラムなどが用いられ、初期の聴覚機能の変化は4kHzを中心とした音域に現れやすく、周波数4kHz付近にみられる聴力損失が特徴的です。これをC5ディップと呼び、早期変化を診る上で有用な所見です。
症状としては、初期の頃は音でいらいらする、うるさい、耳鳴りなどがみられます。次第に慣れてくると、数年を経て聞こえにくさ、耳鳴りが目立ってきます。他に、慣れずに増強する例もあります。
聴覚以外の影響は、自律神経系や内分泌系を介する非特異的影響が指摘されています。循環器疾患や妊娠・出産の異常に関連するとの指摘もあります。
検査や治療については、以下のようなものがあります。
以前から「特にうるさい」と思っていた京王線「多摩センター」駅、JR東日本「上野」駅、東京メトロ「溜池山王」駅で実測してみると、なんと100dBを超える駅もあったのです。100dBというと、救急車に近い音量(90〜120dB)です。
車掌の放送(立っていると85dBくらい)については、通常会話の音量60dBと比較して、「300倍も大きい」と表現すると、大きさがピンと来るかもしれません。
大阪府立公衆衛生研究所の「公衛研ニュース No23 平成16年1月」に騒音性難聴の解説があります。また、日本産業衛生学会 ・許容濃度等の勧告に80dBから100dBまで、1dBごとの許容暴露時間があります。
85dB の 時間暴露の許容基準は8時間
88dB の時間暴露の許容基準は4時間
91dB の時間暴露の許容基準は2時間
94dB の時間暴露の許容基準は1時間
97dB の時間暴露の許容基準は30分
100dBの時間暴露の許容基準は15分
とあり、3dB 上がるごとに時間暴露の許容基準は半分になります(参考:デシベルの定義 10log2=3より。なおlogは10を底とする常用対数)。また、1992年10月1日に旧労働省が策定した「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について」(基発第546号)を見てみても、85dB以上の暴露に注意を呼びかけています。
私の地元駅である京王相模原線「橋本」駅は 88dB、京王線「明大前」駅は 90dB、「京王多摩センター」駅に関しては、新宿方面は85dBであるのに橋本方面は101.4dBもありました。
(大音量「バカ放送」で騒音性難聴の危険)
騒音性難聴とは、慢性的に長時間にわたって騒音に曝露されて発症する慢性進行の感音難聴(内耳に障害をきたし、生じます)の1つです。長時間かつ連続的に騒音に曝され続ける状況は、通常職業と密接な関係があるため、職業性難聴ともいい、障害が高度の場合には労災の適用となります。
また、最近では「ウォークマン難聴」といって、長らくイヤホンで大音量の音楽を聴いていることも問題になります。
上記のような80〜90dB以上の騒音に長期間曝露されると、蝸牛コルチ器、特に外有毛細胞に障害が起こってきます。音は、外耳から入り鼓膜を振動させ、中耳の耳小骨を介して卵円窓から内耳に伝播します。振動は内耳の蝸牛内に満たされたリンパ液を介して基底膜上のコルチ器官に伝わり、有毛細胞によって感知されます。そこで発生した神経インパルスは中枢へ送られ、音を認識します。この過程の中で、内耳の異常が起こっていることで、聴覚異常がみられるわけです。
もし上記の調査結果が正しいものならば(正確な測定をしているかどうか分かりませんが)、駅構内で働いている人は結構、騒音性難聴が起こっている可能性もあると思われます。
検査としては、オージオグラムなどが用いられ、初期の聴覚機能の変化は4kHzを中心とした音域に現れやすく、周波数4kHz付近にみられる聴力損失が特徴的です。これをC5ディップと呼び、早期変化を診る上で有用な所見です。
症状としては、初期の頃は音でいらいらする、うるさい、耳鳴りなどがみられます。次第に慣れてくると、数年を経て聞こえにくさ、耳鳴りが目立ってきます。他に、慣れずに増強する例もあります。
聴覚以外の影響は、自律神経系や内分泌系を介する非特異的影響が指摘されています。循環器疾患や妊娠・出産の異常に関連するとの指摘もあります。
検査や治療については、以下のようなものがあります。
上記にもありますが、騒音性難聴の初期にはオージオグラムにおいて、音階のC5に相当する4,096Hzの近辺に落ち込みがみられることが多く、有用な所見です。ただ、加齢による高周波域の聴力低下が加わってくると、C5-dip以外にも種々の型の聴力損失がみられることがあり、鑑別しにくいこともあります。
また、2,000Hz以上の高周波域は日常の会話領域(500〜1,000Hz)より高いため、騒音による初期の聴力低下は自覚されないことが多いということで、発見がされにくいといったこともあります。
騒音性難聴は有効な治療法が確立されておらず、改善しないことが知られています。急性の音響外傷や騒音性突発難聴は改善が期待でき、安静やステロイド投与、ビタミンなどによる突発性難聴に準じた治療を行います。
治療以上に、予防が重要です。周囲の音が、近隣や従業員、お客さんにどのような影響を与えるのかなど、しっかりと考え直していただきたいと思われます。
【関連記事】
左耳の聴覚を失っていた 浜崎あゆみさん
また、2,000Hz以上の高周波域は日常の会話領域(500〜1,000Hz)より高いため、騒音による初期の聴力低下は自覚されないことが多いということで、発見がされにくいといったこともあります。
騒音性難聴は有効な治療法が確立されておらず、改善しないことが知られています。急性の音響外傷や騒音性突発難聴は改善が期待でき、安静やステロイド投与、ビタミンなどによる突発性難聴に準じた治療を行います。
治療以上に、予防が重要です。周囲の音が、近隣や従業員、お客さんにどのような影響を与えるのかなど、しっかりと考え直していただきたいと思われます。
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