以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。
1993年02月、ニューヨーク州に住むシンディは、舞台女優を目指しオクラホマ州から引っ越してきた。彼女はブロードウェイでの舞台のオーディションに合格し、役者仲間たちが成功を祈ってパーティーを開いてくれた。そこでシンディは、友人に一人の男性を紹介された。するとシンディは、その男性の顔を見て驚きの声を上げた。
その理由は、約10年前の1982年に遡る。シンディは舞台が好きな少女で、地元オクラホマ州の劇団に所属していた父親の芝居を見に稽古場によく遊びに行っていた。そしてもっと大きな理由として、同劇団に所属する”クリス”という名の19歳の若手俳優に憧れを抱いていたことがあった。シンディにとってクリスはアイドルのような存在だった。
実はクリスも大きな舞台を夢見て、先月ニューヨークに越してきたばかりだった。二人とも偶然の再会に喜んでいたがこの時、クリスにとってもシンディは気になる存在となった。しかしこの時彼らの交わした会話はお互い挨拶程度でしかなかった。
1993年3月7日、今後の彼らの運命を揺るがす出来事が起きる。シンディは稽古中に激しく頭を打ち逆行性健忘症(ある時期から前の記憶が欠落してしまう症状)になってしまった。自分が「シンディ」自身であるということ、友人のこと、オクラホマから駆けつけた両親のことも忘れていた。
事故から3週間後、生活に支障はないことから記憶が戻らないまま退院。その後シンディは、自分が「シンディ」だという事は理解出来たが、実際に「シンディ」と呼ばれても実感が沸かなかった。会う人全てが知らない人。そこで、シンディは友人や親の助け、自身の必死な努力で記憶を取り戻そうとした。しかし、何も思い出せない。しばらくすると、シンディは過去を思い出そうとする事が苦痛になり、家に引きこもるようになってしまった。
一方クリスは、とある舞台のオーディションに合格し、リハーサルに明け暮れていた。シンディが引きこもり生活になってからしばらく経ったある日、シンディの悲劇がようやくクリスの耳に入った。そこでクリスは、友人に頼んで、シンディを呼び出し数人とレストランで会うことになった。昔からの知り合いである自分なら、会うことで記憶が戻るきっかけとなるに違いないと考えたからだ。
しかし、シンディの頭の中からは、クリスの存在自体も無くなっていた。しかしクリスは諦める事なく毎日シンディをデートに誘った。クリスは過去のことを一切口には出さなかった。逆に彼女が苦しむと考えたからだ。シンディもそんなクリスに対して心の奥底にある何か、”この人といるとなぜか胸が高鳴る”という不思議な感情を抱いていた。
そんなある日、オクラホマの実家に里帰りする事になったシンディは、部屋の机の引き出しの中に大きな封筒を見つける。気になり開けてみるとその中には昔集めていたクリスの写真が出てきた。そしてある1枚の写真の裏には、『I love him』という彼女が書いた文字。これを見た瞬間、シンディは少女時代にクリスに憧れていた事を思い出した。失った記憶を呼び戻したのは、少女時代に片思いをした憧れの人。
その後、シンディとクリスは正式に交際を始め、1995年12月22日、シンディとクリスは結婚。シンディとクリスの間には2人の子供も生まれ幸せに暮らしている。
記憶障害とは、記憶を形成する4つの要素である記銘(情報を覚えること)・保持(記憶を持ち続けること)・追想(過去の体験や一定期間の事柄が追想できないこと)・再認(現在あるものを過去にあったものと同じだと認識できること)のどこかに生じた病的変化による記銘障害や追想障害のことを指します。
一般に記憶障害は脳器質性(上記のように、外傷により脳にダメージを負うなど)ですが、心因性やヒステリー性にも起こります。重症頭部外傷後には、運動麻痺や高次脳機能障害、意識障害、外傷性てんかん、顔面神経麻痺、慢性硬膜下血腫など非常に広範囲な病態を示すことがあります(広義では、頭部外傷後遺症とも言われる)。
健忘とは、記憶障害の1つで、身の回りの日々の生活的記憶障害のうち、過去のある期間の追想の欠落、過去のある事実の追想の欠落を指します。健忘はその欠落が完全か部分的かにより、全健忘と部分健忘(海に浮いた島のように、思い出せる部分があるので、「記憶の島」と呼ばれる)に分けられます。
また、意識障害から回復した後に、障害が起こった以降の期間の追想ができないことを順行性(前向)健忘といい、上記のような意識障害時以前の出来事を追想できないことを逆行(性)健忘と言います。順行性(前向)健忘の場合、逆行(性)健忘を伴うことも多いと言われています。
逆行健忘は、具体的に以下のようなものを指します。
1993年02月、ニューヨーク州に住むシンディは、舞台女優を目指しオクラホマ州から引っ越してきた。彼女はブロードウェイでの舞台のオーディションに合格し、役者仲間たちが成功を祈ってパーティーを開いてくれた。そこでシンディは、友人に一人の男性を紹介された。するとシンディは、その男性の顔を見て驚きの声を上げた。
その理由は、約10年前の1982年に遡る。シンディは舞台が好きな少女で、地元オクラホマ州の劇団に所属していた父親の芝居を見に稽古場によく遊びに行っていた。そしてもっと大きな理由として、同劇団に所属する”クリス”という名の19歳の若手俳優に憧れを抱いていたことがあった。シンディにとってクリスはアイドルのような存在だった。
実はクリスも大きな舞台を夢見て、先月ニューヨークに越してきたばかりだった。二人とも偶然の再会に喜んでいたがこの時、クリスにとってもシンディは気になる存在となった。しかしこの時彼らの交わした会話はお互い挨拶程度でしかなかった。
1993年3月7日、今後の彼らの運命を揺るがす出来事が起きる。シンディは稽古中に激しく頭を打ち逆行性健忘症(ある時期から前の記憶が欠落してしまう症状)になってしまった。自分が「シンディ」自身であるということ、友人のこと、オクラホマから駆けつけた両親のことも忘れていた。
事故から3週間後、生活に支障はないことから記憶が戻らないまま退院。その後シンディは、自分が「シンディ」だという事は理解出来たが、実際に「シンディ」と呼ばれても実感が沸かなかった。会う人全てが知らない人。そこで、シンディは友人や親の助け、自身の必死な努力で記憶を取り戻そうとした。しかし、何も思い出せない。しばらくすると、シンディは過去を思い出そうとする事が苦痛になり、家に引きこもるようになってしまった。
一方クリスは、とある舞台のオーディションに合格し、リハーサルに明け暮れていた。シンディが引きこもり生活になってからしばらく経ったある日、シンディの悲劇がようやくクリスの耳に入った。そこでクリスは、友人に頼んで、シンディを呼び出し数人とレストランで会うことになった。昔からの知り合いである自分なら、会うことで記憶が戻るきっかけとなるに違いないと考えたからだ。
しかし、シンディの頭の中からは、クリスの存在自体も無くなっていた。しかしクリスは諦める事なく毎日シンディをデートに誘った。クリスは過去のことを一切口には出さなかった。逆に彼女が苦しむと考えたからだ。シンディもそんなクリスに対して心の奥底にある何か、”この人といるとなぜか胸が高鳴る”という不思議な感情を抱いていた。
そんなある日、オクラホマの実家に里帰りする事になったシンディは、部屋の机の引き出しの中に大きな封筒を見つける。気になり開けてみるとその中には昔集めていたクリスの写真が出てきた。そしてある1枚の写真の裏には、『I love him』という彼女が書いた文字。これを見た瞬間、シンディは少女時代にクリスに憧れていた事を思い出した。失った記憶を呼び戻したのは、少女時代に片思いをした憧れの人。
その後、シンディとクリスは正式に交際を始め、1995年12月22日、シンディとクリスは結婚。シンディとクリスの間には2人の子供も生まれ幸せに暮らしている。
記憶障害とは、記憶を形成する4つの要素である記銘(情報を覚えること)・保持(記憶を持ち続けること)・追想(過去の体験や一定期間の事柄が追想できないこと)・再認(現在あるものを過去にあったものと同じだと認識できること)のどこかに生じた病的変化による記銘障害や追想障害のことを指します。
一般に記憶障害は脳器質性(上記のように、外傷により脳にダメージを負うなど)ですが、心因性やヒステリー性にも起こります。重症頭部外傷後には、運動麻痺や高次脳機能障害、意識障害、外傷性てんかん、顔面神経麻痺、慢性硬膜下血腫など非常に広範囲な病態を示すことがあります(広義では、頭部外傷後遺症とも言われる)。
健忘とは、記憶障害の1つで、身の回りの日々の生活的記憶障害のうち、過去のある期間の追想の欠落、過去のある事実の追想の欠落を指します。健忘はその欠落が完全か部分的かにより、全健忘と部分健忘(海に浮いた島のように、思い出せる部分があるので、「記憶の島」と呼ばれる)に分けられます。
また、意識障害から回復した後に、障害が起こった以降の期間の追想ができないことを順行性(前向)健忘といい、上記のような意識障害時以前の出来事を追想できないことを逆行(性)健忘と言います。順行性(前向)健忘の場合、逆行(性)健忘を伴うことも多いと言われています。
逆行健忘は、具体的に以下のようなものを指します。
逆行健忘は、脳障害あるいは心因による健忘に伴って、原因となる事柄が生じる以前の数分〜数時間、稀には数日、数週間に経験した事柄が想起できない状態を指します。原因としては、頭部外傷のほか、一酸化炭素中毒、尿毒症、低酸素血症などがあります。
たとえば、上記のように頭部外傷による昏睡から覚醒した後、意識障害のあった期間に関して外傷後健忘を残すのは当然(意識を失っているわけですので)ですが、その上、さらに原因となる外傷以前の健全な時期に体験した事柄についても、遡って健忘が生じることがあります。これを逆向健忘というわけです。ちなみに、外傷時の健忘がみられないのに、逆向健忘のみが出現する時には、心因性のもの、あるいは詐病が疑われます。
最近では、高次脳機能障害という概念が出てきています。高次脳機能障害とは、脳の外傷や血管障害などによる後遺障害によって、記憶障害や注意障害、遂行障害、行動障害などが生じてきます。以前、小児科医として働いていた30代の医師が、多発性脳梗塞によって、数ヶ月前の記憶は元より、見当識障害(今日が何月何日なのか、そこの場所はどこなのか、といったことが分からなくなる)が生じたことがテレビで放映されていました。
身体障害はほとんどないにもかかわらず、生活に大きな障害をもたらす場合があり、身体障害や精神障害、認知症のいずれにも分類されず、ちょうど狭間のような所にあり、障害福祉や周囲の理解を受けにくい現状があります。
生活を営む上で、非常に大きな問題となる記憶障害といった高次脳機能障害への理解が、今後進んでいくことが望まれます。
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仰天ニュース系の症例集
髄膜炎で次々に亡くなる少年たち…その意外な原因は?
たとえば、上記のように頭部外傷による昏睡から覚醒した後、意識障害のあった期間に関して外傷後健忘を残すのは当然(意識を失っているわけですので)ですが、その上、さらに原因となる外傷以前の健全な時期に体験した事柄についても、遡って健忘が生じることがあります。これを逆向健忘というわけです。ちなみに、外傷時の健忘がみられないのに、逆向健忘のみが出現する時には、心因性のもの、あるいは詐病が疑われます。
最近では、高次脳機能障害という概念が出てきています。高次脳機能障害とは、脳の外傷や血管障害などによる後遺障害によって、記憶障害や注意障害、遂行障害、行動障害などが生じてきます。以前、小児科医として働いていた30代の医師が、多発性脳梗塞によって、数ヶ月前の記憶は元より、見当識障害(今日が何月何日なのか、そこの場所はどこなのか、といったことが分からなくなる)が生じたことがテレビで放映されていました。
身体障害はほとんどないにもかかわらず、生活に大きな障害をもたらす場合があり、身体障害や精神障害、認知症のいずれにも分類されず、ちょうど狭間のような所にあり、障害福祉や周囲の理解を受けにくい現状があります。
生活を営む上で、非常に大きな問題となる記憶障害といった高次脳機能障害への理解が、今後進んでいくことが望まれます。
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