マンモグラム(乳房X線写真)で、乳癌を早期に発見できるだけでなく、脳卒中リスクを予測できることが示され、ニューオーリンズで開催された米国脳卒中協会(AHA)国際脳卒中会議2008で報告された。
研究を率いた米ミズーリ大学Ellis Fischel癌センター(コロンビア)のPaul S. Dale博士によると、同大学が実施したものを含め、過去のいくつかの研究から、乳房血管内の石灰化(癌性ではないもの)と糖尿病、心疾患、脳卒中リスクとの関係が認められたという。
今回の研究では、乳癌検診を受けた40〜90歳の女性793人のマンモグラムを検討した結果、86人(約10%)に石灰化が認められた。しかし、脳卒中に罹患したことのある女性204人のマンモグラムを調べたところ、115人(56%)に石灰化がみられたという。脳卒中リスクも、マンモグラムで石灰化が見つかるリスクも年齢とともに増大することから、今回の研究では年齢について調整を行っている。
米レノックス・ヒルLenox Hill病院(ニューヨーク)のSuzanne Steinbaum博士は「同様のことを示した研究はほかにもあるが、心臓専門医として、この情報はありがたい」と述べている。Dale氏らは、石灰化と心血管疾患および糖尿病との関連を調べる研究をさらに続けている。マンモグラムで石灰化が見つかったら医師に相談するようにと患者に勧めるにはまだ早い段階だと同氏はいうが、さらに研究が進めば、いずれはそうする必要が出てくるかもしれない。
(マンモグラムが脳卒中リスクを示唆)
マンモグラフィー(乳房X線撮影)とは、専用のX線撮影装置を用いて、乳房を強く挟んで撮影する画像診断の一種です。圧迫により、乳房内部の様子を鮮明に写しだすことができ、病変前後の乳腺を排除して撮影することができます。触知することのできない乳癌の発見や、乳房腫瘤の良悪性の鑑別、乳癌の拡がり診断などに有効であるといわれています。
マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像からその腫瘤の良性・悪性を診断していくことになります。視触診、超音波検査とマンモグラフィーを組み合わせることにより、9割以上の症例で診断が可能となっています。
乳癌に特徴的なマンモグラフィ所見としては、「形状不整の集簇する微細石灰化とスピキュラ(スピクラ)を伴う高濃度の腫瘤像」といったものがあります。これは、石灰化の小さな粒が、たくさん集まっているような状態や、スピキュラ(腫瘤から周囲に向かって出る針状の突起)があると、悪性であるといった診断がなされるわけです。
ただ、乳腺症や線維腺腫などの良性腫瘍でも石灰化を伴うことがあります。こちらの場合は、比較的大きな丸い石灰化として現れ、ぱらぱらと散在性にみられることが多いといわれています。
こうした乳房血管内の石灰化(癌性ではないもの)と糖尿病、心疾患、脳卒中リスクとの関係が明らかになれば、乳がん検診を受けて、その時に「一緒に糖尿病や心疾患などがないか、調べてみましょう」と勧めることも出来るかも知れません。
ちなみに、乳がん検診とは、以下のようなものを指します。
研究を率いた米ミズーリ大学Ellis Fischel癌センター(コロンビア)のPaul S. Dale博士によると、同大学が実施したものを含め、過去のいくつかの研究から、乳房血管内の石灰化(癌性ではないもの)と糖尿病、心疾患、脳卒中リスクとの関係が認められたという。
今回の研究では、乳癌検診を受けた40〜90歳の女性793人のマンモグラムを検討した結果、86人(約10%)に石灰化が認められた。しかし、脳卒中に罹患したことのある女性204人のマンモグラムを調べたところ、115人(56%)に石灰化がみられたという。脳卒中リスクも、マンモグラムで石灰化が見つかるリスクも年齢とともに増大することから、今回の研究では年齢について調整を行っている。
米レノックス・ヒルLenox Hill病院(ニューヨーク)のSuzanne Steinbaum博士は「同様のことを示した研究はほかにもあるが、心臓専門医として、この情報はありがたい」と述べている。Dale氏らは、石灰化と心血管疾患および糖尿病との関連を調べる研究をさらに続けている。マンモグラムで石灰化が見つかったら医師に相談するようにと患者に勧めるにはまだ早い段階だと同氏はいうが、さらに研究が進めば、いずれはそうする必要が出てくるかもしれない。
(マンモグラムが脳卒中リスクを示唆)
マンモグラフィー(乳房X線撮影)とは、専用のX線撮影装置を用いて、乳房を強く挟んで撮影する画像診断の一種です。圧迫により、乳房内部の様子を鮮明に写しだすことができ、病変前後の乳腺を排除して撮影することができます。触知することのできない乳癌の発見や、乳房腫瘤の良悪性の鑑別、乳癌の拡がり診断などに有効であるといわれています。
マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像からその腫瘤の良性・悪性を診断していくことになります。視触診、超音波検査とマンモグラフィーを組み合わせることにより、9割以上の症例で診断が可能となっています。
乳癌に特徴的なマンモグラフィ所見としては、「形状不整の集簇する微細石灰化とスピキュラ(スピクラ)を伴う高濃度の腫瘤像」といったものがあります。これは、石灰化の小さな粒が、たくさん集まっているような状態や、スピキュラ(腫瘤から周囲に向かって出る針状の突起)があると、悪性であるといった診断がなされるわけです。
ただ、乳腺症や線維腺腫などの良性腫瘍でも石灰化を伴うことがあります。こちらの場合は、比較的大きな丸い石灰化として現れ、ぱらぱらと散在性にみられることが多いといわれています。
こうした乳房血管内の石灰化(癌性ではないもの)と糖尿病、心疾患、脳卒中リスクとの関係が明らかになれば、乳がん検診を受けて、その時に「一緒に糖尿病や心疾患などがないか、調べてみましょう」と勧めることも出来るかも知れません。
ちなみに、乳がん検診とは、以下のようなものを指します。
日本の乳がん検診は、昭和63年の老人保健法で「30歳以上に問診・視触診検診を逐年で行う」という形で全国に導入されました。ですが、視触診だけではなかなか乳癌を発見することが難しく、平成12年の老人保健法65号で、50歳以上においてマンモグラフィ併用検診は死亡率を減少させる、とのことで推進が勧告されました。
さらに、最近では40歳以上に隔年のマンモグラフィ併用検診が勧告され、特に40〜49歳においては2方向撮影が推奨されています。
撮影方向としては、内外側斜位方向(MLO)、頭尾方向(CC)と内外側方向(ML)の3つがあります。ただ、いずれの方向でも乳房を挟みきれずに盲点となる部分があるので、診断の精度を高めるためには、少なくとも前2者の方向で撮影する必要があるわけです。
また、高濃度乳房の多い若年者においては、病変の検出が難しいといわれています。高濃度乳房とは、閉経前であるため、乳腺がまだ多く、そのためにレントゲン写真を見ても乳癌発見となる腫瘤や、石灰化が乳腺に隠れてしまってレントゲンに適していない状態です。
ですので、35歳以下の若い女性においては、マンモグラフィはあまり有効であるという報告は少ないといわれています。また、乳腺実質の量が多いため、若年者の乳房はしばしば結節様に触知され、触診での診断もまた、難しい場合が少なくないといわれています。
周囲の乳腺とのコントラストにより診断の質が左右されるので、上記のように閉経前の乳腺組織が豊富な乳房で、その部分を圧迫してスポット撮影などを行う工夫が必要となります。
最近では、マンモグラフィーで撮影した画像をコンピューターで解析し、乳がんの可能性のある病巣を見つけ出す画像診断システム検査支援システム「MV−SR657」などが開発されています。
こうしたシステムの導入とともに、未だに低い乳癌検診率が増えていくことが望まれ巣。
【関連記事】
腫瘍にまつわるニュースまとめ
乳がん、検診で発見はたったの2割
さらに、最近では40歳以上に隔年のマンモグラフィ併用検診が勧告され、特に40〜49歳においては2方向撮影が推奨されています。
撮影方向としては、内外側斜位方向(MLO)、頭尾方向(CC)と内外側方向(ML)の3つがあります。ただ、いずれの方向でも乳房を挟みきれずに盲点となる部分があるので、診断の精度を高めるためには、少なくとも前2者の方向で撮影する必要があるわけです。
また、高濃度乳房の多い若年者においては、病変の検出が難しいといわれています。高濃度乳房とは、閉経前であるため、乳腺がまだ多く、そのためにレントゲン写真を見ても乳癌発見となる腫瘤や、石灰化が乳腺に隠れてしまってレントゲンに適していない状態です。
ですので、35歳以下の若い女性においては、マンモグラフィはあまり有効であるという報告は少ないといわれています。また、乳腺実質の量が多いため、若年者の乳房はしばしば結節様に触知され、触診での診断もまた、難しい場合が少なくないといわれています。
周囲の乳腺とのコントラストにより診断の質が左右されるので、上記のように閉経前の乳腺組織が豊富な乳房で、その部分を圧迫してスポット撮影などを行う工夫が必要となります。
最近では、マンモグラフィーで撮影した画像をコンピューターで解析し、乳がんの可能性のある病巣を見つけ出す画像診断システム検査支援システム「MV−SR657」などが開発されています。
こうしたシステムの導入とともに、未だに低い乳癌検診率が増えていくことが望まれ巣。
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