奈良県の大和高田市立病院は、助産師が妊婦の保健指導などを行う「助産師外来」を新設した。週2回の予約制で、時間をかけて健診することで、妊婦の不安や疑問を解消するのが狙い。県内の市立病院では初の導入となる。同病院は「妊婦の人は積極的に利用して、不安解消に役立ててほしい」としている。
同病院産婦人科では、産科医の不足と分娩件数の増大を受け、一昨年6月から、利用対象を同市と周辺3市1町に在住する住民に限定してきた。しかし、常勤医3人に対し、年間約700件の分娩があり、きめ細やかな医療サービスの提供が課題となっていた。
同病院では、産科医の負担を減らす一方、医療サービスの充実を図るため、助産師外来を新設した。従来、医師が行っていた業務の大半を助産師が代行できるようになった。
対象は妊娠期間が14週と36週にあたる妊婦で、月、金曜の週2回開く。予約制で、1人あたり40分間かけて、助産師があらかじめ策定したマニュアルに基づき、保健指導や相談、超音波エコー検査などを行う。料金は1回4000円。
同病院では4月から、助産師を5人増員して23人体制に拡大し、充実を図る。同病院看護局長、油谷洋子さん(60)は「医師に聞きにくいことでも質問してもらい、丁寧な指導を行って妊婦の不安を解消したい」と話している。
(妊婦の不安解消へ助産師外来を新設)
今年1月、助産師確保を図るため、浜松医科大が平成20年度から、看護学科内の助産師課程を独立させた「助産学専攻科」を新設することが報じられていました。養成定員数は移行期間となる2年間は従来の年間6人から10人に増加、将来的には20人前後を目指すそうです。
現在では、4年制大学(看護大学などで)に選択制の助産コースを設置している大学や、短期大学の助産専攻科、助産師学校などがあるようです。ただ、看護大学などでは時間的な制約が大きく、十分な助産技術が習得できないなどの理由から、最近では助産師教育を担う大学院や専攻科などが設置され始めているそうです。
そもそも助産師とは、保健師助産師看護師法(保助看法)第3条において、「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行なうことを業とする者をいう」と定義されています。業務としては、医療法第2条における「助産所」を開設でき、あわせて出生証明書、死産証明書など診断書に類する書類を発行できることができるとされています。
ただ、2007年4月の医療法改正で、助産所には病院との間で緊急時の妊婦搬送の提携をするよう義務づけられました。ですが、産科医不足が原因で、提携病院が見つからないという事態が起こっています。結果、一部の助産所は廃業に追い込まれる可能性も出てきています。
こうした中、院内において助産師さんの活躍できる場所が設けられるのは、妊婦さんが十分な検診を受けられる、という点とともに、産婦人科医の負担軽減といった面でも非常に良い試みであるのではないか、と思われます。
現在、出産に関する周辺状況としては、以下のようなものがあります。
同病院産婦人科では、産科医の不足と分娩件数の増大を受け、一昨年6月から、利用対象を同市と周辺3市1町に在住する住民に限定してきた。しかし、常勤医3人に対し、年間約700件の分娩があり、きめ細やかな医療サービスの提供が課題となっていた。
同病院では、産科医の負担を減らす一方、医療サービスの充実を図るため、助産師外来を新設した。従来、医師が行っていた業務の大半を助産師が代行できるようになった。
対象は妊娠期間が14週と36週にあたる妊婦で、月、金曜の週2回開く。予約制で、1人あたり40分間かけて、助産師があらかじめ策定したマニュアルに基づき、保健指導や相談、超音波エコー検査などを行う。料金は1回4000円。
同病院では4月から、助産師を5人増員して23人体制に拡大し、充実を図る。同病院看護局長、油谷洋子さん(60)は「医師に聞きにくいことでも質問してもらい、丁寧な指導を行って妊婦の不安を解消したい」と話している。
(妊婦の不安解消へ助産師外来を新設)
今年1月、助産師確保を図るため、浜松医科大が平成20年度から、看護学科内の助産師課程を独立させた「助産学専攻科」を新設することが報じられていました。養成定員数は移行期間となる2年間は従来の年間6人から10人に増加、将来的には20人前後を目指すそうです。
現在では、4年制大学(看護大学などで)に選択制の助産コースを設置している大学や、短期大学の助産専攻科、助産師学校などがあるようです。ただ、看護大学などでは時間的な制約が大きく、十分な助産技術が習得できないなどの理由から、最近では助産師教育を担う大学院や専攻科などが設置され始めているそうです。
そもそも助産師とは、保健師助産師看護師法(保助看法)第3条において、「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行なうことを業とする者をいう」と定義されています。業務としては、医療法第2条における「助産所」を開設でき、あわせて出生証明書、死産証明書など診断書に類する書類を発行できることができるとされています。
ただ、2007年4月の医療法改正で、助産所には病院との間で緊急時の妊婦搬送の提携をするよう義務づけられました。ですが、産科医不足が原因で、提携病院が見つからないという事態が起こっています。結果、一部の助産所は廃業に追い込まれる可能性も出てきています。
こうした中、院内において助産師さんの活躍できる場所が設けられるのは、妊婦さんが十分な検診を受けられる、という点とともに、産婦人科医の負担軽減といった面でも非常に良い試みであるのではないか、と思われます。
現在、出産に関する周辺状況としては、以下のようなものがあります。
2007年度の医学部産婦人科入局見込み者は、東京都73人、関東(東京都を除く)28人、大阪府10人、中部36人、九州14人、東北8人、北海道5人となっています。
特に、東北地方八人の内訳は、弘前大学0、岩手医科大学2人、東北大学0、秋田大学1人、山形大学1人、福島県立医大4人となっており、先細りになっていく様子が伝えられています。
また、臨床研修で医学生と病院の取り次ぎを行う「医師臨床研修マッチング協議会」が昨年行った調査によると、「将来的に進みたい診療科」(回答数2224人)に、産婦人科を挙げた医学生(一部卒業生を含む)は131人。最も多かった内科(743人)の5分の1以下となっています。
この原因としては、過重勤務、訴訟の多さなどにより産婦人科を敬遠する傾向が強まったことや、研修先を選択できるようになった卒後臨床研修制度により、若手医師の都会志向や大学病院離れが一気に顕在化したものと考えられます。
こうした状況下で、遠隔診療の一環として、助産師が主役となっているところがあります。岩手県の遠野市は、およそ6年前から医師不足のために出産できる施設がありません。そこで、「ねっと・ゆりかご」と呼ばれる新しい助産院が開設されています。
「ねっと・ゆりかご」では、助産師が胎児の心拍数などのデータを連携先の産科医に電送し、そのデータや助産師と携帯電話で直接的に話すことで、検診を行っています。お産を取り扱うことはできないようですが、地域の妊婦さんに大きな支えとなっていると思われます。
今後、こうした流れは全国的に見られていくことと思われます。安心して出産できる環境が整えられていくことが望まれます。
【関連記事】
医師不足問題のまとめ
産婦人科医数の地域格差が最大で2.3倍に
特に、東北地方八人の内訳は、弘前大学0、岩手医科大学2人、東北大学0、秋田大学1人、山形大学1人、福島県立医大4人となっており、先細りになっていく様子が伝えられています。
また、臨床研修で医学生と病院の取り次ぎを行う「医師臨床研修マッチング協議会」が昨年行った調査によると、「将来的に進みたい診療科」(回答数2224人)に、産婦人科を挙げた医学生(一部卒業生を含む)は131人。最も多かった内科(743人)の5分の1以下となっています。
この原因としては、過重勤務、訴訟の多さなどにより産婦人科を敬遠する傾向が強まったことや、研修先を選択できるようになった卒後臨床研修制度により、若手医師の都会志向や大学病院離れが一気に顕在化したものと考えられます。
こうした状況下で、遠隔診療の一環として、助産師が主役となっているところがあります。岩手県の遠野市は、およそ6年前から医師不足のために出産できる施設がありません。そこで、「ねっと・ゆりかご」と呼ばれる新しい助産院が開設されています。
「ねっと・ゆりかご」では、助産師が胎児の心拍数などのデータを連携先の産科医に電送し、そのデータや助産師と携帯電話で直接的に話すことで、検診を行っています。お産を取り扱うことはできないようですが、地域の妊婦さんに大きな支えとなっていると思われます。
今後、こうした流れは全国的に見られていくことと思われます。安心して出産できる環境が整えられていくことが望まれます。
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