アメリカに、先天的な足の奇形を持って生まれた8歳の少女がいる。イギリス紙「デーリー・テレグラフ」3日付の報道によると、この少女はこれまで150回余りの手術を受けた。

少女は8年前、アメリカ・メイン州に生まれた。彼女は、足が人魚の足のようにつながって生まれてきたという。医学界では、こうした奇形は珍しく、死亡率は高いとされている。これまで彼女が元気に過ごしてきたのは、まさに医学的奇跡だ。

両親は少女を生む前から、少女がこうした奇形を持っていることを知っていたという。しかし、一縷の望みを抱き、少女を生み落とした。

「私達はこの子を守り、育てる機会を失うと思っていた。この子がここまで成長して、大きな瞳で私達を見つめてくれるなんて、思っていなかったわ」と少女の母親は述べている。
(「人魚の足」を持ち、150回の手術に耐えた少女)


合足症(両肢癒着症)とは、四肢奇形の1つであり、両下肢が癒合して1つの脚となった状態を指します。癒合肢の形態から、以下のように分類できます。
・足が欠損しているもの(人魚体奇形もしくは人魚症候群)
・足が1つのもの(monopodial symmelia)
・足の重複を伴うもの(dipodial symmelia)

この3つに分類され、上記のケースでは人魚体奇形であるようです。大腿骨は両方備わっている例が多いですが、無足の例では1本のこともあります。

原因としては、胎生初期の下肢芽(未分化中胚葉組織の一塊であり、ここから下肢が分化していく)の発育異常によるとする説や、羊膜の異常による説などがあります。

二次性羊水過少症による泌尿生殖器、胃腸管の奇形がみられる合併し、上記にもありますが死産のことも多く、予後不良であるといわれています。

胎児奇形が臨床的に大きな問題となる最大の理由は、生後1週間以内の早期新生児死亡原因のおよそ3割を占めるからです。臓器系統別に考えると、頻度が高い順に中枢神経系、循環器系、染色体異常、筋骨格系、泌尿生殖器系などが主なものとなっています。

必要な検査としては、以下のようなものがあります。
胎児の全体像を確認できるようになるのは、妊娠10〜12週頃からであり、このあたりから明らかな致命的異常はないかは、経腟走査による超音波検査で分かるようになります。

こうした検査の結果、妊娠継続を中止せざるを得ないこともあります。およそ、妊娠20週と妊娠32週前後の2回で形態的正常性を確認します。染色体異常を合併することが多いため、染色体検査を行うこともあります。

染色体検査では、分染法やFISH法などがあります。
分染法では、通常末梢リンパ球を用い(一般にはG分染法)ます。細胞分裂中期の染色体を観察し、トリソミーやモノソミー(染色体は通常、2本で対をなしていますが、これが1本になるのが「モノソミー」、3本になるのが「トリソミー」。トリソミーは、ダウン症候群でも有名)、大きな相互転座は検出できます。

FISH法(fluorescence in situ hybridization)とは、染色体分析に分子遺伝学的方法を応用した検査法で、通常のG分染法では検出困難な微細な欠失などの染色体微細構造異常の診断、間期細胞核診断などに利用されます。

こうした検査によって、子供の迎える近い将来を知ることが、ご両親にとってどんなにも辛いことであるのか、想像に難くありません。しかも、生まれてくることができて、そこから幾度もの手術を受けなければならない現実が待ちかまえています。

しかしながら、上記のお母さんの「この子がここまで成長して、大きな瞳で私達を見つめてくれるなんて、思っていなかったわ」という言葉が、お子さんの未来を明るく照らしだしてくれているように思えます。

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