一十三十一が、喉のポリープ除去手術のためしばらくの間活動を休止することになった。

昨年末から喉の調子を悪くしていたという彼女。検査の結果、喉に結節とポリープが見つかったため、手術することを余儀なくされた。

そのため、4月5日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われるライブ以降のスケジュールは、残念ながらキャンセルとなる。今夏リリース予定だったアルバムも、制作を見合わせるとのことだ。
(一十三十一、喉の手術のためしばらく活動休止)


声帯(喉頭)ポリープは、声帯膜様部(発声に関与する、声帯の前2/3の部分)中央の声帯縁に好発するイボ状の腫瘤です。多くは一対の声帯の片方に生じ、形は半球状や球状、円錐状などです。表面は平滑(デコボコしていなく、スムーズ)となっている、といった特徴があります。

周囲の粘膜に比べると、多少異なった色調を呈します。色調は赤色〜淡赤色、あるいは白色を呈します。

赤いものは、まず粘膜固有層の血管が破れて粘膜内に出血し、血管内に血栓が生じ、次に反応性に結合組織の増生、血管からの滲出、さらに出血…のくり返しが加わり、腫瘤が形成されたものと考えられます。白いものは、発生機序は不明ですが、内容物は血漿様の液体と線維と考えられています。

声帯ポリープは、職業的に声をよく使う人に多くなっています。特に、低いピッチでの過緊張性発声(必要以上にのどに力を込めて発声する状態)が原因となることが多いようです。過緊張性発声によってポリープを生じ、ポリープがあって声を出しにくいので、さらに過緊張性発声をしてしまう…という悪循環があるため、ポリープがなかなか治らない、ということになってしまうようです。

症状としては、嗄声(声の音質の異常で、嗄れた声になってしまう)が主だったものです。声を出すとき、左右の声帯が発声時内転して真ん中で近づき、下方からの呼気流によって振動します。つまり、この声帯が震えることと後きちんと閉鎖した上で震えることできれいな声が出ます。

ここにポリープ、つまり声帯の突出物があると声帯がきれいに閉じず、嗄声という『声の嗄れ』が起こるというわけです。

必要な検査や治療としては、以下のようなものがあります。
検査としては、間接喉頭鏡や喉頭ファイバースコープなどが行われ、こうしたものを用いて容易に診断できます。

声帯嚢胞や早期喉頭癌との鑑別が重要ですが、この鑑別には、喉頭ストロボスコープ検査が有効であるといわれています。声帯ポリープでは、声帯の粘膜波動は障害されません(ポリープ以外の所は、きちんと振るえる)が、嚢胞部や癌病変部では振動しないことが多いようです。

ただ、ポリープに見える病変でも実際には病理組織検査で癌と判明することがまれにあるので、病理検査を行う必要がある場合もあります。

治療としては、小さなポリープでは、沈黙療法(声を使わない)や音声指導(あまり声帯に負荷がかからないようにする)による保存的治療が有効です。ただ、歌手や教師などで急激に発症した場合は、応急処置として副腎皮質ステロイド薬の投与と吸入治療を行うこともあります。

保存的治療に抵抗したり、患者さんが音声改善を希望する場合には手術が行われます。たとえば、間接喉頭鏡下に喉頭鉗子を用いたり、処置用喉頭ファイバースコープを用いて、ポリープを切除する外来手術や、全身麻酔で喉頭顕微鏡下手術(ラリンゴマイクロサージリー)を行ったりします。

原則として術後1週間は、発声禁止となります。退院後は、外来で声の安静・衛生の指導や、音声訓練を行い、再発を予防する必要があります。歌手の方ともなれば、いわば職業病という側面がある声帯ポリープですが、今後はあまり無理をしないで再発防止に努めていただければ、と思われます。

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