15インチ(約38センチ)の手術用鉗子が腹部に残されたままだったとして、ドイツの61歳の男性が医療スタッフを告訴しました。

61歳のNorbert Pohl氏は昨年入院をして、比較的簡単な腸の手術を行いました。しかし、無事成功したはずの手術の後から耐え難い苦痛が襲ってきたそうです。Pohl氏が医師のもとに向かい、原因を探るためレントゲンを撮ってもらうと、腹部に手術用鉗子がはっきりと写っていました。

61歳のNorbert Pohl氏は昨年入院をして、比較的簡単な腸の手術を行いました。しかし、無事成功したはずの手術の後から耐え難い苦痛が襲ってきたそうです。Pohl氏が医師のもとに向かい、原因を探るためレントゲンを撮ってもらうと、腹部に手術用鉗子がはっきりと写っていました。
(男性の腹部に38センチの手術道具が置き忘れられる)


鉗子はクランプとも呼ばれ、2枚のブレードとこれを開閉して操作する2本の柄の部分からなる手術器械を指します。役割としては、組織や器官を、2枚のブレードで挟んで把持・牽引、または圧挫するのに用います。

使用する目的によって多種類の鉗子があり、たとえば止血鉗子、把持鉗子、剥離鉗子、血管鉗子、腸鉗子、肺鉗子、子宮鉗子、布鉗子などに分けられます。

上記のように、手術中に使われていたガーゼや器具が置き忘れたケースは、国内でもあります。

昨年12月に群馬県で、手術をした患者の腹部に吸引用の管の一部を残したままにしていたことや、8月にも、兵庫県伊丹市の病院で甲状腺眼症治療のため眼窩の骨を削る手術を受けた患者さんの眼球の下付近に、止血用ガーゼを置き忘れたことが少なくとも4件あったと発表していました。

今年に入って、茨城県つくば市では、平成4年に行われた心臓手術の際、医師が患者の体内にガーゼを置き忘れ、約9年後の再手術で取り出していたことも報じられています。

せっかく手術が成功したのに、また手術をしなくてはならなかったりと、術中の置き忘れは大きな問題であると考えられ、基本的なことながら、やはり確認作業が非常に重要であると思われます。

こうしたミスは、以下のような要因が重なって生じると考えられます。
緊急手術や、予期せぬ手技の変更があるなど、慌てたり精神的な負荷が大きいケースでは、やはり置き忘れが多いようです。

また、ガーゼ・器具のカウントがなかったり、患者の体格指数が高い、といった場合に、異物置き忘れが有意に高いということが指摘されています。さらに、医師同士、医師と看護師のコミュニケーション不足が背景にあるとも考えられます。

上記のケースのように、鉗子であればすぐにレントゲンで発見できると思われます。ガーゼが発見される場合、術後早期に感染して異物・膿瘍として見つかったり、術後長期間経過して器質化されて見つかる場合もあります。最近では、ガーゼにX線不透過性単線の入ったものを使用しており、レントゲンを撮れば映るようになっている所が多いと思われます。

もちろん、ミスが起こらないように最大限注意することは必要ですが、ヒューマンエラーは必ずといっていいほど起こりえます。そのため、たとえミスが起こってもすぐに対応できるチェック体制や、環境作りが必要になると思われます。

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