日本産科婦人科学会は12日の総会で、双子など多胎妊娠を防ぐため、不妊治療の体外受精でできた受精卵を子宮へ戻す数について「原則1個とし、35歳以上、または2回以上続けて妊娠できなかった女性などには2個戻すことも許容する」という案を正式決定した。
(子宮に戻す受精卵は1個 正式決定)
日本産科婦人科学会は02月23日、理事会で体外受精して「子宮に戻す受精卵を原則1個」にする見解案を承認していました。35歳以上か、2回以上続けて妊娠しなかった患者は、2個まで戻すことを容認する、という部分も同様でした。
当初の学会指針は「3個以内」でしたが、2007年12月の理事会で「2個以内とし、可能な限り1個を目指す」とする見解案が承認され、さらに「原則1個」と決定されていました。今回の総会で、正式に決定されました。
35歳からは妊娠率が低下するため、「2個」を容認する選択肢も残しています。成功率との兼ね合いで考えると、不妊治療の経済的負担が増す可能性もありますが、母体の安全を重視した方針になっています。
体外受精(IVFと略されます。In Vitro Fertilizationのことです)とは、不妊治療の一つで、通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法です。受精し、分裂した卵(胚)を子宮内に移植することを含めて体外受精・胚移植(IVF-ET)といいます。卵子を採取し(採卵)、体外で精子と受精させ(媒精、顕微授精)、培養した胚を子宮腔に戻します(胚移植)。
具体的には、まず複数の成熟卵子を採取するため、内因性ゴナドトロピンをGnRHアゴニストで抑制しつつFSH/hMG製剤にて卵胞発育を促します。主席卵胞径が18mmに達したら、FSH/hMG製剤を終了し、LHサージの代用となるhCG製剤を投与して卵成熟を促します。
hCG投与の34−36時間後に、採卵します。局所麻酔または静脈麻酔のもと経腟超音波ガイド下に卵胞を穿刺し、卵胞液とともに卵子を吸引します。
卵子を2〜4時間培養した後、最終運動精子濃度が10万/mL程度になるよう精子浮遊液を加えて媒精します。顕微授精では、第2減数分裂中期に達した成熟卵に対してICSI(卵細胞質内精子注入法)を行います。
その後、培養していきますが、胚盤胞の孵化が始まる6日目以降の胚移植では、妊娠率が低下するため、臨床的に培養期間は5日間が限界となります。胚移植は、カテーテルに形態良好胚を入れ、経頸管的に子宮腔に注入することになります。
多胎妊娠の問題点としては、以下のようなものがあります。
(子宮に戻す受精卵は1個 正式決定)
日本産科婦人科学会は02月23日、理事会で体外受精して「子宮に戻す受精卵を原則1個」にする見解案を承認していました。35歳以上か、2回以上続けて妊娠しなかった患者は、2個まで戻すことを容認する、という部分も同様でした。
当初の学会指針は「3個以内」でしたが、2007年12月の理事会で「2個以内とし、可能な限り1個を目指す」とする見解案が承認され、さらに「原則1個」と決定されていました。今回の総会で、正式に決定されました。
35歳からは妊娠率が低下するため、「2個」を容認する選択肢も残しています。成功率との兼ね合いで考えると、不妊治療の経済的負担が増す可能性もありますが、母体の安全を重視した方針になっています。
体外受精(IVFと略されます。In Vitro Fertilizationのことです)とは、不妊治療の一つで、通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法です。受精し、分裂した卵(胚)を子宮内に移植することを含めて体外受精・胚移植(IVF-ET)といいます。卵子を採取し(採卵)、体外で精子と受精させ(媒精、顕微授精)、培養した胚を子宮腔に戻します(胚移植)。
具体的には、まず複数の成熟卵子を採取するため、内因性ゴナドトロピンをGnRHアゴニストで抑制しつつFSH/hMG製剤にて卵胞発育を促します。主席卵胞径が18mmに達したら、FSH/hMG製剤を終了し、LHサージの代用となるhCG製剤を投与して卵成熟を促します。
hCG投与の34−36時間後に、採卵します。局所麻酔または静脈麻酔のもと経腟超音波ガイド下に卵胞を穿刺し、卵胞液とともに卵子を吸引します。
卵子を2〜4時間培養した後、最終運動精子濃度が10万/mL程度になるよう精子浮遊液を加えて媒精します。顕微授精では、第2減数分裂中期に達した成熟卵に対してICSI(卵細胞質内精子注入法)を行います。
その後、培養していきますが、胚盤胞の孵化が始まる6日目以降の胚移植では、妊娠率が低下するため、臨床的に培養期間は5日間が限界となります。胚移植は、カテーテルに形態良好胚を入れ、経頸管的に子宮腔に注入することになります。
多胎妊娠の問題点としては、以下のようなものがあります。
多胎妊娠とは、2児以上の胎児が子宮内に存在する状態です。胎児の数により、双胎妊娠(二人の場合)、三胎妊娠、以下四胎妊娠、五胎妊娠…などと呼びます。
多胎の種別は、一卵性と多排卵性の組合せで決まります。極めて稀にではありますが、受精卵の分裂が複数回繰り返される場合があり、上記のように一卵性多胎児が誕生する場合があります。なお、一つの受精卵が一度に分裂する個数は二個でしかなく、三つ子以上の一卵性は複数回の分裂が発生していると考えられます。
多胎は排卵誘発薬や体外受精の普及により、増加傾向にありました。ですが、多胎は単胎に比べ早産率、低出生体重児および新生児仮死の頻度、帝王切開率が有意に高く、ハイリスク妊娠であると考えられます。
早産は単胎に比べてリスクが10〜15倍であり、低出生体重児は三胎で85.0%に見られます。子宮内胎児発育不全は、リスクが単胎の10倍となっています。
また、母胎に関しても、多胎妊娠では子宮による大静脈の圧迫、横隔膜挙上による呼吸ポンプ作用の低下などにより深部静脈血栓症の発症頻度が高くなってしまいます。前期破水、尿路感染症、前置胎盤、羊水過多症が高率となってきます。
不妊症で悩む方たちには、今回の決定に不安をおぼえるかもしれませんが、母胎の安全を考える上では、必要なことであると思われます。
【関連記事】
不妊症・不妊治療のまとめ
民間の生殖医療機関、提供卵子による体外受精施行へ
多胎の種別は、一卵性と多排卵性の組合せで決まります。極めて稀にではありますが、受精卵の分裂が複数回繰り返される場合があり、上記のように一卵性多胎児が誕生する場合があります。なお、一つの受精卵が一度に分裂する個数は二個でしかなく、三つ子以上の一卵性は複数回の分裂が発生していると考えられます。
多胎は排卵誘発薬や体外受精の普及により、増加傾向にありました。ですが、多胎は単胎に比べ早産率、低出生体重児および新生児仮死の頻度、帝王切開率が有意に高く、ハイリスク妊娠であると考えられます。
早産は単胎に比べてリスクが10〜15倍であり、低出生体重児は三胎で85.0%に見られます。子宮内胎児発育不全は、リスクが単胎の10倍となっています。
また、母胎に関しても、多胎妊娠では子宮による大静脈の圧迫、横隔膜挙上による呼吸ポンプ作用の低下などにより深部静脈血栓症の発症頻度が高くなってしまいます。前期破水、尿路感染症、前置胎盤、羊水過多症が高率となってきます。
不妊症で悩む方たちには、今回の決定に不安をおぼえるかもしれませんが、母胎の安全を考える上では、必要なことであると思われます。
【関連記事】
不妊症・不妊治療のまとめ
民間の生殖医療機関、提供卵子による体外受精施行へ