読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
この相談に対して、宇野皮膚科院長である漆畑修先生は以下のようにお答えになっています。
上記の通り、水痘罹患後、その原因となる水痘・帯状疱疹ウィルス(varicella-zoster virus; VZV)は、知覚神経節内(三叉神経節,脊髄神経節)に潜伏します。この水痘・帯状疱疹ウィルスが再活性化し、その知覚神経分布領域に水疱を生じることで帯状疱疹は起こります。そのため、疼痛を伴う発疹が神経支配領域に一致して、帯状に出現してきます。
50歳以上の高齢者に多く、誘因としては過労や老化のほか、外傷、悪性腫瘍、自己免疫疾患、重症感染症、免疫抑制剤や抗腫瘍薬による治療、放射線療法などが問題となります。
経過としては、神経痛様の疼痛(ピリピリした痛みです。顔を洗うといった、軽く触れることでさえ痛いそうです)が先行し、その部位に浮腫性紅斑や紅色丘疹が出現します。しだいに水疱、膿疱、痂皮(かさぶた状になる)と変化し、約3週間で治癒します。
合併症として帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia:PHN)が、およそ3%の率(加齢とともに増加)で発生し、問題となります。これは、神経変性によるもので、耐えがたい痛みが残ることもあります。
また、Ramsay Hunt(ラムゼー・ハント)症候群といって、顔面神経の膝神経節が侵されると、顔面神経麻痺による閉眼困難や内耳障害(耳鳴り,難聴,眩暈)、舌に疱疹が生じて味覚障害を伴うこともあります。
上記のケースでは、以下のようなことが考えられると漆畑先生は記されています。
単純ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1),2型(HSV-2)の初感染または潜伏ウイルスの再発によるヘルペス(疱疹)です。
HSV-1の初感染は1〜3歳で受ける場合が多く、学童以降の抗体保有率は30〜35%程度といわれています。一方、性行為によって感染する場合の多いHSV-2の抗体保有率は低いです。
感染したウィルスは、帯状疱疹と同じく、初感染の疾患が治癒した後も知覚神経節に潜伏感染しており、宿主の免疫状態が低下した際などの理由により再活性化されます。その後、口唇ヘルペスや陰部ヘルペスを再発することとなります。
いずれにせよ、治療としては急性期には抗ウィルス剤(アシクロビル、ビダラビンなど)の投与、疼痛対策(ロキソニン内服など)、局所治療(スレンダム軟膏 塗布など)を行うことが重要です。
抗ウィルス剤は中等症までの例では内服を、免疫能低下例、重症例、急速な皮疹拡大例などでは点滴静注を行います。疼痛には、非ステロイド系消炎剤を主体とし、疼痛の激しい例では神経ブロックや抗うつ剤の併用を行うこともあります。
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これまで4回、帯状疱疹を繰り返しています。11歳、25歳、36歳、38歳の時で、部位は背中、脇腹などさまざまです。月120Kmほど走っていて、体力には自信がある方なのですが、何か原因があるのでしょうか。(38歳男性)
この相談に対して、宇野皮膚科院長である漆畑修先生は以下のようにお答えになっています。
帯状疱疹は、小さなころに水痘(水ぼうそう)に感染し、その後、神経の根元の細胞に潜伏していた水痘ウイルスが再活性化して生じるウイルス感染症です。ウイルスが神経を伝わって皮膚表面に出るため、赤い発疹や水ぶくれが帯状に生じ、痛みを伴います。
帯状疱疹になるのは、水痘ウイルスに対する免疫が低下するためです。通常、老化や病気などがなければ発症しません。
このため、以前は老人に多い病気とされましたが、最近では若い方でも免疫力が落ちて発症する方が増えてきました。しかし、帯状疱疹の再発は、免疫異常のような病気の方を除けば、通常は短くても10年以上の間隔があきます。
上記の通り、水痘罹患後、その原因となる水痘・帯状疱疹ウィルス(varicella-zoster virus; VZV)は、知覚神経節内(三叉神経節,脊髄神経節)に潜伏します。この水痘・帯状疱疹ウィルスが再活性化し、その知覚神経分布領域に水疱を生じることで帯状疱疹は起こります。そのため、疼痛を伴う発疹が神経支配領域に一致して、帯状に出現してきます。
50歳以上の高齢者に多く、誘因としては過労や老化のほか、外傷、悪性腫瘍、自己免疫疾患、重症感染症、免疫抑制剤や抗腫瘍薬による治療、放射線療法などが問題となります。
経過としては、神経痛様の疼痛(ピリピリした痛みです。顔を洗うといった、軽く触れることでさえ痛いそうです)が先行し、その部位に浮腫性紅斑や紅色丘疹が出現します。しだいに水疱、膿疱、痂皮(かさぶた状になる)と変化し、約3週間で治癒します。
合併症として帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia:PHN)が、およそ3%の率(加齢とともに増加)で発生し、問題となります。これは、神経変性によるもので、耐えがたい痛みが残ることもあります。
また、Ramsay Hunt(ラムゼー・ハント)症候群といって、顔面神経の膝神経節が侵されると、顔面神経麻痺による閉眼困難や内耳障害(耳鳴り,難聴,眩暈)、舌に疱疹が生じて味覚障害を伴うこともあります。
上記のケースでは、以下のようなことが考えられると漆畑先生は記されています。
ご質問の方は元気で重大な免疫異常もなさそうです。それでも最近は2年で再発しています。
考えられる理由の一つは、水痘ウイルスに対する免疫だけ十分ではない可能性です。これは検査をすれば確認できます。
もう一つは、部位が腰や太ももであれば単純ヘルペスの再発の可能性があります。単純ヘルペスは水痘ウイルスとは異なるウイルス感染症で、口や目、性器などに感染、再発を繰り返します。性器に感染したことがあれば、再発は腰や太ももにも出て、しかも帯状疱疹のように神経痛を伴います。発疹(小水疱)がでたらすぐに皮膚科専門医に受診して、水疱からウイルス抗原(単純ヘルペス、水痘)の検出をすれば診断が確定します。
単純ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1),2型(HSV-2)の初感染または潜伏ウイルスの再発によるヘルペス(疱疹)です。
HSV-1の初感染は1〜3歳で受ける場合が多く、学童以降の抗体保有率は30〜35%程度といわれています。一方、性行為によって感染する場合の多いHSV-2の抗体保有率は低いです。
感染したウィルスは、帯状疱疹と同じく、初感染の疾患が治癒した後も知覚神経節に潜伏感染しており、宿主の免疫状態が低下した際などの理由により再活性化されます。その後、口唇ヘルペスや陰部ヘルペスを再発することとなります。
いずれにせよ、治療としては急性期には抗ウィルス剤(アシクロビル、ビダラビンなど)の投与、疼痛対策(ロキソニン内服など)、局所治療(スレンダム軟膏 塗布など)を行うことが重要です。
抗ウィルス剤は中等症までの例では内服を、免疫能低下例、重症例、急速な皮疹拡大例などでは点滴静注を行います。疼痛には、非ステロイド系消炎剤を主体とし、疼痛の激しい例では神経ブロックや抗うつ剤の併用を行うこともあります。
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