これから夏に向けて、1年で最も紫外線が多くなる季節。紫外線は白内障など目の病気と関係があることが知られている。金沢医科大などの調査で、ビルや路面からの反射が多いオフィス街は、あらゆる角度から目に紫外線が入っていることが明らかになった。海や山などレジャーの場だけでなく、都市生活の中でも目の紫外線対策が必要だという。
金沢医科大とジョンソン・エンド・ジョンソンは昨年9月、都内のオフィスビル街で、目に入ってくる紫外線量を日の出から日の入りまで、マネキンを用いて計測、一昨年9月に同大の屋上で行った同様の調査と紫外線量を比較した。
その結果、太陽を背にしたときに目に入る紫外線の絶対量は金沢よりオフィス街の方が少なかったが、金沢が太陽高度に準じて紫外線量も変化するのに比べ、オフィス街は1日中ほぼ同レベルの紫外線量を浴びていることが明らかになった。特に朝の通勤時間帯である午前7〜8時と夕方の午後4〜5時は、オフィス街の方が金沢より多くの紫外線量を浴びていた。
また、オフィス街では太陽に対して正面を向いていない状態でも、正面を向いたときとほぼ同じぐらいの紫外線量を目にあびていることも分かった。
調査を担当した金沢医大の佐々木洋主任教授は「ビルの壁面や窓、アスファルトから紫外線の反射があるオフィス街では、紫外線があらゆる方向から目に入っていた。目の健康のためには、太陽の直射だけでなく、ビルの壁面や地表からの反射にも注意する必要がある」と指摘する。
紫外線が原因となって発症する目の病気には、「紫外線角膜炎(雪目)」「白内障」「翼状片」がある。このうち、スキーヤーなどに多い雪目は、強烈な紫外線反射で角膜が傷つけられることで起こる。激しい痛みを伴うこともあり、雪目に対する予防対策として、海や山などレジャーの場でサングラスをかける人は多い。
一方、水晶体が白くにごる白内障や、白目部分が黒目にのびてくる翼状片は、慢性的に紫外線を受け続けたことが原因の一つとなっている。どちらも発症までの期間が長く、自覚症状もないため、予防のために積極的に紫外線対策をしている人は少ないのが現状だ。
海外では紫外線による皮膚がんなどが多いこともあり、早くから紫外線対策がとられてきた。米国では1998年から、環境保護庁主導で紫外線対策を啓発するために「UV対策学校プログラム」を実施。学校で子供たちに帽子や日焼け止め、サングラスを使用するよう呼びかけている。
オーストラリアでも
の「5つのS」をかかげ、子供向けに紫外線対策の必要性を説いている。
しかし日本では、環境省が「紫外線マニュアル」を作成しているものの、認知度はあまり高くない。
佐々木主任教授は「日本では、肌への紫外線対策はよく知られるようになったが、目に対してはまだ知らない人が多い。紫外線が蓄積される量が多ければ、それだけ白内障などを発症するリスクが高くなる。リスクを少なくするためには、弱い紫外線でも対策をとるべきで、オフィス街では帽子や日傘に加え、UVカット機能のついた眼鏡・サングラスやコンタクトなどで側方や下方からの紫外線対策をした方がいい」と話している。
(「目を守れ」白内障のリスク高まる オフィス街の紫外線反射、ご用心を)
紫外線は、可視光線(400〜700nm)より短波長の電磁波(400〜10nm)で、可視光線に近い近紫外線UV-A(400〜320nm)、UV-B(320〜280nm)、遠紫外線UV-C(280nm以下)に分けられます。
UV-B(297nm)が最も作用が強く、色素沈着にはUV-A(360nm)が最も作用が強いといわれています。紫外線は透過力が弱く、被曝すると皮膚の発赤、浮腫、水疱、皮膚剥離などを起こします。特に眼の急性症状として角膜炎、結膜炎、角膜潰瘍があり、慢性症状として白内障などがあります。
白内障とは、水晶体が混濁した状態の総称です。大きく分けて、生まれつき水晶体の混濁が認められる先天白内障と、生後何らかの原因で水晶体に混濁が生じた後天白内障があります。
後天白内障は、代謝異常、その他の全身疾患に伴う白内障、老人性白内障、眼疾患に伴う併発白内障、外傷性白内障、薬物・毒物による白内障、白内障嚢外摘出後に起こる後発白内障、実験白内障に分類されます。高齢者では加齢に伴うものが多く、若年者ではアトピー性皮膚炎患者に多く、その約1〜2割が白内障を生じるといわれています。
症状は混濁の部位と程度により異なりますが、
などがあります。
治療としては、以下のようなものがあります。
金沢医科大とジョンソン・エンド・ジョンソンは昨年9月、都内のオフィスビル街で、目に入ってくる紫外線量を日の出から日の入りまで、マネキンを用いて計測、一昨年9月に同大の屋上で行った同様の調査と紫外線量を比較した。
その結果、太陽を背にしたときに目に入る紫外線の絶対量は金沢よりオフィス街の方が少なかったが、金沢が太陽高度に準じて紫外線量も変化するのに比べ、オフィス街は1日中ほぼ同レベルの紫外線量を浴びていることが明らかになった。特に朝の通勤時間帯である午前7〜8時と夕方の午後4〜5時は、オフィス街の方が金沢より多くの紫外線量を浴びていた。
また、オフィス街では太陽に対して正面を向いていない状態でも、正面を向いたときとほぼ同じぐらいの紫外線量を目にあびていることも分かった。
調査を担当した金沢医大の佐々木洋主任教授は「ビルの壁面や窓、アスファルトから紫外線の反射があるオフィス街では、紫外線があらゆる方向から目に入っていた。目の健康のためには、太陽の直射だけでなく、ビルの壁面や地表からの反射にも注意する必要がある」と指摘する。
紫外線が原因となって発症する目の病気には、「紫外線角膜炎(雪目)」「白内障」「翼状片」がある。このうち、スキーヤーなどに多い雪目は、強烈な紫外線反射で角膜が傷つけられることで起こる。激しい痛みを伴うこともあり、雪目に対する予防対策として、海や山などレジャーの場でサングラスをかける人は多い。
一方、水晶体が白くにごる白内障や、白目部分が黒目にのびてくる翼状片は、慢性的に紫外線を受け続けたことが原因の一つとなっている。どちらも発症までの期間が長く、自覚症状もないため、予防のために積極的に紫外線対策をしている人は少ないのが現状だ。
海外では紫外線による皮膚がんなどが多いこともあり、早くから紫外線対策がとられてきた。米国では1998年から、環境保護庁主導で紫外線対策を啓発するために「UV対策学校プログラム」を実施。学校で子供たちに帽子や日焼け止め、サングラスを使用するよう呼びかけている。
オーストラリアでも
・Slap hat(つばの広い帽子)
・Slip clothing(肌を守る洋服)
・Slop(日焼け止めクリーム)
・Seek(日陰の利用)
・Slide(紫外線カットサングラス)
の「5つのS」をかかげ、子供向けに紫外線対策の必要性を説いている。
しかし日本では、環境省が「紫外線マニュアル」を作成しているものの、認知度はあまり高くない。
佐々木主任教授は「日本では、肌への紫外線対策はよく知られるようになったが、目に対してはまだ知らない人が多い。紫外線が蓄積される量が多ければ、それだけ白内障などを発症するリスクが高くなる。リスクを少なくするためには、弱い紫外線でも対策をとるべきで、オフィス街では帽子や日傘に加え、UVカット機能のついた眼鏡・サングラスやコンタクトなどで側方や下方からの紫外線対策をした方がいい」と話している。
(「目を守れ」白内障のリスク高まる オフィス街の紫外線反射、ご用心を)
紫外線は、可視光線(400〜700nm)より短波長の電磁波(400〜10nm)で、可視光線に近い近紫外線UV-A(400〜320nm)、UV-B(320〜280nm)、遠紫外線UV-C(280nm以下)に分けられます。
UV-B(297nm)が最も作用が強く、色素沈着にはUV-A(360nm)が最も作用が強いといわれています。紫外線は透過力が弱く、被曝すると皮膚の発赤、浮腫、水疱、皮膚剥離などを起こします。特に眼の急性症状として角膜炎、結膜炎、角膜潰瘍があり、慢性症状として白内障などがあります。
白内障とは、水晶体が混濁した状態の総称です。大きく分けて、生まれつき水晶体の混濁が認められる先天白内障と、生後何らかの原因で水晶体に混濁が生じた後天白内障があります。
後天白内障は、代謝異常、その他の全身疾患に伴う白内障、老人性白内障、眼疾患に伴う併発白内障、外傷性白内障、薬物・毒物による白内障、白内障嚢外摘出後に起こる後発白内障、実験白内障に分類されます。高齢者では加齢に伴うものが多く、若年者ではアトピー性皮膚炎患者に多く、その約1〜2割が白内障を生じるといわれています。
症状は混濁の部位と程度により異なりますが、
・霧視:視野に霧がかかったように見える状態。特定の部位が見にくいなどの暗点が生じるのでなく、全体的にまんべんなく「かすむ」症状が特徴的です。
・羞明:過度にまぶしい状態。日当たりの強い場所や車のヘッドライトに対し、強いまぶしさを感じることがあります。
・視力障害:一般的に徐々に進行するので、視力障害は緩徐に起こります。
などがあります。
治療としては、以下のようなものがあります。
治療法としては、薬物療法や手術療法があります。薬物によって水晶体の混濁を軽減することは不可能であり、薬物療法は、混濁の進行を遅らせる目的で行われ、混濁の除去には、手術が選択されます。
薬物療法としては、白内障治療薬であるピレノキシン(カタリン、カリーユニ)、グルタチオン(タチオン点眼用)などがもちいられます。
手術に踏み切るかは、症例によって大きく異なりますが、目安として矯正視力がだいたい0.6くらいになると手術を考慮します。手術は局所麻酔で行うことが多く、外来もしくは短期間の入院によって行います。成人に対する一般的手術方法としては、無縫合小切開超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術を行います。
具体的には、水晶体の基底膜である水晶体嚢の角膜寄りのところを円形に切除し、ここから水晶体内容物を超音波で破砕し、吸引しながら除去します。中身のなくなった水晶体嚢に、プラスチック製の眼内レンズを挿入します。
眼内レンズは、保険が適用されのは、遠くなら遠くだけ、近くなら近くだけといった具合に、1ヶ所にだけ焦点を合わせた単焦点レンズですが、遠見と近見とも一定の視力が得られる多焦点レンズも存在します。左右眼の度数を調整し、軽い近視となるように選択することが多いようです。
手術では、約0.1%程度に術前より視力が低下してしまう例があり、失明につながるような眼内炎などのリスクも存在します。しっかりとリスクを検討の上、手術を受けられることをお勧めいたします。
また、上記のように紫外線が原因となることも指摘されています。予防対策をすることも大切であると思われます。
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薬物療法としては、白内障治療薬であるピレノキシン(カタリン、カリーユニ)、グルタチオン(タチオン点眼用)などがもちいられます。
手術に踏み切るかは、症例によって大きく異なりますが、目安として矯正視力がだいたい0.6くらいになると手術を考慮します。手術は局所麻酔で行うことが多く、外来もしくは短期間の入院によって行います。成人に対する一般的手術方法としては、無縫合小切開超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術を行います。
具体的には、水晶体の基底膜である水晶体嚢の角膜寄りのところを円形に切除し、ここから水晶体内容物を超音波で破砕し、吸引しながら除去します。中身のなくなった水晶体嚢に、プラスチック製の眼内レンズを挿入します。
眼内レンズは、保険が適用されのは、遠くなら遠くだけ、近くなら近くだけといった具合に、1ヶ所にだけ焦点を合わせた単焦点レンズですが、遠見と近見とも一定の視力が得られる多焦点レンズも存在します。左右眼の度数を調整し、軽い近視となるように選択することが多いようです。
手術では、約0.1%程度に術前より視力が低下してしまう例があり、失明につながるような眼内炎などのリスクも存在します。しっかりとリスクを検討の上、手術を受けられることをお勧めいたします。
また、上記のように紫外線が原因となることも指摘されています。予防対策をすることも大切であると思われます。
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