柔道の井上康生選手の妻でタレントの東原亜希さんが「顔面マヒになったのでは?」と一部で報じられたが、東原さんは2008年5月2日午後に更新したブログで、「そんな重症ではない」と「顔面マヒ報道」を否定した。
東原さんはブログで、「顔面麻痺なんてニュースになってるようですが、私、そんな重症じゃありませぬ…」と釈明。騒動の発端となった同日午前中のブログが「説明不足」だったとした。
ただ、顔面の機能に問題が生じていること自体は否定していない。
「試合翌日から顔の左半分の機能がおかしくなって病院に行ったんだ」と書き込まれており、症状が北京五輪男子100キロ超級代表の最終選考会で、井上選手が準々決勝で敗退した4月29日の全日本選手権の直後から起こったとしている。
症状については、「(病院に行ったら)怒られた。どうやら自然治癒力に頼りすぎらしい。今は薬飲んでるけど」と書かれており、現在は投薬治療を行っていることも告白している。
(東原亜希さん顔面マヒ? 夫・井上康生選手の苦境で)
顔面神経とは、第7脳神経です。運動神経としては眼輪筋、口輪筋、頬骨筋、口唇筋などの表情筋を支配しています。ほかにも、広頸筋、茎突舌骨筋、アブミ骨筋、顎二腹筋後腹などを支配しています。
他にも、舌の前2/3の味覚を支配(鼓索)しており、一般体性感覚枝は外耳道の部分と、外耳後方の小領域の表在感覚を支配しています。
臨床的には顔面神経麻痺というと、顔面神経の支配する顔の表情筋の麻痺が主体となりますが、これが中枢性の麻痺か末梢性の麻痺かを知ることが重要となります。中でも、顔面神経専門外来の約40%を占めるとされるのが、原因不明の急性一側性(稀に両側性)の末梢性顔面神経麻痺であるBell(ベル)麻痺です(末梢性顔面神経麻痺の約7割を占めるといわれる)。
末梢性の顔面神経麻痺である場合、
・前頭筋麻痺:麻痺側では額のしわの消失がみられ、中枢性ではこれが保たれる。
・眼輪筋麻痺:開眼が不完全となる。閉眼不全が高度になると閉眼時に白眼が残り兎眼となる。角膜反射は低下する。
・口輪筋麻痺:浅い鼻唇溝、口角下垂などがみられる。口を閉じて頬を膨らませることができず患側から息がもれる。口から食べ物が漏れる。
・広頸筋麻痺:口を横に広げると患側の広頸筋の収縮がみられない。
・アブミ骨筋神経の麻痺の合併:音が響く、聴覚過敏など
・涙液・唾液分泌低下
・鼓索神経麻痺の合併:麻痺側の舌の前2/3の味覚低下
これらの臨床徴候の組み合わせから、病巣の部位診断がある程度可能となります。
こうした顔面の麻痺が突然ないし急性に発現したか、徐々に発症したか、また片側性か両側性かは、病気の原因となっている病変を推定する際に有用な情報となります。
たとえば、突然ないし急性に発現するのは、中枢性の顔面神経麻痺ではテント上あるいは橋上部までの脳幹の脳血管障害(脳梗塞,脳出血)が多く、麻痺の出現は片側性となります。
末梢性の場合は、上記のようにBell麻痺がほとんどで、時に帯状疱疹ウイルス感染や糖尿病に伴うものがあり、この場合も原則として片側性です(Bell麻痺患者では約1割に再発がみられ、40%は同側、60%は対側に発生する)。ウイルス感染の場合、水痘帯状ヘルペスが原因であり、Ramsay Hunt(ラムゼイ・ハント)症候群として分けられます。
治療としては、以下のようなものがあります。
東原さんはブログで、「顔面麻痺なんてニュースになってるようですが、私、そんな重症じゃありませぬ…」と釈明。騒動の発端となった同日午前中のブログが「説明不足」だったとした。
ただ、顔面の機能に問題が生じていること自体は否定していない。
「試合翌日から顔の左半分の機能がおかしくなって病院に行ったんだ」と書き込まれており、症状が北京五輪男子100キロ超級代表の最終選考会で、井上選手が準々決勝で敗退した4月29日の全日本選手権の直後から起こったとしている。
症状については、「(病院に行ったら)怒られた。どうやら自然治癒力に頼りすぎらしい。今は薬飲んでるけど」と書かれており、現在は投薬治療を行っていることも告白している。
(東原亜希さん顔面マヒ? 夫・井上康生選手の苦境で)
顔面神経とは、第7脳神経です。運動神経としては眼輪筋、口輪筋、頬骨筋、口唇筋などの表情筋を支配しています。ほかにも、広頸筋、茎突舌骨筋、アブミ骨筋、顎二腹筋後腹などを支配しています。
他にも、舌の前2/3の味覚を支配(鼓索)しており、一般体性感覚枝は外耳道の部分と、外耳後方の小領域の表在感覚を支配しています。
臨床的には顔面神経麻痺というと、顔面神経の支配する顔の表情筋の麻痺が主体となりますが、これが中枢性の麻痺か末梢性の麻痺かを知ることが重要となります。中でも、顔面神経専門外来の約40%を占めるとされるのが、原因不明の急性一側性(稀に両側性)の末梢性顔面神経麻痺であるBell(ベル)麻痺です(末梢性顔面神経麻痺の約7割を占めるといわれる)。
末梢性の顔面神経麻痺である場合、
・前頭筋麻痺:麻痺側では額のしわの消失がみられ、中枢性ではこれが保たれる。
・眼輪筋麻痺:開眼が不完全となる。閉眼不全が高度になると閉眼時に白眼が残り兎眼となる。角膜反射は低下する。
・口輪筋麻痺:浅い鼻唇溝、口角下垂などがみられる。口を閉じて頬を膨らませることができず患側から息がもれる。口から食べ物が漏れる。
・広頸筋麻痺:口を横に広げると患側の広頸筋の収縮がみられない。
・アブミ骨筋神経の麻痺の合併:音が響く、聴覚過敏など
・涙液・唾液分泌低下
・鼓索神経麻痺の合併:麻痺側の舌の前2/3の味覚低下
これらの臨床徴候の組み合わせから、病巣の部位診断がある程度可能となります。
こうした顔面の麻痺が突然ないし急性に発現したか、徐々に発症したか、また片側性か両側性かは、病気の原因となっている病変を推定する際に有用な情報となります。
たとえば、突然ないし急性に発現するのは、中枢性の顔面神経麻痺ではテント上あるいは橋上部までの脳幹の脳血管障害(脳梗塞,脳出血)が多く、麻痺の出現は片側性となります。
末梢性の場合は、上記のようにBell麻痺がほとんどで、時に帯状疱疹ウイルス感染や糖尿病に伴うものがあり、この場合も原則として片側性です(Bell麻痺患者では約1割に再発がみられ、40%は同側、60%は対側に発生する)。ウイルス感染の場合、水痘帯状ヘルペスが原因であり、Ramsay Hunt(ラムゼイ・ハント)症候群として分けられます。
治療としては、以下のようなものがあります。
Bell麻痺の場合、予後は一般に良好で、80%は 1〜2か月以内に完全治癒に至ります。ですが、残りは半側顔面筋の拘縮、麻痺、痙攣や異常連合運動など不快な後遺症を残すこともあります。
そのため、完全治癒以外の残り20%の予後不良群をいかに完全に回復させるかが問題となります。理学療法として、顔面の軽いマッサージ、表情運動(発症10日後あたりから)を行ったり、物理療法として寒冷からの保護、蒸しタオルによる顔面温湿布、針治療を行います。
目が閉じない場合、睡眠中には,角膜乾燥を防ぐため、紙テープなどで上眼瞼を押さえ乾燥・外傷から角膜を保護することも行われます。日中は眼帯、めがねなどを用い、点眼薬で乾燥を防ぎます。
薬物療法としては、ステロイド(顔面神経の浮腫を改善し、顔面神経管内での絞扼状態から神経変性を防ぐ)、血管拡張薬を投与します。星状神経節ブロックといって、頸動脈や椎骨動脈領域の血流を増加させ、顔面神経への血行を改善させることも行われます。
軽症例は自然回復することが多く、ビタミン剤のみで経過をみることもあります。麻痺が高度な例の急性期(発症3日以内)には、顔面神経の炎症・浮腫を軽減する目的で副腎皮質ステロイド薬を短期間使用します(プレドニゾロンを1日1mg/kgを最初の5日間投与しその後の5日間で漸減・中止)。
また、顔面神経麻痺出現後に帯状疱疹の皮疹が出現することもあることから、発症早期に抗ウィルス薬であるアシクロビル、バラシクロビルを併用することもあります。
東原さんの場合、どのような状態なのかは分かりません。軽症とのことなので、しっかりと休養なさって、治療を行って欲しいと思われます。
【関連記事】
有名人の症例集
帯状疱疹を1万人対象で、実態調査へ
そのため、完全治癒以外の残り20%の予後不良群をいかに完全に回復させるかが問題となります。理学療法として、顔面の軽いマッサージ、表情運動(発症10日後あたりから)を行ったり、物理療法として寒冷からの保護、蒸しタオルによる顔面温湿布、針治療を行います。
目が閉じない場合、睡眠中には,角膜乾燥を防ぐため、紙テープなどで上眼瞼を押さえ乾燥・外傷から角膜を保護することも行われます。日中は眼帯、めがねなどを用い、点眼薬で乾燥を防ぎます。
薬物療法としては、ステロイド(顔面神経の浮腫を改善し、顔面神経管内での絞扼状態から神経変性を防ぐ)、血管拡張薬を投与します。星状神経節ブロックといって、頸動脈や椎骨動脈領域の血流を増加させ、顔面神経への血行を改善させることも行われます。
軽症例は自然回復することが多く、ビタミン剤のみで経過をみることもあります。麻痺が高度な例の急性期(発症3日以内)には、顔面神経の炎症・浮腫を軽減する目的で副腎皮質ステロイド薬を短期間使用します(プレドニゾロンを1日1mg/kgを最初の5日間投与しその後の5日間で漸減・中止)。
また、顔面神経麻痺出現後に帯状疱疹の皮疹が出現することもあることから、発症早期に抗ウィルス薬であるアシクロビル、バラシクロビルを併用することもあります。
東原さんの場合、どのような状態なのかは分かりません。軽症とのことなので、しっかりと休養なさって、治療を行って欲しいと思われます。
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