今春以降、百日ぜき患者の報告数増加に歯止めが掛からず、過去10年で突出して多かった2000年の水準をも大きく上回っていることが国立感染症研究所のまとめで分かった。成人患者が4割近くを占めている。
安井良則主任研究官は「小児中心の流行形態が変化し、大人の間で流行するようになった。現在の小児科定点の調査では、実態把握は困難だ」としている。
同研究所によると、12日から18日までの1週間に全国約3,000ヶ所の定点医療機関から報告された患者は325人。1ヶ所当たりで、近年多くても0.02〜0.04人程度だったのが、0.1人を超えた。
都道府県別では、広島45人、愛媛26人、埼玉、愛知各24人、千葉23人が多かった。
今年に入ってからの累積は2177人で、00年の同時期(1365人)の約1.6倍。20歳以上の割合は年々増加し、今年はこれまでのところ37.5%を占めている。
成人の百日ぜきは重症化せず、見過ごされることも多いが、乳幼児に感染させると生命にかかわる。同研究所は今月8日、成人の発生動向の実態を把握するためデータベースを立ち上げた。
(百日ぜき増加止まらず 流行形態に変化 4割が成人患者)
百日咳とは、百日咳菌(Bordetella pertussis)による、長期間にわたる特徴的な激しい咳を主症状とする急性呼吸器感染症です。潜伏期は1〜2週間で、病期はカタル期、痙咳期、回復期と進んでいきます。全経過は6〜12週間程度となっています。
カタル期では感冒症状が1〜2週間持続するため、単なる風邪、と見逃されることもあります。鎮咳薬などによる治療にもかかわらず軽快せず、逆にせきが増悪するといった場合、百日咳を疑うことも重要です。
激しい反復性の乾いた咳(スタッカート)と、咳き込みの合間に「ヒュー」という笛声(whoop)を上げながらのけいれん性吸気、というサイクルの繰り返し(レプリーゼ)を特徴とする痙咳期(4〜6週間)を迎え、数ヶ月以上かけて回復していきます。ですが、その回復している最中にも、気道感染を併発すると痙咳期並みの症状を呈することがあります。
具体的には、以下のような症状がみられます。
診断としては、特徴的なせき発作(レプリーゼ)とリンパ球増多があれば臨床診断は容易となります。CRPなどの炎症反応は陰性ですが、白血球増多が著明で、15,000/μl以上になることが多く、リンパ球優位(70%以上)となります(ただ、白血球数が正常な例もある)。
血清診断はPT(pertussis toxin)、FHA(filamentous hemagglutinin)に対するIgG抗体(EIA)の測定が推奨されています。確定診断はRegan-Lowe培地、Bordet-Gengou培地、を用いて鼻咽喉スワブ、咳嗽飛沫からの百日咳菌分離によります。ただし培養期間は長く(通常10〜14日間)、迅速診断の目的には適しません。
治療としては、以下のようなものがあります。
安井良則主任研究官は「小児中心の流行形態が変化し、大人の間で流行するようになった。現在の小児科定点の調査では、実態把握は困難だ」としている。
同研究所によると、12日から18日までの1週間に全国約3,000ヶ所の定点医療機関から報告された患者は325人。1ヶ所当たりで、近年多くても0.02〜0.04人程度だったのが、0.1人を超えた。
都道府県別では、広島45人、愛媛26人、埼玉、愛知各24人、千葉23人が多かった。
今年に入ってからの累積は2177人で、00年の同時期(1365人)の約1.6倍。20歳以上の割合は年々増加し、今年はこれまでのところ37.5%を占めている。
成人の百日ぜきは重症化せず、見過ごされることも多いが、乳幼児に感染させると生命にかかわる。同研究所は今月8日、成人の発生動向の実態を把握するためデータベースを立ち上げた。
(百日ぜき増加止まらず 流行形態に変化 4割が成人患者)
百日咳とは、百日咳菌(Bordetella pertussis)による、長期間にわたる特徴的な激しい咳を主症状とする急性呼吸器感染症です。潜伏期は1〜2週間で、病期はカタル期、痙咳期、回復期と進んでいきます。全経過は6〜12週間程度となっています。
カタル期では感冒症状が1〜2週間持続するため、単なる風邪、と見逃されることもあります。鎮咳薬などによる治療にもかかわらず軽快せず、逆にせきが増悪するといった場合、百日咳を疑うことも重要です。
激しい反復性の乾いた咳(スタッカート)と、咳き込みの合間に「ヒュー」という笛声(whoop)を上げながらのけいれん性吸気、というサイクルの繰り返し(レプリーゼ)を特徴とする痙咳期(4〜6週間)を迎え、数ヶ月以上かけて回復していきます。ですが、その回復している最中にも、気道感染を併発すると痙咳期並みの症状を呈することがあります。
具体的には、以下のような症状がみられます。
・カタル期
カタル期は、感冒症状(軽度の上気道症状)が1〜2週間持続します。
・痙咳期
鎮咳薬などにより治療を行っても軽快せず、逆に咳がひどくなります。中枢性鎮咳薬には大きな効果は期待できず、かえって増悪することもあるので、百日咳が強く疑われる時には使用しない場合もあります。
この頃になると咳は、スタッカート様の短く連続的な咳になり、悪心・嘔吐を伴うようになります。ちなみに咳は、増殖した菌によって産生された毒素の結合により、気管支平滑筋が攣縮することで生じると考えられています。
さらに、せき発作は数回から十数回の連続的なせきに引き続き、吸気時には「ヒューヒュー」という吸気性笛声音を伴うようになります。せき発作と吸気性笛声音とを繰り返し(レプリーゼ)、透明粘稠な喀痰排出をもって咳発作が治まります。
発作時には顔面紅潮し、眼瞼浮腫、点状出血などを伴うことが多く、乳児、重症例などでは発作時にチアノーゼ、あるいは無呼吸発作を伴うこともあります。
・回復期
痙咳期は2〜6週間持続し、以後は1〜3週間で次第に軽快していきます。ただ、回復していく最中にも気道感染を併発すると、痙咳期並みの症状を呈することがあります。
診断としては、特徴的なせき発作(レプリーゼ)とリンパ球増多があれば臨床診断は容易となります。CRPなどの炎症反応は陰性ですが、白血球増多が著明で、15,000/μl以上になることが多く、リンパ球優位(70%以上)となります(ただ、白血球数が正常な例もある)。
血清診断はPT(pertussis toxin)、FHA(filamentous hemagglutinin)に対するIgG抗体(EIA)の測定が推奨されています。確定診断はRegan-Lowe培地、Bordet-Gengou培地、を用いて鼻咽喉スワブ、咳嗽飛沫からの百日咳菌分離によります。ただし培養期間は長く(通常10〜14日間)、迅速診断の目的には適しません。
治療としては、以下のようなものがあります。
投薬はカタル期に行えば有効で、マクロライド系抗菌薬が第1選択となります。痙咳期では軽症化は期待できませんが、感染の拡大を防ぐ観点から、痙咳期の患者にも抗菌療法は施行することはあるようです。ピペラシリン、第三世代のセフェム系抗菌薬も感受性が高いと言われており、経口摂取困難な症例、重症例には適応があります。
百日咳毒素に対する抗体(抗毒素)を高力価で含む、免疫グロブリン製剤の大量静注が痙咳期においても軽症化に有効とする報告もあり、重症例などで用いられているケースもあるようです(ただし保険適応外)。
中枢性鎮咳薬には大きな効果は期待できず、かえって増悪することもあります。ステロイド剤が有効な場合もあり、重症例では考慮することもあります。
予防にはDPT接種が第一となります。また、接触後無症状のうち(潜伏期)にマクロライド系抗菌薬を2週間投与するのも有効であるといわれています。患者と接触のあった人は、こうした方策をとることも重要であると思われます(子どもで、まだDPTワクチン接種が3回以内の場合は追加接種)。
上記のように、子供だけではなく成人でも百日咳の流行が起こることがあります。「風邪かな?」と思って実は百日咳だったということもあり、疑った場合、すぐに病院に行って検査を受けるといったことが必要であると思われます。
【関連記事】
生活の中の医学
風邪の後、咳だけ続く…何故?
百日咳毒素に対する抗体(抗毒素)を高力価で含む、免疫グロブリン製剤の大量静注が痙咳期においても軽症化に有効とする報告もあり、重症例などで用いられているケースもあるようです(ただし保険適応外)。
中枢性鎮咳薬には大きな効果は期待できず、かえって増悪することもあります。ステロイド剤が有効な場合もあり、重症例では考慮することもあります。
予防にはDPT接種が第一となります。また、接触後無症状のうち(潜伏期)にマクロライド系抗菌薬を2週間投与するのも有効であるといわれています。患者と接触のあった人は、こうした方策をとることも重要であると思われます(子どもで、まだDPTワクチン接種が3回以内の場合は追加接種)。
上記のように、子供だけではなく成人でも百日咳の流行が起こることがあります。「風邪かな?」と思って実は百日咳だったということもあり、疑った場合、すぐに病院に行って検査を受けるといったことが必要であると思われます。
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