以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。

1980年イギリス・ロンドン。「デッド・オア・アライブ」は、デビューとともに若い女性たちの間に一大センセーションを巻き起こした。85年には大ヒット曲「ユー・スピン・ミー・ラウンド」でアメリカをはじめ、世界17か国で1位を記録。その後もヒット曲を連発。「デッド・オア・アライブ」は一躍、世界のスーパースターとなり、莫大な冨と名声を手に入れた。

ピートは豪邸で美しい妻と、好きなものを好きなだけ買いあさる夢のような生活を始めた。しかしピートはなぜか満足できない気持ちでいた。そして整形手術を受けたいと言い出したのだ。実は当時、カルチャークラブのボーイ・ジョージやデビッド・ボウイなど男でありながら美しく、妖艶なスターたちが大人気だった。もっと、カリスマであるためには彼らのように美しくなることが大切だと考えたのだ。

もちろん、不安がない訳ではないがピートの決意は固かった。男性的な鼻をすっとした鼻に変えたかったのだ。1985年、ピート24歳の時。彼は初めての美容整形手術を受けた。これできっと美しくなれる…。そう信じて包帯を取ると、なんとスッとするはずの鼻はふくらみ歪んでしまっていたのだ。すぐに別の病院に行き、手術のやり直し。今度は満足のいく鼻。となると、欲が出てくる。今度は頬を高くしてホリの深い顔にしたくなった。この手術で、より理想の顔に近づける…。ところが、結果は満足いくものでなく、これなら、前の方がマシだったと再手術を受けて、元に戻した。その後も美の追求は止まらず、おでこのシワを取り除くボトックス注射にも挑戦。

そんな頃、デッド・オア・アライブに異変が起こった。メンバーと対立、4人のうち2人が脱退してしまったのだ。さらにレコード会社とももめて、イギリスでのレコード発売が途絶えるはめに…。人気のある日本だけアルバムを何枚かリリースするにとどまった。当然収入も激減。それでもピートの美の追求は収まらなかった。

38歳では唇の整形。薄い唇を、ふっくらセクシーに変えたかった。そこで医者に勧められるままに、コンタクトレンズの材料にも使われる化合物でできた、特殊なジェルを唇に注射する方法を試した。このジェルならコラーゲンやヒアルロン酸などのように体に吸収されてなくなってしまう物ではないため、整形にとっては理想的な物質なのだという。その効果はというと、当初、本人は大満足だったが数週間後、唇がしぼんできてしまった。

体に吸収されないはずの特殊なジェル…。医師は不思議に思いながら、10日おきにジェルを追加した。しかし、また小さくなってしまい、今度は5日おきにジェルを追加した。すると唇がひどく痛み出し、熱っぽく感じ始めた。実は唇の中で大量のジェルを包み込むように肉芽腫というしこりが出来ていた。しかしなんと医師は、肉芽腫を取り出さず、バランスの悪くなった唇の外見を治す手術をしたのだ。はれた重みで下がった唇を手術で持ち上げた。それは最悪の傷跡となった。

そしてピート43歳の時、なんとジェルの大量注入でできた肉芽腫からばい菌が入り、化膿していたのだ。ふくれあがった唇から、膿が吹き出している。すぐにICUに運ばれたが、実はこの時、ジェルが血液に入り込んで腎臓の血管を詰まらせていた。ピートは、腎不全、腸障害になりさらには失明の危機にも直面した。激しい全身の痛み…毎夜地獄の苦しみが続く。

その後、体調は徐々に回復していったが、もはや人前には出られる顔ではなくなっていた。あの栄光の日々は、もう二度と戻らないのか?ピートは最後の望みを託し、イタリアへ飛んだ。顔面再生を専門とする医師の診察を受けるためだった。

その診断結果はかなりの重症だった。顔中にしこりが出来ていて、顔の皮膚をはがして、一つ一つ削り取っていくしかなく、唇も切り取って、つくり直す必要があるということだった。すぐに顔面再生手術が始められた。皮膚をめくり、肉芽腫を一つ一つ取り出す、地道な手術が、週に2回ずつ、100回以上も行われた。さらにダメになった上唇を切り取り、そこに下唇を縫い合わせる。縫い合わせた。部分が上唇に定着したら上下に切り分ける、という方法で唇を再生した。ピートは数週間しゃべることもできない流動食の生活を強いられた。繰り返される手術で無残に崩壊した唇は徐々に改善していったが、この治療のためにピートは全財産を使い果たした。豪邸も手放した。それでも足りず、過去のヒット作すべての著作権も売り渡した。1年半に及んだ治療…どん底の生活。世間からも忘れ去られピートには助けを求める相手もいなかった。

そんな時、イギリスのテレビ局「チャンネル4」のプロデューサーから一本の出演依頼の電話が。あるテレビ番組への出演依頼だった。ピートが出演したのは「落ちぶれたセレブたちが一つの家で暮らす」というリアリティ番組。この番組出演でピートは一気に注目を浴び大人気になり、アルバムを発売すればチャート4位の人気ぶりだった。


肉芽腫とは、慢性炎症反応などに対する特異な組織表現型の1つです。

以前は肉芽組織からなる限局性の腫瘤、あるいは腫瘍という意味で用いていたようですが、現在はもっぱら炎症性のものを指しています。肉芽腫には、普通の肉芽組織(組織が損傷を受けたとき、その局所の防御や修復に重要な役割を演じる増殖の盛んな若い結合組織)が形成する腫瘤と、マクロファージないし類上皮細胞が結節状に増殖するものとがあります。

その原因はさまざまで、結核に特徴的で中心に乾酪壊死を伴う乾酪性肉芽腫、中心に脂肪壊死を含む脂肪肉芽腫、手術用縫合糸に対する異物肉芽腫で中心に手術糸が認められる縫合糸肉芽腫、結核やサルコイドーシス、真菌、梅毒などが原因で類上皮細胞が主体の類上皮肉芽腫、炎症性細胞浸潤を伴う炎症性肉芽腫などがあります。

特に、上記のケースのような場合を異物肉芽腫といい、以下のようなものを指します。
特に、皮内ないし皮下に入った異物に対する反応性肉芽腫のことを異物肉芽腫といいます。硬結、結節を呈することが多いですが、潰瘍化することもあります。

異物が組織内に介在すると、これらを取り囲むように異物巨細胞、好中球、マクロファージ、リンパ球などが浸潤し、そこに線維芽細胞が増生して肉芽組織を形成し、結節状になります。

原因としては、外傷によって砂や土などが傷口から入ったり(シリカ、ベリリウムなど)、上記のような美容形成術(流動パラフィン、シリコン)、コラーゲンの皮下注射、刺青などがあります。

こうした異物肉芽腫ができて、異物巨細胞が多数形成され、陳旧化するようになると、結節全体が線維化して、異物は線維内に埋没するようになります。

上記のケースでは、肉芽腫から細菌が入り込み、化膿してしまいました。さらにはジェルが原因で血栓症を起こし、腎不全や腸障害、失明の危機にまで直面したようです。

こうしたケースを考えると、美容整形手術にはリスクがあり、そうなると元に戻すのは非常に難しいのだということを念頭に置く必要があるのだと思わされますね。

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