成人が発症し、糖尿病患者の約95%を占める2型糖尿病のなりやすさに強くかかわる遺伝子を、国立国際医療センターと理化学研究所がそれぞれ中心となった2つのグループが、日本人を対象にした別々の研究で突き止め、17日付米科学誌ネイチャージェネティクス電子版に同時発表した。
特定した遺伝子は「KCNQ1」。従来、心臓の筋肉の動きに重要であることが知られていた。この遺伝子の塩基配列にわずかな違いがあると、2型糖尿病を発症する危険性が1.3〜1.4倍に高まるという。
2型糖尿病に関連する遺伝子は、欧米人対象の解析で数種類見つかっていたが、アジア人で特定されるのは初めて。予防のための体質診断や、新しい治療法の開発につながると期待される。
両グループは、患者と一般人で、遺伝子の塩基配列が1ヶ所だけ異なる「一塩基多型(SNP)」があるかどうかを調べ、発症との関連を統計学的に分析した。
(糖尿病体質示す遺伝子特定 日本の2グループ同時発表)
糖尿病とは、インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的な高血糖状態を指します。自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できます。
1型糖尿病は、自己免疫的機序により、膵臓のインスリン産生を行っているβ細胞の傷害によって起こると考えられます。故に、絶対的なインスリンの不足(産生自体が難しくなるため)が起こってきます。
臨床的には突然発症するかのように見えますが、発症に至るまでに、比較的長期にわたり、β細胞が序々に破壊されるという過程が存在します。1型糖尿病の基盤として、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子が関係しているといわれています(基盤には、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子および環境因子が存在するといわれています。このような自己免疫性1型糖尿病に対して、必ずしも自己免疫的機序が証明しえない症例も少なからず存在します)。
一方、2型糖尿病とは、生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。
上記でいわれている糖尿病は、こちらの2型糖尿病を指しています。糖尿病のなりやすさと遺伝子との関わりとしては、これまでミトコンドリア遺伝子、グルコキナーゼ遺伝子、HNF-1α遺伝子などが報告されていますが、これらの遺伝子の変異で説明できる糖尿病は全体の2〜3%と推定されています。
家族内発症がみられることが多く、以前から何らかの遺伝素因が発症に関与すると考えられていますが、単独で大部分を説明できるものはなく、多くの因子が関わっている疾患であるといえるでしょう。つまり、遺伝的な素因のほかに、カロリー摂取過剰や運動不足といった生活習慣が重なって発症すると考えられます。
こうした考えの中には、倹約遺伝子とよばれるものとの関係も指摘されています。それは、以下のようなものです。
特定した遺伝子は「KCNQ1」。従来、心臓の筋肉の動きに重要であることが知られていた。この遺伝子の塩基配列にわずかな違いがあると、2型糖尿病を発症する危険性が1.3〜1.4倍に高まるという。
2型糖尿病に関連する遺伝子は、欧米人対象の解析で数種類見つかっていたが、アジア人で特定されるのは初めて。予防のための体質診断や、新しい治療法の開発につながると期待される。
両グループは、患者と一般人で、遺伝子の塩基配列が1ヶ所だけ異なる「一塩基多型(SNP)」があるかどうかを調べ、発症との関連を統計学的に分析した。
(糖尿病体質示す遺伝子特定 日本の2グループ同時発表)
糖尿病とは、インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的な高血糖状態を指します。自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できます。
1型糖尿病は、自己免疫的機序により、膵臓のインスリン産生を行っているβ細胞の傷害によって起こると考えられます。故に、絶対的なインスリンの不足(産生自体が難しくなるため)が起こってきます。
臨床的には突然発症するかのように見えますが、発症に至るまでに、比較的長期にわたり、β細胞が序々に破壊されるという過程が存在します。1型糖尿病の基盤として、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子が関係しているといわれています(基盤には、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子および環境因子が存在するといわれています。このような自己免疫性1型糖尿病に対して、必ずしも自己免疫的機序が証明しえない症例も少なからず存在します)。
一方、2型糖尿病とは、生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。
上記でいわれている糖尿病は、こちらの2型糖尿病を指しています。糖尿病のなりやすさと遺伝子との関わりとしては、これまでミトコンドリア遺伝子、グルコキナーゼ遺伝子、HNF-1α遺伝子などが報告されていますが、これらの遺伝子の変異で説明できる糖尿病は全体の2〜3%と推定されています。
家族内発症がみられることが多く、以前から何らかの遺伝素因が発症に関与すると考えられていますが、単独で大部分を説明できるものはなく、多くの因子が関わっている疾患であるといえるでしょう。つまり、遺伝的な素因のほかに、カロリー摂取過剰や運動不足といった生活習慣が重なって発症すると考えられます。
こうした考えの中には、倹約遺伝子とよばれるものとの関係も指摘されています。それは、以下のようなものです。
人類はこれまでの長い歴史においてそのほとんどの期間を飢餓に苦しんできており、食物を得られたときに効率的に脂肪として蓄積できた人のみ生き残ってきたと考えられます。
結果、エネルギー効率のよい倹約遺伝子を持った人が生き残ってきた、といえるのではないでしょうか。逆にいえば、その効率の良さが逆に飽食の時代となり、今度は糖尿病の原因になった、というわけです。
この遺伝子とは、PPARγ(脂肪を蓄積出来ない前駆脂肪細胞を、脂肪を蓄積する脂肪細胞へ分化させる)遺伝子やβ3アドレナリンレセプター(消化管弛緩、脂肪組織における産熱、骨格筋におけるグリコーゲン生合成に関与)遺伝子の変異であるといわれています(もちろん、この遺伝子をもっているというだけで、糖尿病に完全になる、というわけではありません)。こうした遺伝子をもつ人では、消費エネルギーが200〜300kcal少ないとされています。
ですが、結局は日頃の摂取カロリーや運動不足など、環境による因子も肥満や糖尿病発症には大きく関わっています。上記の遺伝子に関しても、1.3〜1.4倍のリスク増、ということのようなので、やはり日頃の生活習慣が重要のようです。
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結果、エネルギー効率のよい倹約遺伝子を持った人が生き残ってきた、といえるのではないでしょうか。逆にいえば、その効率の良さが逆に飽食の時代となり、今度は糖尿病の原因になった、というわけです。
この遺伝子とは、PPARγ(脂肪を蓄積出来ない前駆脂肪細胞を、脂肪を蓄積する脂肪細胞へ分化させる)遺伝子やβ3アドレナリンレセプター(消化管弛緩、脂肪組織における産熱、骨格筋におけるグリコーゲン生合成に関与)遺伝子の変異であるといわれています(もちろん、この遺伝子をもっているというだけで、糖尿病に完全になる、というわけではありません)。こうした遺伝子をもつ人では、消費エネルギーが200〜300kcal少ないとされています。
ですが、結局は日頃の摂取カロリーや運動不足など、環境による因子も肥満や糖尿病発症には大きく関わっています。上記の遺伝子に関しても、1.3〜1.4倍のリスク増、ということのようなので、やはり日頃の生活習慣が重要のようです。
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