「諏訪マタニティークリニック」(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は20日、不妊の娘のために61歳の女性が昨年、代理出産していたことを明らかにした。28日に福岡市で開く日本受精着床学会で発表する。国内での出産例としては、最高齢とみられる。
根津医師はこれまで、生まれつき子宮がないなど妊娠・出産ができない娘に代わり、実母が妊娠・出産する代理出産を4例実施したことを公表、このうちの1例にあたるという。根津医師によると、女性は60歳で妊娠し、出産時が61歳だった。根津医師は「本来なら若い人にしたいが、国内の体制が整備されていないため、このようなケースが出た」と話している。
これまでに明らかになっている国内最高齢の出産は、米国で卵子や受精卵の提供を受けた60歳の女性2人だった。
(国内最高齢61歳の女性 不妊娘のために昨年)
根津八紘院長といえば、不妊の夫婦の受精卵で、妻に代わって出産する「代理出産」を引き受けるボランティア女性を公募すると発表したり(実際、30〜40代女性7、8人が応募したそうです)、国内初の代理母出産を実施し、2001年5月にこれを公表したりとさまざまな『試み』を行い、物議を醸し出しています。
また、上記でも触れられていますが、昨年の10月にアメリカで受精卵の提供を受けて妊娠した60歳の独身日本人女性が帰国し、出産に向けて長野県の諏訪マタニティークリニックで受診していることも明らかになりました。
こうしたことに続き、今回のケースでは61歳の女性が代理出産を行うことになったようです。代理出産とは、妻の生殖器に異常があるため妊娠や出産ができず(先天的に子宮を欠損している女性や子宮摘出を受けた場合)、第三者の女性と代理母契約を結び、夫の精子で人工授精し子供を生んでもらうことを指します。
人工授精や体外受精といった生殖補助技術が発達したため、夫婦以外の第三者の精子、卵子、子宮を使い子供をもつことが可能となってきたため、こうした医療についての議論が生じてきました。
人工授精(artificial insemination with husband's sperm:AIH)とは、排卵日に合わせて女性の体内に精子を注入する治療です。精漿成分や病原体の除去や、運動良好精子の濃縮を行い注入することになります。
一方で、同じ不妊治療の一つである体外受精(IVFと略されます。In Vitro Fertilizationのことです)とは、不妊治療の一つで通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法です。技術的には大きく異なり、受精し、分裂した卵(胚)を子宮内に移植することを含めて体外受精・胚移植(IVF-ET)といいます。卵子を採取し(採卵)、体外で精子と受精させ(媒精、顕微授精)、培養した胚を子宮腔に戻します(胚移植)。
上記のケースでは、娘の卵子をもちいていると考えられ、人工授精ではなく体外受精が行われていると思われます。
代理出産については、生殖補助医療の進展を受けて日本産科婦人科学会が1983年10月に決定した会告により、規制が行われているため、国内では原則として実施されていません。
代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっています。ですが、厚生労働省の審議会が2003年にとりまとめた『精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書』および、日本産科婦人科学会の会告によって、(営利目的での代理出産の禁止、という前提はあるようですが)規制の方向に乗り出されています。
代理母出産を巡っては、以下のような問題点が指摘されています。
根津医師はこれまで、生まれつき子宮がないなど妊娠・出産ができない娘に代わり、実母が妊娠・出産する代理出産を4例実施したことを公表、このうちの1例にあたるという。根津医師によると、女性は60歳で妊娠し、出産時が61歳だった。根津医師は「本来なら若い人にしたいが、国内の体制が整備されていないため、このようなケースが出た」と話している。
これまでに明らかになっている国内最高齢の出産は、米国で卵子や受精卵の提供を受けた60歳の女性2人だった。
(国内最高齢61歳の女性 不妊娘のために昨年)
根津八紘院長といえば、不妊の夫婦の受精卵で、妻に代わって出産する「代理出産」を引き受けるボランティア女性を公募すると発表したり(実際、30〜40代女性7、8人が応募したそうです)、国内初の代理母出産を実施し、2001年5月にこれを公表したりとさまざまな『試み』を行い、物議を醸し出しています。
また、上記でも触れられていますが、昨年の10月にアメリカで受精卵の提供を受けて妊娠した60歳の独身日本人女性が帰国し、出産に向けて長野県の諏訪マタニティークリニックで受診していることも明らかになりました。
こうしたことに続き、今回のケースでは61歳の女性が代理出産を行うことになったようです。代理出産とは、妻の生殖器に異常があるため妊娠や出産ができず(先天的に子宮を欠損している女性や子宮摘出を受けた場合)、第三者の女性と代理母契約を結び、夫の精子で人工授精し子供を生んでもらうことを指します。
人工授精や体外受精といった生殖補助技術が発達したため、夫婦以外の第三者の精子、卵子、子宮を使い子供をもつことが可能となってきたため、こうした医療についての議論が生じてきました。
人工授精(artificial insemination with husband's sperm:AIH)とは、排卵日に合わせて女性の体内に精子を注入する治療です。精漿成分や病原体の除去や、運動良好精子の濃縮を行い注入することになります。
一方で、同じ不妊治療の一つである体外受精(IVFと略されます。In Vitro Fertilizationのことです)とは、不妊治療の一つで通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法です。技術的には大きく異なり、受精し、分裂した卵(胚)を子宮内に移植することを含めて体外受精・胚移植(IVF-ET)といいます。卵子を採取し(採卵)、体外で精子と受精させ(媒精、顕微授精)、培養した胚を子宮腔に戻します(胚移植)。
上記のケースでは、娘の卵子をもちいていると考えられ、人工授精ではなく体外受精が行われていると思われます。
代理出産については、生殖補助医療の進展を受けて日本産科婦人科学会が1983年10月に決定した会告により、規制が行われているため、国内では原則として実施されていません。
代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっています。ですが、厚生労働省の審議会が2003年にとりまとめた『精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書』および、日本産科婦人科学会の会告によって、(営利目的での代理出産の禁止、という前提はあるようですが)規制の方向に乗り出されています。
代理母出産を巡っては、以下のような問題点が指摘されています。
今年2月にまとめられた「生殖補助医療の在り方検討委員会」による報告書素案では、
−といったことが示されているようです。たしかに、営利目的での代理出産が行われるようになった場合、代理母のリスク、そして生まれてくる子供の心に与える影響などの問題が起こってくることも予想されます。上記のように高齢者による妊娠・出産となれば、さらなるリスクが伴うと考えられます。
さらには、生まれる子の親権、自らの親(出自)を知る権利、母子関係など社会的・倫理的な問題点が挙げられています。法的な整備が出来ているとはいえず、やはり現段階で代理出産が容認され、行われるようになるとは言いづらいと思われます。
今後も、こうしたケースは(公表されるかどうかは別として)出てくると思われます。問題が起こる前に、十分な議論や法整備を行っておく必要があると思われます。
【関連記事】
不妊症・不妊治療のまとめ
不妊症の娘に変わり、祖母が孫を出産−国内4例目の報告
・日本産科婦人科学会による現行の自主規制の限界を指摘
・処罰の対象は営利目的での実施に限定する。
・夫婦の精子と卵子を用いた、いわゆる「借り腹」による代理出産について検討
・代理母となる女性が被る身体的・精神的負担や、生まれてくる子供の心に与える影響などの問題があり、代理母が危険を承知で引き受けたとしても、自己決定が十分といえるか疑問がある
−といったことが示されているようです。たしかに、営利目的での代理出産が行われるようになった場合、代理母のリスク、そして生まれてくる子供の心に与える影響などの問題が起こってくることも予想されます。上記のように高齢者による妊娠・出産となれば、さらなるリスクが伴うと考えられます。
さらには、生まれる子の親権、自らの親(出自)を知る権利、母子関係など社会的・倫理的な問題点が挙げられています。法的な整備が出来ているとはいえず、やはり現段階で代理出産が容認され、行われるようになるとは言いづらいと思われます。
今後も、こうしたケースは(公表されるかどうかは別として)出てくると思われます。問題が起こる前に、十分な議論や法整備を行っておく必要があると思われます。
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