「むずむず脚症候群」をご存じだろうか。病名が示すように、脚がむずむずして、脚を絶えず動かしてないと落ち着かない「むずむず」「そわそわ」が続き、こうした症状は夕方から夜間にかけてひどくなるため、夜、眠れず、不眠に陥る病気だ。

日本で200〜500 万人の潜在患者が存在するといわれて、罹患する割合は女性の方が男性の約1.5倍。比較的女性に多い病気といえる。しかし説明しがたい症状と痛みがあるわけではないため、病院には行かず不眠症に陥り、何日もまともな睡眠を得られなくなって初めて医師に助けを求める人もいるそうだ。

「発症後、正しい診断を受けるまでの間に複数の病院を受診し、適切な治療を受けられず、大変な苦しみを味わいました」
「むずむず脚症候群友の会」の代表の良永信男さんは、同じような思いをしている患者さんを1人でも多く救うきっかけになればと友の会を設立され、行政・医療機関等への働きかけ、会員同志の相互交流を目的に活動をされている。しかし、今現在も病気の認知度は低く、医療従事者の中でも認識が不十分であるため、専門外の医師にかかると睡眠薬が処方され、かえって症状が悪化する場合もある。

「睡眠障害専門医の診断を受けるのをお勧めします」と吉永さん。日本睡眠学会認定医は日本睡眠学会のホームページ で調べられる。

良永さんのインターネットを使った独自の調査によると、患者に30〜40歳の女性が多い。脚のむずむずそわそわを病気とは認識せず、毎夜不眠に悩んでいる独女はいないだろうか? 
1.脚に不快感があり、脚を動かしたくてたまらなくなる衝動が起きる。
2.脚を動かしたいという欲求や脚の不快感はじっとしている状態に起きるか、悪化する。
3.脚を動かしたいという欲求や脚の不快感は、歩いたり、脚を動かすことによって改善する。
4.これらの症状は夕方から夜間にかけて起きる。

4項目に当てはまる人は、独りで悩まず専門医の扉を叩くことをお勧めしたい。

病気に限らず、苦しみや悩みは独りでは抱え込まないこと。どんな時もどんな場合も力になってくれる人は必ずいる。
(脚が「むずむず」「そわそわ」していませんか?)


むずむず脚症候群(エクボム症候群、下肢静止不能症候群)とは、片側あるいは両下肢のふくらはぎ辺りを中心に、「虫が這うようなムズムズ感」や「刺されるような不快感」といった異常な感覚があり、そのため随意的または非随意的に(下肢からの感覚入力を増加して、不快感覚から逃れようとする運動であり、随意運動によるものが多いようです)足を「じっとしておられない」状態を指します。

こうした下腿、時に大腿深部にムズムズ感、だるさ、しびれ、鈍痛、灼熱感などの漠然とした不快感が一側性あるいは両側性に出現することが特徴的です。主に夜間の入眠後30分以内に起きたり、1〜2時間にわたって持続します。

就寝時に、しばしば異常感覚のため入眠が妨げられ、足を動かすことによってのみその不快感から逃れることができるといいます。そのため、そのため患者さんは、眠れなくなったり、不穏な状態になってしまいます。結果、うつ状態になることもあります。

実は「むずむず脚症候群」は、人口の2〜4%程度に見られ、決して珍しくはありません。どの年代でも起こりうるものですが、若干女性の方が頻度が高いようです。

発症する原因は、脳内のドーパミンというホルモンの働きの低下や、鉄分の欠乏などが関与する(貧血、ビタミン欠乏、癌、糖尿病や加齢などが挙げられている)と考えられています。

ちなみに貧血では、神経系において情報の受け渡しを行うドーパミンが、鉄分が不足すると分泌量が減り、情報を正しく伝えることができなくなってしまうといわれています。

特、に若い方で発症する場合には、遺伝的な要素があるのではないかと指摘されています。また、妊娠中、腎不全、リウマチの方に多いことも知られています。

治療法としては、以下のようなものがあります。
治療法としては、パーキンソン病治療で用いるドーパミンの働きを補う薬などが有効であるといわれています。具体的には、メネシット、ペルマックス、パーロデルなどが、効果を発揮することもあります。また、現在、欧米で開発された薬剤を日本に導入するため、いくつかの臨床試験も行われています。

抗てんかん薬であるランドセン、リボトリール、催眠鎮静剤であるコンスタン、ソラナックス、マイスリーなどを就寝時に服用すると効果があるといわれています。

上記の症状などが当てはまった方は、日本睡眠学会のホームページで、学会認定医や認定医療機関を検索されてはいかがでしょうか。

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