米国で最も権威がある医学賞で、ノーベル賞の登竜門ともいわれる「ラスカー賞」の今年の受賞者に、血中のコレステロール値を下げる薬「スタチン」を発見した、バイオファーム研究所(東京)の遠藤章所長(74)ら5人が選ばれた。米アルバート・アンド・メアリー・ラスカー財団が14日発表した。授賞式は26日にニューヨークで行われる。
遠藤氏は秋田県出身で東北大農学部卒。製薬会社三共(現第一三共)の研究員時代に6,000種のカビやキノコを調べ、昭和48年に青カビの培養液中から、体内でのコレステロール合成を調整する酵素を阻害する物質「コンパクチン(メバスタチン)」を発見。ニワトリや犬の実験で、血中のコレステロールを劇的に低下させる効果があることを突き止めた。
(ラスカー賞に遠藤章氏 高脂血症薬スタチン発見)
高コレステロール血症とは、血中のコレステロール値が増加する状態を指します。空腹時の総コレステロール(TC)値が220mg/dL以上、LDLコレステロール(LDL-C)値が140mg/dL以上の場合を指します。
LDLコレステロールはいわゆる「悪玉コレステロール」、HDLコレステロールは「善玉コレステロール」といわれ、前者はその値が高いと問題となり、後者は少ないことが問題となります。現在、HDLはコレステロールの逆転送にかかわると考えられており、低HDL血症は粥状動脈硬化のリスクファクターの一つとされています。
高コレステロール血症は、20歳以降に加齢に伴い徐々に増加していきます。特に女性では、更年期を機に急速に増加する傾向にあります。
総コレステロール値は、LDL、HDL、VLDL中のコレステリルエステルの総和となっています。つまり、総コレステロール値が基準範囲内であっても、LDLの値が高い(その際、HDLが少ない状態であるとも考えられる)、という状態も考えられ、注意が必要となります。
高コレステロール血症は、それ単体では自覚症状を伴いません。ですが、高HDLコレステロール血症以外の高コレステロール血症は、虚血性心疾患や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患の最も重要なリスクファクターであると考えられています。
そのため、これら疾患の予防または再発予防のために、高コレステロール血症の治療を行うことは非常に重要です。治療法としては、以下のようなものがあります。
遠藤氏は秋田県出身で東北大農学部卒。製薬会社三共(現第一三共)の研究員時代に6,000種のカビやキノコを調べ、昭和48年に青カビの培養液中から、体内でのコレステロール合成を調整する酵素を阻害する物質「コンパクチン(メバスタチン)」を発見。ニワトリや犬の実験で、血中のコレステロールを劇的に低下させる効果があることを突き止めた。
(ラスカー賞に遠藤章氏 高脂血症薬スタチン発見)
高コレステロール血症とは、血中のコレステロール値が増加する状態を指します。空腹時の総コレステロール(TC)値が220mg/dL以上、LDLコレステロール(LDL-C)値が140mg/dL以上の場合を指します。
LDLコレステロールはいわゆる「悪玉コレステロール」、HDLコレステロールは「善玉コレステロール」といわれ、前者はその値が高いと問題となり、後者は少ないことが問題となります。現在、HDLはコレステロールの逆転送にかかわると考えられており、低HDL血症は粥状動脈硬化のリスクファクターの一つとされています。
高コレステロール血症は、20歳以降に加齢に伴い徐々に増加していきます。特に女性では、更年期を機に急速に増加する傾向にあります。
総コレステロール値は、LDL、HDL、VLDL中のコレステリルエステルの総和となっています。つまり、総コレステロール値が基準範囲内であっても、LDLの値が高い(その際、HDLが少ない状態であるとも考えられる)、という状態も考えられ、注意が必要となります。
高コレステロール血症は、それ単体では自覚症状を伴いません。ですが、高HDLコレステロール血症以外の高コレステロール血症は、虚血性心疾患や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患の最も重要なリスクファクターであると考えられています。
そのため、これら疾患の予防または再発予防のために、高コレステロール血症の治療を行うことは非常に重要です。治療法としては、以下のようなものがあります。
まず、食事療法、運動療法などによるライフスタイル改善が根幹にあります。カロリー制限・栄養素配分などに加え、1日3食の配分をほぼ均等にし、間食をしないなどの食生活の改善も重要です。
3〜6ヶ月観察しても管理基準に達しない場合には、薬物療法を開始します。ただ、動脈硬化性疾患を生じた症例や、LDL-C値が200mg/dLを超えておりライフスタイル改善のみではコントロール困難な症例では、早期から薬物療法を開始します。
薬物療法としては、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、陰イオン交換樹脂、プロブコールのいずれか単独、あるいは適宜併用にてコントロールを図ります。ただ、高脂血症治療として、LDLコレステロール値が優位に上昇している場合はスタチン、中性脂肪値が優位に上昇している場合にはフィブラート系薬剤、あるいはニコチン酸誘導体を第1選択薬として用います。
スタチンは、コレステロール生合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害するといわれています。つまり、スタチンは体内でのコレステロール合成を阻害し、血清コレステロール値を低下させることで高コレステロール血症を治療する薬と言えると思われます。
こうした作用は、コレステロール合成の主要臓器である肝臓、小腸に選択的であり、血清コレステロール値を低下させ、血清脂質を改善させるといわれています。
ただ、副作用として筋肉痛、CK(クレアチニンキナーゼ)上昇、横紋筋融解が起こる可能性があり、とくに腎機能低下例、フィブラート系薬剤やエリスロマイシンとの併用時には注意が必要であると考えられています。さらに、肝機能異常も起こりえます。
高コレステロール血症の治療薬としては、非常に重要な役割を演じているスタチンですが、それがこうした栄えある賞に選ばれたのは驚きでした。MRIやCTなども、今となっては当たり前となっているものも、実は劇的に医療を変えてきたものなのだ、と検めて考えさせられました。
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生活の中の医学
歯周病と、心疾患などの全身疾患との関係性
3〜6ヶ月観察しても管理基準に達しない場合には、薬物療法を開始します。ただ、動脈硬化性疾患を生じた症例や、LDL-C値が200mg/dLを超えておりライフスタイル改善のみではコントロール困難な症例では、早期から薬物療法を開始します。
薬物療法としては、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、陰イオン交換樹脂、プロブコールのいずれか単独、あるいは適宜併用にてコントロールを図ります。ただ、高脂血症治療として、LDLコレステロール値が優位に上昇している場合はスタチン、中性脂肪値が優位に上昇している場合にはフィブラート系薬剤、あるいはニコチン酸誘導体を第1選択薬として用います。
スタチンは、コレステロール生合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害するといわれています。つまり、スタチンは体内でのコレステロール合成を阻害し、血清コレステロール値を低下させることで高コレステロール血症を治療する薬と言えると思われます。
こうした作用は、コレステロール合成の主要臓器である肝臓、小腸に選択的であり、血清コレステロール値を低下させ、血清脂質を改善させるといわれています。
ただ、副作用として筋肉痛、CK(クレアチニンキナーゼ)上昇、横紋筋融解が起こる可能性があり、とくに腎機能低下例、フィブラート系薬剤やエリスロマイシンとの併用時には注意が必要であると考えられています。さらに、肝機能異常も起こりえます。
高コレステロール血症の治療薬としては、非常に重要な役割を演じているスタチンですが、それがこうした栄えある賞に選ばれたのは驚きでした。MRIやCTなども、今となっては当たり前となっているものも、実は劇的に医療を変えてきたものなのだ、と検めて考えさせられました。
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