読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
前者(構築性側弯)が一般に脊柱側弯症と呼ばれるものです。つまり、曲がって元に戻らなくなったものを構築性側弯といい、これらがいわゆる側弯症です。一方、後者(機能性側弯)とは、痛みや脚長差、不良姿勢などの原因で側弯が生じているもので、原因が取り除かれれば側弯は消失するものを指します。
脊柱側弯症には特発性、先天性(脊椎の分節異常や形成異常)のほかに神経・筋原性疾患(脳性麻痺や二分脊椎、筋ジストロフィーなどに合併)、マルファン症、多発性神経線維腫症、骨系統疾患などさまざまな疾患で発症します。
最も頻度が高いのは特発性側弯症で、側弯全体の70%を占め、上記のように大部分は思春期の女子に発症します。その頻度は女子では男子の約7倍で、思春期女子の2%前後となっています。骨格が未成熟な例は進行しやすくなっています。
症状としては変形に起因する外見上の問題と心理的ストレス、腰背部痛、神経症状などで放置して高度弯曲になると呼吸器に影響を生じてしまいます。腰痛を伴う場合には、椎間板ヘルニアなどに伴う疼痛性側弯、変性側弯症、類骨骨腫に伴う側弯などが考えられます。
必要な検査としては、以下のようなものがあります。
高校3年の娘ですが、中学3年の頃、背骨が曲がっていることに気づきました。医師からは治療は必要ないと言われましたが最近、腰痛を訴え背中の右側が少し出っ張っています。(51歳母)この相談に対して、聖隷佐倉市民病院長の南昌平先生は、以下のようにお答えになっています。
脊柱側わん症は、背骨がねじれを伴って横に曲がってくる病気です。通常、自覚症状はありませんが、わん曲が大きくなると年をとった時、腰痛や肺活量の低下などの症状が出る可能性があります。原因は、生まれつきや神経や筋肉の異常など様々です。中でも思春期に発症する「特発性側わん症」が最も大きな割合を占めます。女子に多く見られますが、原因ははっきりしていません。側弯とは、前額面(身体を前後に切る面)における脊柱の弯曲異常であり、構築性側弯と非構築性側弯(機能性側弯)とに分けられます。
診断にはエックス線検査を行い、骨の曲がり具合を計測します。25度以下の場合は治療せずに様子を見ますが、25〜45度ならば進行を防ぐために装具をつける治療を行います。45度以上になると手術をします。
娘さんは、中学3年の頃は治療を必要とするほどではなかったものの、現在、右側に出っ張りがあるというのなら、若干進行した可能性があります。ただ、特発性側わん症は成長期に急速に進行しますが、骨の成長が止まると進行も止まります。高校3年では通常、身長の伸びは止まっており、わん曲が進行する可能性は低いと考えられます。
前者(構築性側弯)が一般に脊柱側弯症と呼ばれるものです。つまり、曲がって元に戻らなくなったものを構築性側弯といい、これらがいわゆる側弯症です。一方、後者(機能性側弯)とは、痛みや脚長差、不良姿勢などの原因で側弯が生じているもので、原因が取り除かれれば側弯は消失するものを指します。
脊柱側弯症には特発性、先天性(脊椎の分節異常や形成異常)のほかに神経・筋原性疾患(脳性麻痺や二分脊椎、筋ジストロフィーなどに合併)、マルファン症、多発性神経線維腫症、骨系統疾患などさまざまな疾患で発症します。
最も頻度が高いのは特発性側弯症で、側弯全体の70%を占め、上記のように大部分は思春期の女子に発症します。その頻度は女子では男子の約7倍で、思春期女子の2%前後となっています。骨格が未成熟な例は進行しやすくなっています。
症状としては変形に起因する外見上の問題と心理的ストレス、腰背部痛、神経症状などで放置して高度弯曲になると呼吸器に影響を生じてしまいます。腰痛を伴う場合には、椎間板ヘルニアなどに伴う疼痛性側弯、変性側弯症、類骨骨腫に伴う側弯などが考えられます。
必要な検査としては、以下のようなものがあります。
視診・触診におけるポイントとしては、
側弯症の診断はX線撮影などにより比較的容易ですが、腰・背部痛(特に夜間痛)を伴う側弯症で、疼痛の原因が不明で診断が確定しない場合、脊柱の類骨骨腫を疑います。こうした検査のように、鑑別は重要です。
治療としては、成長終了前の特発性側弯症ではCobb角25°未満は定期的経過観察、25〜45°は装具療法、45〜50°以上は手術治療を考慮します。装具治療は初潮後2年経過、身長の伸びが止まった時期、Risser sign(骨の成熟度を表す指標) V度などを参考にして終了時期を決めます。
現在の状況として、治療が必要となっているかもしれません。主治医と相談の上、しっかりと治療方針などを決められることが望まれます。
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強直性脊椎炎と診断され、内服治療を行っている63歳女性
・前屈位での肋骨隆起(rib hump)および腰部隆起(lumbar hump)の左右比較などがあります。正面および側面の全脊柱X線像は、側弯や後弯などの脊柱変形を診断する際の基本的画像検査となります。側弯の程度はCobb角(カーブを構成する椎体の最上位のものと最下位のものの成す角)にて表示します。先天性側弯症などの骨性奇形がある症例では断層撮影、CTスキャン、3D CTスキャンが有用となります。また、特発性側弯と思われても、神経症状のある例や先天性側弯症例ではMRIによる脊髄病変のチェックを行います。
・腰部のくびれ(waistline)の非対称
・両肩の高さの左右差
・肩甲骨の突出と位置の左右差
側弯症の診断はX線撮影などにより比較的容易ですが、腰・背部痛(特に夜間痛)を伴う側弯症で、疼痛の原因が不明で診断が確定しない場合、脊柱の類骨骨腫を疑います。こうした検査のように、鑑別は重要です。
最近、腰の痛みを訴えているとのことですが、脊柱側わん症で腰痛が起こるのは、成人になってからの場合が多く、年齢からみて側わん症との関連はないと思います。このように、しっかりと整形外科を受診することが必要となります。
腰全体が痛いのか、左右片側だけか、痛みが出るのは座っている時なのか、立っている時なのかなどによっても原因が変わってきます。一度、専門の整形外科を受診してみてください。
治療としては、成長終了前の特発性側弯症ではCobb角25°未満は定期的経過観察、25〜45°は装具療法、45〜50°以上は手術治療を考慮します。装具治療は初潮後2年経過、身長の伸びが止まった時期、Risser sign(骨の成熟度を表す指標) V度などを参考にして終了時期を決めます。
現在の状況として、治療が必要となっているかもしれません。主治医と相談の上、しっかりと治療方針などを決められることが望まれます。
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