米国の最高齢男性だったジョージ・レネ・フランシスさんが27日、うっ血性心不全で死去した。112歳だった。現地紙サクラメント・ビーの電子版が29日に伝えた。
ロサンゼルスの老人学研究グループが米国の最高齢男性と登録していたフランシスさんは、1896年1月6日にニューオーリンズで生まれ。
46年間の結婚生活を送った妻のジョセフィンさんは1963年に他界。同紙によると、フランシスさんには子ども4人、孫19人、ひ孫30人以上がいる。
(米国の最高齢男性、112歳で死去)
心不全とは、「心臓のポンプ機能の失調により、臓器が必要とする心拍出量が得られず、臓器低灌流とうっ血のため惹起される臨床症候群と定義できる」と思われます。
心臓はポンプとして、臓器、組織が必要とする血液を送り出しています。心臓のポンプとしての機能が低下すると、臓器、組織の機能を維持するのに十分な血液量を送ることができなくなり、易疲労感、運動耐容能低下など、組織灌流不全に基づく症状・徴候が出現してきます。
心ポンプ失調が生じると、代償機序としてFrank-Starling(フランク・スターリング)機序(前負荷[心筋収縮開始直前の心筋にかかる負荷]が増大して心臓の収縮力が増す)、交感神経系、レニン-アルドステロン-アンジオテンシン系が作動しますが、それが破綻したときに心不全の臨床症状が出現してきます。
また同時に息切れ、浮腫など、末梢組織、間質や肺などに血液がうっ滞する容量負荷に基づく症状が出現してきます。さらに、心拍出量低下を補うための代償機序として作動する神経体液性因子の活性化に基づく症候が出現してきます。その結果、基礎心疾患の病態に関係なく、共通の臨床症状が現れてきます。
心不全の原因疾患は多様です。頻度の高いのは虚血性心疾患、弁膜疾患、高血圧性心疾患、心筋疾患の順となっています。誘因としては感染、心房細動などの不整脈、水分・塩分の過剰摂取、治療薬の中断などが重要となります。うっ血性心不全はさまざまなこうした病因による心疾患の終末像であり、状態像です。心不全状態になると患者さんの日常生活が損なわれ、生命予後が短縮することになってしまいます。
分類としては、主立ったものとして次のようなものがあります。収縮不全は心臓の収縮機能の低下や後負荷の不整合により生じ、拡張不全は左心室の等容拡張期における弛緩能または拡張期伸展性の低下によって生じます。
主に左心機能の低下があり、肺うっ血、呼吸困難などを来すものを左心不全、主に右心機能の低下があり、浮腫、静脈怒張、肝腫大などを来すものを右心不全といいます。両者は合併する例が多いです。
治療としては、以下のようなものがあります。
ロサンゼルスの老人学研究グループが米国の最高齢男性と登録していたフランシスさんは、1896年1月6日にニューオーリンズで生まれ。
46年間の結婚生活を送った妻のジョセフィンさんは1963年に他界。同紙によると、フランシスさんには子ども4人、孫19人、ひ孫30人以上がいる。
(米国の最高齢男性、112歳で死去)
心不全とは、「心臓のポンプ機能の失調により、臓器が必要とする心拍出量が得られず、臓器低灌流とうっ血のため惹起される臨床症候群と定義できる」と思われます。
心臓はポンプとして、臓器、組織が必要とする血液を送り出しています。心臓のポンプとしての機能が低下すると、臓器、組織の機能を維持するのに十分な血液量を送ることができなくなり、易疲労感、運動耐容能低下など、組織灌流不全に基づく症状・徴候が出現してきます。
心ポンプ失調が生じると、代償機序としてFrank-Starling(フランク・スターリング)機序(前負荷[心筋収縮開始直前の心筋にかかる負荷]が増大して心臓の収縮力が増す)、交感神経系、レニン-アルドステロン-アンジオテンシン系が作動しますが、それが破綻したときに心不全の臨床症状が出現してきます。
また同時に息切れ、浮腫など、末梢組織、間質や肺などに血液がうっ滞する容量負荷に基づく症状が出現してきます。さらに、心拍出量低下を補うための代償機序として作動する神経体液性因子の活性化に基づく症候が出現してきます。その結果、基礎心疾患の病態に関係なく、共通の臨床症状が現れてきます。
心不全の原因疾患は多様です。頻度の高いのは虚血性心疾患、弁膜疾患、高血圧性心疾患、心筋疾患の順となっています。誘因としては感染、心房細動などの不整脈、水分・塩分の過剰摂取、治療薬の中断などが重要となります。うっ血性心不全はさまざまなこうした病因による心疾患の終末像であり、状態像です。心不全状態になると患者さんの日常生活が損なわれ、生命予後が短縮することになってしまいます。
分類としては、主立ったものとして次のようなものがあります。収縮不全は心臓の収縮機能の低下や後負荷の不整合により生じ、拡張不全は左心室の等容拡張期における弛緩能または拡張期伸展性の低下によって生じます。
主に左心機能の低下があり、肺うっ血、呼吸困難などを来すものを左心不全、主に右心機能の低下があり、浮腫、静脈怒張、肝腫大などを来すものを右心不全といいます。両者は合併する例が多いです。
治療としては、以下のようなものがあります。
2005年に発表されたAmerican Heart Association(AHA)の分類(stageA、B、C、D)によると、その重症度によって治療法が分類されています。
将来心不全を発症する背景要因を抱えている段階であるstage A(高血圧症、動脈硬化性疾患、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどを呈するも心不全はない)では、それぞれの要因をコントロールすることが重要となります。
塩分やアルコールの過剰摂取を含むや睡眠・休養時間を含めた生活習慣の改善、禁煙、適度な運動などが求められます。さらに、コントロール不十分であれば、高血圧症、高脂血症、糖尿病などそれぞれの疾患に対する薬物療法を開始します。
心不全を惹起しうる構造的心臓疾患(心筋梗塞の既往、左室肥大、無症候性の弁膜疾患など)、駆出率低下などはあるが心不全の症状は出現していないstage Bでは、stage Aでの治療に加えて、ACE阻害薬またはARB、およびβ遮断薬を使用することを考えます。ACE阻害薬またはARBといった基礎薬を使用したうえでβ遮断薬(カルベジロール[アーチスト])が追加されることが多いですが、低血圧の場合はβ遮断薬の追加が難しいこともあります。
構造的心臓疾患をすでに有し、心不全の既往または現在心不全症状が存在するstage Cでは、stage A、Bのすべての治療に加えて、禁忌でなければ、ACE阻害薬またはARB、およびβ遮断薬を用います。浮腫があれば利尿薬(ラシックス、ダイアート)を用い、使用量に注意を払いながら継続投与とします。心不全症状があり、頻脈、特に心房細動の合併があればジゴキシンを使用したりします。心筋保護を目的に抗アルドステロン薬(アルダクトンA)、心機能低下が高度であれば、Ca拮抗薬(アムロジン)を追加します。
内科的治療に不応性で、特殊なインターベンション(補助循環など)も必要となる難治性心不全であるstage Dでは、stage A〜Cのすべての治療が行われます。利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬、抗アルドステロン薬、ジギタリスなどの投与に加えて、すべてのARBではないがブロプレスの追加でさらなる有効性が示されています。
利尿薬は作用の異なる薬剤、例えばループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬の同時投与やラシックス静注、さらには、重症であれば強心薬の経静脈投与とともにラシックス点滴静注を試みます。
はたして、ジョージさんがどのような状態にあったのかなどは不明です。112歳というご高齢であり、お幸せな最期であってほしいと望まれます。
【関連記事】
仰天ニュース系の症例集
拡張型心筋症の16歳女性
将来心不全を発症する背景要因を抱えている段階であるstage A(高血圧症、動脈硬化性疾患、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどを呈するも心不全はない)では、それぞれの要因をコントロールすることが重要となります。
塩分やアルコールの過剰摂取を含むや睡眠・休養時間を含めた生活習慣の改善、禁煙、適度な運動などが求められます。さらに、コントロール不十分であれば、高血圧症、高脂血症、糖尿病などそれぞれの疾患に対する薬物療法を開始します。
心不全を惹起しうる構造的心臓疾患(心筋梗塞の既往、左室肥大、無症候性の弁膜疾患など)、駆出率低下などはあるが心不全の症状は出現していないstage Bでは、stage Aでの治療に加えて、ACE阻害薬またはARB、およびβ遮断薬を使用することを考えます。ACE阻害薬またはARBといった基礎薬を使用したうえでβ遮断薬(カルベジロール[アーチスト])が追加されることが多いですが、低血圧の場合はβ遮断薬の追加が難しいこともあります。
構造的心臓疾患をすでに有し、心不全の既往または現在心不全症状が存在するstage Cでは、stage A、Bのすべての治療に加えて、禁忌でなければ、ACE阻害薬またはARB、およびβ遮断薬を用います。浮腫があれば利尿薬(ラシックス、ダイアート)を用い、使用量に注意を払いながら継続投与とします。心不全症状があり、頻脈、特に心房細動の合併があればジゴキシンを使用したりします。心筋保護を目的に抗アルドステロン薬(アルダクトンA)、心機能低下が高度であれば、Ca拮抗薬(アムロジン)を追加します。
内科的治療に不応性で、特殊なインターベンション(補助循環など)も必要となる難治性心不全であるstage Dでは、stage A〜Cのすべての治療が行われます。利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬、抗アルドステロン薬、ジギタリスなどの投与に加えて、すべてのARBではないがブロプレスの追加でさらなる有効性が示されています。
利尿薬は作用の異なる薬剤、例えばループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬の同時投与やラシックス静注、さらには、重症であれば強心薬の経静脈投与とともにラシックス点滴静注を試みます。
はたして、ジョージさんがどのような状態にあったのかなどは不明です。112歳というご高齢であり、お幸せな最期であってほしいと望まれます。
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