以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

主婦のT・Sさん(30)の悩みは、人よりちょっと寒がりなこと。冬には夫と暖房の設定温度で言い争い、夏には職場のクーラーで体が冷えるのを我慢していました。

そんな中、残業続きの帰り道で、お腹がひどく冷えているのを感じた彼女。普段より厚着をして外出することにしますが、汗をかくのに体はなぜかどんどん冷えていくばかり。さらに気になる異変も現れます。具体的には、以下のような症状が現れていました。
1)お腹が冷える
残業続きの帰り道でバスを待っていた時、お腹がひどく冷えているのを感じました。
2)厚着をしても身体が冷える
お腹の冷えを感じたため、いつも以上に厚着をすることにしました。ところが、汗をかくほど着込んでいるのに体はなぜかどんどん冷えていってしまいました。
3)風邪を何度も引いてしまう
風邪を頻繁に引くようになってしまいました。しかも、治ったと思っても身体が怠いといった症状がみられていました。
4)倦怠感
上記のように、倦怠感を感じるようになりました。
5)冷えがひどく動けなくなる
急に冷え込んだある夜、冷えが酷くて動けなくなるほどになってしまいました。
こうした症状がみられましたが、病院に行っても原因不明でした。そこで、東洋医学を専門とする病院を訪れたところ、「裏寒(りかん)による冷え[内臓型冷え症)」と診断されました。

よく言われる一般的な冷え症は、手と足の先が特に冷える「四肢末端型冷え症」を指すと考えられます。こうした冷え症は、身体の特定の部位のみをとくに冷たく感じ、耐えがたい場合を指します。

更年期障害の婦人によくみられる症状ですが、そのほか自律神経調節異常や心身症でもみられるようです。

冬などの寒冷期に多く発生し、その発生する原因は、自律神経失調による血管運動神経障害などであると考えられ、冷たくなった部分の毛細管攣縮による血行障害の結果冷たく感じると考えられています。

こうした機序は、気温が低くなると、体に緊張を伝える交感神経が働き、熱を外へ逃がさないよう手足の血管が収縮し、血液を体の中心に集めようとする結果に生じます。これは、手足を犠牲にしても、生命維持に大切な内臓を守ろうとする人間の防御システムであると考えられます。この反応が過剰に起きた結果、手と足の先が特に冷える「四肢末端型冷え症」が発生すると考えられます。

一方、「内臓型冷え症」とは、身体の中心部である内臓が冷えてしまう冷え症のことを指します。具体的には、以下のようなものを指すようです。
内臓が冷えるタイプは、そもそも交感神経の働きが弱く、気温が低くなっても手足の血管が収縮しないため、温かい血液が内臓に集まることもありません。すると、外気によって手足から熱が奪われ、体の中心がどんどん冷えてしまいます。

その結果、内臓を冷やしてしまうことで機能が落ち、免疫力低下という状態に陥ってしまったのです。すると、風邪を何度も引く、膀胱炎や月経困難症といった病を引き起こしやすくなります。
 
さらに、この内臓型冷え症には、手足の表面は血流がよく温かいため、症状に気付きにくいという落とし穴が。加えて重ね着で汗をかきやすくなり、汗が冷えることで体の中心をさらに冷やしてしまうのです。
 
T・Sさんのケースでは、もともと交感神経が弱く、体質的に寒がりだったにも関わらず、夏に必要以上にクーラーを浴び続けたことが最初の過ちでした。そして激務による疲労が重なったときに体のバランスが崩れ、内臓型冷え症を発症したと考えられます。

ちなみに、上記にある「裏寒」とは、裏(身体内部)が冷えて下痢、腹痛、手足の冷えなどが起こる症状を指します。そもそも東洋医学では、八綱と呼ばれる基本綱領があります。

八綱とは、"陰陽、表裏、寒熱、虚実"のことを指します。病変の存在する位置(表裏)、病状の性質(寒熱)、正邪の盛衰(虚実)、それらを総括した病状の類型(陰陽)を示すものとされています。

病変の存在する位置を示す"表裏"については、表証の多くは外邪の侵襲による外感病でみられ、疾病の初期に当たるとされています。一方、裏証の多くは内傷雑病でみられると考えられ、いわゆる"内臓"を指すようです。

一方、"寒熱"については、寒証は冷えに関する症状(悪寒、四肢厥冷、喜温など)や所見(面色蒼白、舌質淡白、脈遅など)を指します。一方、熱証とは熱に関する症状(熱感、口渇、冷飲好など)や所見(面色赤、舌質紅、脈数など)を指すようです。

こうした「裏寒」の治療の原則は、「四逆湯」などの漢方で臓腑の機能を温めて回復し、裏寒を改善することだそうです。症状に悩まされ続けている方は、一度、漢方などを専門に扱う医療機関で相談されてはいかがでしょうか。

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