読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
この相談に対して、順天堂大練馬病院皮膚・アレルギー科教授の比留間政太郎先生は以下のようにお答えになっています。
足白癬を放置していると、白癬菌は爪を冒し、爪白癬となります。爪真菌症の大部分を占め、指爪が罹患する頻度は少なく、高齢者に多いという特徴があります。爪白癬は足白癬の次に多い病型で、全白癬患者の20%弱であるといわれています。
爪甲の肥厚と混濁を主徴とし、自覚症状は通常ありません。爪白癬は手指より足趾に多く、第1趾(親指)が最も多いです。爪囲の炎症はほとんどなく、先端部の爪甲下角質増殖、混濁、脆弱化などを呈します。
このような臨床症状から白癬を疑い、鱗屑や漿液性丘疹、小水疱、爪などの直接鏡検で菌要素を検出すれば確定診断できます。ただ、爪からの検出が最も難しいです。また、菌種の同定には培養検査が必要となります。
治療としては、以下のようなものがあります。
爪白癬の治療としては、内服療法が基本となります。抗真菌薬であるラミシール(125mg)やイトリゾール(50mg)の内服を行います。
白癬(特に足と爪白癬)は患者により病識が異なり、治療に対する態度も異なりますが、可能な限り早期に治療すべき疾患です。ご家族に伝染させてしまう可能性もあります。ご注意下さい。
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右足の中指と薬指の爪先が白く濁り、分厚いのに、もろくなっている状態です。水虫菌の検査をしましたが、陰性でした。ステロイド薬を半年ほど使っていますが、改善しません。(31歳女性)
この相談に対して、順天堂大練馬病院皮膚・アレルギー科教授の比留間政太郎先生は以下のようにお答えになっています。
爪やその周囲が皮膚病になると、爪が変形してきます。しかし、爪は硬いため、原因が違ってもどれも同じようにしか変形せず、診断は難しいです。
爪の病気で最も多いのは、「爪水虫(爪白癬)」です。そして、「爪カンジダ症」、その他の菌による「爪真菌症」と続きます。
また、爪に変化が生じる爪周囲の皮膚病は、発疹ができる「乾癬」や「扁平苔癬」、膿みがたまる「掌蹠膿疱症」、爪に栄養が行かなくなって爪が壊れる「爪異栄養症」などがあります。
爪周囲の皮膚病が原因の場合、多くはすべての手足の爪が変形します。従って質問者は、これらの病気が原因とは考えにくいです。
そこで、爪自体に菌が感染したり、靴が当たるなどの慢性的な刺激が加わったりしたことが疑われます。爪の病気で最も多いのが爪白癬ですので、もう一度、真菌検査を受けることをぜひお勧めします。
足白癬を放置していると、白癬菌は爪を冒し、爪白癬となります。爪真菌症の大部分を占め、指爪が罹患する頻度は少なく、高齢者に多いという特徴があります。爪白癬は足白癬の次に多い病型で、全白癬患者の20%弱であるといわれています。
爪甲の肥厚と混濁を主徴とし、自覚症状は通常ありません。爪白癬は手指より足趾に多く、第1趾(親指)が最も多いです。爪囲の炎症はほとんどなく、先端部の爪甲下角質増殖、混濁、脆弱化などを呈します。
このような臨床症状から白癬を疑い、鱗屑や漿液性丘疹、小水疱、爪などの直接鏡検で菌要素を検出すれば確定診断できます。ただ、爪からの検出が最も難しいです。また、菌種の同定には培養検査が必要となります。
治療としては、以下のようなものがあります。
ステロイド薬を使っているようですが、過去にステロイド薬で症状が悪化したことはないですか。菌の感染であれば、ステロイド薬でかえって悪くなります。
また、きつい靴をずっと履き続けたり、深爪をしたりすると、爪が厚くなる「爪甲鉤彎症」になることが考えられます。
複数の靴を毎日履き替え、爪が当たる位置を変えてみたり、靴ひもをしっかり結んで爪が当たらないようにしたりすることが大切です。また、爪を切る時は、先端の白い部分の一部が残るくらいにしましょう。
爪白癬の治療としては、内服療法が基本となります。抗真菌薬であるラミシール(125mg)やイトリゾール(50mg)の内服を行います。
白癬(特に足と爪白癬)は患者により病識が異なり、治療に対する態度も異なりますが、可能な限り早期に治療すべき疾患です。ご家族に伝染させてしまう可能性もあります。ご注意下さい。
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