以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。
側弯とは、前額面(身体を前後に切る面)における脊柱の弯曲異常です。大きく分けて、構築性側弯と非構築性側弯(機能性側弯)があります。
前者(構築性側弯)が一般に脊柱側弯症と呼ばれるものです。つまり、曲がって元に戻らなくなったものを構築性側弯といい、これらがいわゆる側弯症です。一方、後者(機能性側弯)とは、痛みや脚長差、不良姿勢などの原因で側弯が生じているもので、原因が取り除かれれば側弯は消失するものを指します。
脊柱側弯症には特発性、先天性(脊椎の分節異常や形成異常)のほかに神経・筋原性疾患(脳性麻痺や二分脊椎、筋ジストロフィーなどに合併)、マルファン症、多発性神経線維腫症、骨系統疾患などさまざまな疾患で発症します。
最も頻度が高いのは特発性側弯症で、側弯全体の70%を占め、上記のように大部分は思春期の女子に発症します。その頻度は女子では男子の約7倍で、思春期女子の2%前後となっています。骨格が未成熟な例は進行しやすくなっています。
正面および側面の全脊柱X線像は、側弯や後弯などの脊柱変形を診断する際の基本的画像検査となります。上記の角度は、レントゲン写真などで測定を行う側弯の程度を示すCobb角(カーブを構成する椎体の最上位のものと最下位のものの成す角)だと思われます。
計測上10度以上あれば側弯症と診断しますが、経過観察が必要なのは20度以上、装具治療(主に進行防止目的)は30度前後、手術(矯正と進行防止目的)は40−45度以上から考慮されます。弯曲が40度未満の場合は骨格が成熟すると進行は止まりますが、40度以上では進行することがあり注意が必要となります。
具体的な治療としては、以下のようなものがあります。
手術法は手術アプローチにより前方法、後方法、前後法に分けられます。前方法ではカーブ内の椎間板を切除し、椎体凸側にスクリューを刺入するとともに,各スクリューをロッドで連結し、矯正固定を行います。一方、後方法は固定端両端および中間部でpedicle screwあるいは椎間関節、椎弓、横突起などに挿入したフックを用い、これらにロッドを連結して矯正を行います。
手術の時期については、中学・高校生のある程度成長が進んだ時期で、かつ側弯度があまり進行していない時期が理想であると考えられます。ですが、10歳未満の成長期前にすでに進行し、手術適応となる例もあります。ただ、このような例では後方固定後に身長が著しく伸びることにより、前方椎体のみが成長して、椎体の回旋が増強するという問題もあります。
ジョージーさんは、今では元気に過ごされていらっしゃるようです。側湾症で悩まれている方は、専門医の元で相談され、その治療法についての説明を聞いた上で、しっかりと治療法の選択を行うことが望まれます。
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2006年イギリス南部ドーセット。15歳のジョージー・チャップマンは学校でも人気の少女だった。そんな彼女には7歳の頃から欠かさず観るようになっていたテレビ番組があった。それは、モデル達が活躍するファッション番組。美しい人しか出てこない夢の世界。自分もあんなふうになりたい。夢は、ファッションモデルと決めた。
そんな彼女に、悲劇が訪れる。時々妙に腰が痛む。そして服を選び鏡の前に立った時、彼女は気付いた。姿勢がおかしく上半身が少し傾いている…。それは、深刻な事態に思えた。両親もその症状に思い当たることがなく、病院で検査を受けることになった。
検査の結果、体の痛みと傾きの原因は、特発性の『脊柱側わん症』と診断された。脊柱側わん症とは、骨格が正常に成長せず背骨が曲がってしまう現象。10歳から16歳の少女に多く見られることが知られている。特発性というのは、医学用語で「原因が不明」ということ。原因はまだ解明されていないが、重いカバン、姿勢の悪さなどの生活習慣とはまったく関係がないことがわかっており、DNAの関与が研究されている。
この、「背中の曲がる側わんという現象」は進行具合で3つのレベルにわかれる。一番多いのが「20度前後未満」のレベル。簡単な検査方法として、おじぎをするように背中を曲げ、左右の出っ張りを触って比べてみる方法があるが、比べて「多少の差がある」状態が、20度前後未満。このレベルはおよそ100人に1人存在するといわれる。「側わん状態」と言って、「側わん症」とは区別される。生活にまったく支障がなく、治療もいらない。人より少し背中が曲がっているというレベル。
次に多いのが「25度から35度前後」のレベル。背中を曲げて左右の出っ張りを比べた場合、明らかに差がある状態。500人から1000人に1人存在するといわれ、専門医による定期的な診察と、進行を止めるためにコルセットをつける装具療法が必要になるが、健康には何の問題も無い。このレベルの進行具合ならば、骨格の成長が止まる18歳頃には進行も止まり何の後遺症も残さないという。
「40度前後以上」のレベルまで進行する人は、5千人から1万人に1人以下と非常に少ない。この段階になると、臓器の病気を引き起こしたり、痛みの原因になることもあり、場合によっては手術が必要となる。また、骨格の成長期を過ぎても曲がりが進行し続ける場合があり、100度以上まで曲がると呼吸器に影響を与え、生活に支障をきたす危険もある。
側弯とは、前額面(身体を前後に切る面)における脊柱の弯曲異常です。大きく分けて、構築性側弯と非構築性側弯(機能性側弯)があります。
前者(構築性側弯)が一般に脊柱側弯症と呼ばれるものです。つまり、曲がって元に戻らなくなったものを構築性側弯といい、これらがいわゆる側弯症です。一方、後者(機能性側弯)とは、痛みや脚長差、不良姿勢などの原因で側弯が生じているもので、原因が取り除かれれば側弯は消失するものを指します。
脊柱側弯症には特発性、先天性(脊椎の分節異常や形成異常)のほかに神経・筋原性疾患(脳性麻痺や二分脊椎、筋ジストロフィーなどに合併)、マルファン症、多発性神経線維腫症、骨系統疾患などさまざまな疾患で発症します。
最も頻度が高いのは特発性側弯症で、側弯全体の70%を占め、上記のように大部分は思春期の女子に発症します。その頻度は女子では男子の約7倍で、思春期女子の2%前後となっています。骨格が未成熟な例は進行しやすくなっています。
正面および側面の全脊柱X線像は、側弯や後弯などの脊柱変形を診断する際の基本的画像検査となります。上記の角度は、レントゲン写真などで測定を行う側弯の程度を示すCobb角(カーブを構成する椎体の最上位のものと最下位のものの成す角)だと思われます。
計測上10度以上あれば側弯症と診断しますが、経過観察が必要なのは20度以上、装具治療(主に進行防止目的)は30度前後、手術(矯正と進行防止目的)は40−45度以上から考慮されます。弯曲が40度未満の場合は骨格が成熟すると進行は止まりますが、40度以上では進行することがあり注意が必要となります。
具体的な治療としては、以下のようなものがあります。
ジョージーは既に45度の曲がり。一刻も早く治療が必要な、進行性の側わん症だった。「側わん」は治療や手術の見きわめが普通の整形外科医では難しく、側わん専門医にかかることが大切だと告げられた。特発性側弯症に対する治療方針は、側弯度(Cobb角)の程度により段階的に決められ、思春期側弯症ではおよそ45〜50°以上が手術療法の適応とされています。手術計画としては側弯の高位、カーブパターンにより手術アプローチに基づく手術方法、固定範囲が決められます。
しかし、彼女はイギリスの医療機関、国民医療サービスにより、なんと4ヶ月も待たされた。しかもいくつもの病院を受診しても、曲がりの進んだ、ジョージーの治療を行える専門医に出会えることはなかった。少しずつ病気が進む焦り。痛み止めが手放せない。15歳の少女にとって、それはあまりにも苦しいことだった。
モデルになりたいと言う夢が、遠ざかって行く。両親が必死で国民医療サービスとやり取りを続けた結果…やっと側わん症専門の整形外科医予約を取れたのは、最初に病院に行ってから1年後、彼女が16歳になってからだった。
イギリス南部の港町サウザンプトンの病院で、エバン・デイビス医師が彼女の担当医となった。デイビス医師によると、昨年45度だった彼女の背中は、78度まで曲がりが進行していた。ジョージーの背中は放っておけば、曲がりがさらに進行し、痛みは強くなりそのうち呼吸器にも影響が出ることが心配され、手術の必要がある状態だった。
麻酔の時間も含めると、8時間におよぶ大手術。ジョージーは不安だった。しかし彼女は勇気を出して、その大手術にのぞんだ。最新の機器で脊髄を監視しながら慎重に背骨にボルトを埋め込み、ボルト同士をチタン製の棒で接続。棒を調整して背骨をまっすぐにしていく。棒をギプス代わりにし、移植用の骨を使って、背骨同士を接着。真っ直ぐなまま骨を固めるという大手術。全部で24本のボルトが背骨の一つ一つを押さえ、彼女を苦しめた背中は、見事まっすぐになった。
呼吸器への影響が心配された曲がった背中はまっすぐになり、腰の痛みも無くなった。手術後3ヶ月間のリハビリを経て、ジョージーは日常生活に戻った。
手術法は手術アプローチにより前方法、後方法、前後法に分けられます。前方法ではカーブ内の椎間板を切除し、椎体凸側にスクリューを刺入するとともに,各スクリューをロッドで連結し、矯正固定を行います。一方、後方法は固定端両端および中間部でpedicle screwあるいは椎間関節、椎弓、横突起などに挿入したフックを用い、これらにロッドを連結して矯正を行います。
手術の時期については、中学・高校生のある程度成長が進んだ時期で、かつ側弯度があまり進行していない時期が理想であると考えられます。ですが、10歳未満の成長期前にすでに進行し、手術適応となる例もあります。ただ、このような例では後方固定後に身長が著しく伸びることにより、前方椎体のみが成長して、椎体の回旋が増強するという問題もあります。
ジョージーさんは、今では元気に過ごされていらっしゃるようです。側湾症で悩まれている方は、専門医の元で相談され、その治療法についての説明を聞いた上で、しっかりと治療法の選択を行うことが望まれます。
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