以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。
初期には指圧痕(押すと痕が付く)をみますが、やがて組織の線維化が進むと皮膚は硬く厚くなり指圧痕はできなくなります。このような状態は象皮病とよばれます。これは、蛋白の組織内貯留のため、次第に組織細胞の変性・線維化が起こり、皮膚が次第に硬くなります。
原発性リンパ浮腫では、徐々に下肢から始まり自覚症状を欠く蒼白色の浮腫であり、進行すると腹水の貯留や下痢をみます。続発性リンパ浮腫では、リンパ管の傷害を受けた部位より末梢に強い浮腫がみられ、夜間に軽快します。皮膚表面は蒼白で冷感があり、初めは押すとへこむが次第に慢性の皮膚炎を生じ、線維化をきたして硬くなります。
具体的な症状の進行としては、まず初期には臨床的にほとんど浮腫を認めず、リンパ管造影によってのみ、その異常が確認されます(潜在性リンパ浮腫)。次いで軽度腫脹がみられますが、朝には軽減します(可逆性リンパ浮腫)。さらに、朝にもそれほど軽減せず、皮膚の硬化もみられ非圧窩性となり(非可逆性リンパ浮腫)、遂には皮膚の変形、硬化を伴うようになります(象皮症)。
こうしたリンパ浮腫により辛い日々を暮らしていたチャンさんに、以下のような転機が訪れました。
薬物療法(利尿剤、コルチコステロイド、ベンゾピロン類)が有用であるとはいえず、とくに利尿薬の投与は一時的には有効ですが、組織間隙から血漿蛋白の排除がなされないため有効とはいえず、長期間の使用は勧められません。
理学療法が無効な際は、リンパ浮腫そのものの減量手術のほか、リンパドレナージ術(リンパ管-静脈吻合)などの外科手術の適応となります。手術は、リンパ誘導法〔Thompson(トンプソン)法、Kondoleon(コンドレオン)法、リンパ管静脈吻合術など〕と浮腫組織切除法〔Charles(チャールズ)法など〕に大別されます。
上記のケースでは、リンパ誘導法(消化管を覆っている大網を下腿のリンパ節に繋ぐようにし、なおかつ人工血管を用いてリンパ液を誘導した)および浮腫組織切除を行っていました。
現在では憧れだったジーンズも履けるようになり、楽しく日々を過ごしているそうです。手術治療により再び笑顔を取り戻すことができ、今後も元気に暮らしていただきたいと思われます。
【関連記事】
脊柱側湾症の少女−夢をかけて手術へ
「目は見えるのに、文字だけが読めない…」−アーレンシンドローム
1992年中国・江蘇省徐州市。8歳の王程(ワン・チャン)の家は貧しかったが、家族はいつも笑顔が絶えなかった。そんなある日、チャンは右足に違和感を覚えた。母がチャンの右足を見てみると、膝から下のすねの辺りが少しむくんでいた。しかし、特に痛みもなかったので、そのままにしていた。リンパ浮腫とは、リンパ管やリンパ節の先天性の発育不全、または二次性の圧迫、狭窄、閉塞などによって、リンパ流の阻害と減少のため生じた浮腫です。その原因としては、以下のように分類されます。
その2日後、チャンは学校帰り、今度は右足全体に少し痺れるような痛みを感じ、家に帰って足を見た。すると、右足が全体的に腫れていた。家は貧乏だが、大事な一人娘のため…。両親は翌日、チャンを病院へ連れて行った。その結果「リンパ浮腫」と判明。リンパ浮腫とは、リンパ管に細菌が入り、炎症を起こしてリンパ管からリンパ液が漏れ、体の一部が異常に腫れてくる症状のこと。この病気は、当時の中国の医学では治す事が出来なかった。
2年後、チャンが10歳になった時、今度は左足までがむくみ出した。両足が腫れているので歩くのも一苦労。しかし、何よりも辛いのは偏見の眼。10歳のチャンは、耐え難い苦痛に遭いながら、とても辛い日々を過ごした。
そんな中、両親は、わずかな貯金を全てチャンの治療に使う決心をした。チャンの病気を扱った事があると聞けば、遠い上海までチャンを連れて行った。そして上海の医師が、赤外線治療が効果的だが、赤外線治療器は1台5000元(6万5千円)かかると両親に説明。それは、家の年収に匹敵するほどの額だったが、両親は何としても娘を助けてやりたかった。そこで父は親戚から借金し、赤外線治療器を購入。両親とチャンは、これできっと治ると信じ、来る日も来る日も太くなった足に赤外線を当て続けた。
だが、チャンの足は一向に良くならなかった。そして、多額の借金だけが残り、生活はさらに厳しくなった。9年の時が過ぎた2003年、チャンの薬代や借金返済のため必死に働いていた父が脳卒中で倒れた。父は半身不随になり、工場をクビに。一方、チャンは何とか高校に通い18歳になっていたが、両足はさらに太くなっていた。チャンの体重82キロのうち、両足の重さだけで50キロもあったのだ。
原発性リンパ浮腫上記のケースでは、果たして先天的な原因があったのか、それとも感染などが原因となってリンパ浮腫が起こったのかは不明です。
(1)先天性:先天的なリンパ管系の形成異常による
(2)家族性(Mirloy病:慢性遺伝性下腿浮腫):血管運動神経の異常による
(3)特発性:早発性、遅発性、亜型(黄色爪・胸膜滲出を伴う)
・続発性リンパ浮腫
(1)感染による〔細菌感染、フィラリア感染、バルトネラ感染(ネコひっかき病)〕
(2)外科手術におけるリンパ節郭清による
(3)悪性腫瘍の転移・浸潤による
(4)線維化による(放射線療法後、うっ滞性皮膚炎、脂肪織炎、後腹膜線維症)
初期には指圧痕(押すと痕が付く)をみますが、やがて組織の線維化が進むと皮膚は硬く厚くなり指圧痕はできなくなります。このような状態は象皮病とよばれます。これは、蛋白の組織内貯留のため、次第に組織細胞の変性・線維化が起こり、皮膚が次第に硬くなります。
原発性リンパ浮腫では、徐々に下肢から始まり自覚症状を欠く蒼白色の浮腫であり、進行すると腹水の貯留や下痢をみます。続発性リンパ浮腫では、リンパ管の傷害を受けた部位より末梢に強い浮腫がみられ、夜間に軽快します。皮膚表面は蒼白で冷感があり、初めは押すとへこむが次第に慢性の皮膚炎を生じ、線維化をきたして硬くなります。
具体的な症状の進行としては、まず初期には臨床的にほとんど浮腫を認めず、リンパ管造影によってのみ、その異常が確認されます(潜在性リンパ浮腫)。次いで軽度腫脹がみられますが、朝には軽減します(可逆性リンパ浮腫)。さらに、朝にもそれほど軽減せず、皮膚の硬化もみられ非圧窩性となり(非可逆性リンパ浮腫)、遂には皮膚の変形、硬化を伴うようになります(象皮症)。
こうしたリンパ浮腫により辛い日々を暮らしていたチャンさんに、以下のような転機が訪れました。
ある時、チャンに人生を変える大きな出来事が起こった。たまたまテレビ番組を見ていた時、難病と闘う人々を取り上げる特集番組で、出演者募集の告知があり、チャンはそれに迷う事なく応募。それがテレビ局の目に留まり、取材を受ける事になった。保存的治療としては、基礎疾患がある際はまずその治療を行い、(下肢)挙上、弾性ストッキングの着用(圧迫療法)、リンパドレナージ(徒手法、空気式、多層包帯法)による総合的な理学療法を行います。
すると、番組を見た、1人の新聞記者が、チャンを一面で大々的に掲載した。その記事が、新聞社「人間福報」社長・柴の目に留まった。その2ヶ月後、チャンの家に台湾万芳病院の医師・許から電話が来た。許医師は、台湾にある許医師の病院で、同じような患者を完治させた事があると説明。これを聞いたチャンは一瞬希望に満ちたが、ただでさえ苦しい家計。しかも病院は台湾、とても実現出来そうにないと言う。
すると許医師は、費用は柴社長が新聞で呼びかけ、募金をしてくれたため問題ないと説明。そして2008年6月10日。チャンは、許医師の元で診断を受けた。その後、3回の手術で、チャンの余分なリンパ液を取り除き、たるんだ足の皮膚を切断。手術は無事終了した。
最初の手術からおよそ3か月後、チャンさんは、報道陣に囲まれていた。術後の経過は順調。スカート姿で細くなった足を披露していた。象のように太くなっていた足は、28kgも軽くなっていた。チャンさんが今どんな生活をしているのか、仰天スタッフが訪ねると、スカートを履いて、オシャレを楽しんでいた。足元も軽やかに性格も明るくなり、現在は大学を目指し、猛勉強中だという。
薬物療法(利尿剤、コルチコステロイド、ベンゾピロン類)が有用であるとはいえず、とくに利尿薬の投与は一時的には有効ですが、組織間隙から血漿蛋白の排除がなされないため有効とはいえず、長期間の使用は勧められません。
理学療法が無効な際は、リンパ浮腫そのものの減量手術のほか、リンパドレナージ術(リンパ管-静脈吻合)などの外科手術の適応となります。手術は、リンパ誘導法〔Thompson(トンプソン)法、Kondoleon(コンドレオン)法、リンパ管静脈吻合術など〕と浮腫組織切除法〔Charles(チャールズ)法など〕に大別されます。
上記のケースでは、リンパ誘導法(消化管を覆っている大網を下腿のリンパ節に繋ぐようにし、なおかつ人工血管を用いてリンパ液を誘導した)および浮腫組織切除を行っていました。
現在では憧れだったジーンズも履けるようになり、楽しく日々を過ごしているそうです。手術治療により再び笑顔を取り戻すことができ、今後も元気に暮らしていただきたいと思われます。
【関連記事】
脊柱側湾症の少女−夢をかけて手術へ
「目は見えるのに、文字だけが読めない…」−アーレンシンドローム