日光を浴びると皮膚が炎症を起こす「ポルフィリン症」の兄弟を支援しようと、地元の鳥取県境港市で13日、難病指定の実現を目指して「兄弟を応援する会」の発会式があった。

呼び掛け人の堀冨美代表は「太陽を避けた生活は苦労続き。医療費の軽減など、安心して生活し、ともに生きるために心を一つにして頑張りましょう」とあいさつした。

兄の鉄兵さんは「まだ根本的な治療法は確立されておらず、死の恐怖と生活しています。一日も早く難病指定してほしい」と協力を訴えた。

同会は今後、署名活動などを進めることにしている。
(ポルフィリン症の兄弟を応援する会が発足)


酸素配達蛋白であるヘモグロビンは、ヘムという物質とグロビンという物質からなります。このヘムが酸素分子と結合することで、ヘモグロビンは酸素を運搬しています。ほかにも、ヘムは酸素貯蔵蛋白(ミオグロビン)、一部の電子伝達系蛋白(シトクロム)および酸化還元酵素に共通の補欠分子族です。

このヘム合成系には、8つの酵素が関与しているといわれており、律速酵素であるデルタ-アミノレブリン酸合成酵素delta-aminolevulinic acid synthase(ALAS)を除く7つの酵素のどれかが欠損することで、各種のポルフィリン症が発症します。

こうしたヘム合成系にかかわる酵素の傷害によって、中間代謝産物のポルフィリン体、ポルフィリン前駆物質が生体に沈着することによって起こる疾患が、ポルフィリン症です。

ポルフィリン症は、外的もしくは内的誘因が引き金になり、各種ポルフィリン体もしくはその前駆物質が先天的もしくは後天的に増加して、神経精神症状や皮膚症状が発生します。

具体的に言えば、肝臓、腎臓に沈着すればそれらの臓器障害あるいは不全が起こります。また、皮膚にポルフィリン体沈着が起こると大量の沈着で神経障害などを起こし、沈着を起こした部位に日光曝露を受けると、ポルフィリン体と励起波長の光線により皮膚症状を起こします。

ポルフィリン症は「肝性」と「赤芽球性」に分類されます。前者の「肝性」では、急性の神経症状を呈し、以下のように分類されます。
・急性間欠性ポルフィリン症acute intermittent porphyria(AIP)
・ALA脱水酵素欠損性ポルフィリン症ALA dehydratase deficiency porphyria(ADP)
・異型ポルフィリン症variegate porphyria(VP)
・遺伝性コプロポルフィリン症hereditary coproporphyria(HCP)
・晩発性皮膚ポルフィリン症porphyria cutanea tarda(PCT)

に分類されます。ちなみに、急性間欠性ポルフィリン症では皮膚症状が起こらず、異型ポルフィリン症では急性の神経症状に皮膚症状が加わります。晩発性皮膚ポルフィリン症では、急性症状のない皮膚症状を主体とするといった特徴があります。

さらに、後者である「赤芽球性」には、
・先天性赤芽球性ポルフィリン症congenital erythropoietic porphyria(CEP)
・赤芽球性プロトポルフィリン症erythropoietic protoporphyria(EPP)
・骨髄肝性ポルフィリン症hepatoerythropoietic porphyria(HEP)

が知られています。先天性赤芽球性ポルフィリン症は、急性症状がなく皮膚症状が主体となるといった特徴があります。

また、その皮膚症状については、以下のようなことが言えると思われます。
上記のように、光線過敏のみられるポルフィリン症は、関連酵素のヘム合成経路の上流から順に、先天性骨髄性ポルフィリン症(CEP)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、異型性ポルフィリン症(VP)、骨髄性プロトポルフィリン症(EPP)があります。

このうち、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)と異型性ポルフィリン症(VP)は、急性の神経・腹部症状発作を起こすことから、急性ポルフィリン症といわれ、通常内科を受診して発見されたりします。晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)と骨髄性プロトポルフィリン症(EPP)などは皮膚症状が主だったものであり、皮膚科を受診して発見されたりします。

現在、根治的治療法はなく、対症療法を行わざるをえないような状況です。その上で、日光曝露を避けることは非常に重要です。日中、すっぽりと頭からフードを被った姿で過ごさざるを得ない状況にあったりするようです。是非とも周囲の方々はご理解を示していただきたいと思われます。

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