昨年4月に脳梗塞で入院した女優で声優の大山のぶ代(72)。きょう30日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」(月-金午後1時20分)で約1年ぶりに仕事復帰し、記憶障害と言語障害に陥っていたことを告白した。
夫でタレントの砂川啓介(72)と収録に臨んだ大山はすっかりスリムに。「病院にいた2カ月間の記憶が全然ないんです」と闘病時を振り返った。看護に徹した砂川も「最初は足し算しようと思っても、全部かけ算になっていた」と明かした。
大山は昨年4月24日朝に体調不良を訴え診察を受けた。心筋梗塞を発症し、梗塞を引き起こした血栓が2度、脳の血管を塞いだ。投薬治療で8月に退院、今もリハビリ中だが「9月に講演の仕事も入ってるし、体に負担のかからない程度にやりたい」と仕事に意欲を見せていた。
(大山のぶ代、脳梗塞から復帰…記憶・言語障害を告白)
脳梗塞とは、脳動脈閉塞などによる虚血により、脳組織が不可逆的な変化(壊死)を起こした状態を指します。
脳梗塞の発症率は10万人に対して100〜150人、死亡率は10万人に対して約70人であり、救命率もさることながら、患者さんの生活にも大きな影響を与えるため、重要な疾患です。また、脳梗塞は脳卒中全体の約60%を占め、最も頻度の高い病型です。年齢が高くなるほど、脳梗塞の占める比率は上昇します。
脳は虚血に最も弱い臓器の1つであり、血流に富んだ組織(約50ml/100g脳/分)です。脳代謝の面からみると、代謝が50%以下になると脳神経機能が障害され、15%以下になると梗塞に陥ってしまうと考えられています。
脳梗塞は臨床的に、以下の4種類に分類されます。
こうした梗塞によって、壊死した領域の巣症状(その領域の脳機能が失われたことによる症状)で発症するため症例によって多彩な症状を示します。代表的な症状としては、麻痺(運動障害)、感覚障害、失調(小脳または脳幹の梗塞で出現し、巧緻運動や歩行、発話、平衡感覚の障害が出現)、意識障害(脳幹の覚醒系が障害や広汎な大脳障害で出現)がおこることもあります。
神経症状としては、片麻痺、半側感覚障害が多くみられます。神経症状は障害される部位、閉塞血管によって異なります。
たとえば、前大脳動脈領域の梗塞では、下肘に強い片麻痺(感覚障害を伴うこともある)を示すことが多いです。時に筋固縮、バランス障害(失立、失歩)、記銘・記憶障害、性格の変化などが起こりえます。
中大脳動脈領域の梗塞では、顔面を含む片麻痺を示すことが多いです。半側(麻痺と同側)の感覚障害を伴うことと伴わないことがあります。
巣症状・皮質症状としては、優位半球障害ならば、言いたい言葉が出ない、他人の話が理解できないなどの失語症、失行症(道具を使った簡単な動作ができない)、左右失認、手指失認、計算ができないなどが起こりえます。劣位半球障害では、左にあるものを無視する(半側空間無視)、病態失認(自らの麻痺の存在を認めない)、着衣失行などが起こりえます。これらの巣症状は、病変の部位、広がりによって左右されます。
後大脳動脈領域の梗塞では、起始部閉塞では皮質枝領域の他に、視床が障害されるので反対側の感覚障害をきたします。特に、深部感覚が高度に障害されやすく、運動失調も伴いやすいです。皮質枝領域の梗塞では、同名半盲(両眼とも病巣と反対側の視野の欠損)が起こりやすいです。その他、記銘・記憶の障害、優位半球の梗塞では失読、視覚失認を認めることもあります。
言語障害の治療としては、以下のようなものがあります。
夫でタレントの砂川啓介(72)と収録に臨んだ大山はすっかりスリムに。「病院にいた2カ月間の記憶が全然ないんです」と闘病時を振り返った。看護に徹した砂川も「最初は足し算しようと思っても、全部かけ算になっていた」と明かした。
大山は昨年4月24日朝に体調不良を訴え診察を受けた。心筋梗塞を発症し、梗塞を引き起こした血栓が2度、脳の血管を塞いだ。投薬治療で8月に退院、今もリハビリ中だが「9月に講演の仕事も入ってるし、体に負担のかからない程度にやりたい」と仕事に意欲を見せていた。
(大山のぶ代、脳梗塞から復帰…記憶・言語障害を告白)
脳梗塞とは、脳動脈閉塞などによる虚血により、脳組織が不可逆的な変化(壊死)を起こした状態を指します。
脳梗塞の発症率は10万人に対して100〜150人、死亡率は10万人に対して約70人であり、救命率もさることながら、患者さんの生活にも大きな影響を与えるため、重要な疾患です。また、脳梗塞は脳卒中全体の約60%を占め、最も頻度の高い病型です。年齢が高くなるほど、脳梗塞の占める比率は上昇します。
脳は虚血に最も弱い臓器の1つであり、血流に富んだ組織(約50ml/100g脳/分)です。脳代謝の面からみると、代謝が50%以下になると脳神経機能が障害され、15%以下になると梗塞に陥ってしまうと考えられています。
脳梗塞は臨床的に、以下の4種類に分類されます。
?アテローム血栓性脳梗塞
・動脈硬化性の病変(アテローム)が大きくなり、その部分に血栓を形成し動脈閉塞を来す場合
・動脈硬化性病変部分で形成された血栓やアテロームの一部が、剥離してその動脈の末梢部分を閉塞する場合
・血圧低下などを起こした際に、その動脈硬化部分より遠位部の血流障害を来す場合
などに分けられる。
?心原性脳塞栓
心疾患において心腔内に形成された血栓が脳動脈に達し、脳動脈の急性の閉塞を来すもの
?ラクナ梗塞
脳深部の穿通枝動脈の閉塞によって生じるもので、一般に脳細小動脈硬化が原因と考えられている。
?そのほか
こうした梗塞によって、壊死した領域の巣症状(その領域の脳機能が失われたことによる症状)で発症するため症例によって多彩な症状を示します。代表的な症状としては、麻痺(運動障害)、感覚障害、失調(小脳または脳幹の梗塞で出現し、巧緻運動や歩行、発話、平衡感覚の障害が出現)、意識障害(脳幹の覚醒系が障害や広汎な大脳障害で出現)がおこることもあります。
神経症状としては、片麻痺、半側感覚障害が多くみられます。神経症状は障害される部位、閉塞血管によって異なります。
たとえば、前大脳動脈領域の梗塞では、下肘に強い片麻痺(感覚障害を伴うこともある)を示すことが多いです。時に筋固縮、バランス障害(失立、失歩)、記銘・記憶障害、性格の変化などが起こりえます。
中大脳動脈領域の梗塞では、顔面を含む片麻痺を示すことが多いです。半側(麻痺と同側)の感覚障害を伴うことと伴わないことがあります。
巣症状・皮質症状としては、優位半球障害ならば、言いたい言葉が出ない、他人の話が理解できないなどの失語症、失行症(道具を使った簡単な動作ができない)、左右失認、手指失認、計算ができないなどが起こりえます。劣位半球障害では、左にあるものを無視する(半側空間無視)、病態失認(自らの麻痺の存在を認めない)、着衣失行などが起こりえます。これらの巣症状は、病変の部位、広がりによって左右されます。
後大脳動脈領域の梗塞では、起始部閉塞では皮質枝領域の他に、視床が障害されるので反対側の感覚障害をきたします。特に、深部感覚が高度に障害されやすく、運動失調も伴いやすいです。皮質枝領域の梗塞では、同名半盲(両眼とも病巣と反対側の視野の欠損)が起こりやすいです。その他、記銘・記憶の障害、優位半球の梗塞では失読、視覚失認を認めることもあります。
言語障害の治療としては、以下のようなものがあります。
言語障害の原因となる背景疾患は、上記のように優位半球の中大脳動脈領域の血管障害が圧倒的に多く、中でも梗塞が多くを占めます。その他、脳出血や脳腫瘍、アルツハイマー型痴呆やピック病なども失語症を引き起こします。
実は、脳梗塞の以下のような治療を進めていく過程で、失語症自体は検査してる間にも自然経過で改善する例もあります。
急性期には抗血栓療法、脳保護療法、抗脳浮腫療法があります。抗血栓療法には、血小板の働きを抑えて血栓ができるのを防止する抗血小板療法とフィブリンができるのを防止する抗凝固療法があります。
近年、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)という血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法が欧米では実施され、わが国でも2005年10月より健康保険に導入されました。脳保護療法には活性酸素の働きを防止するエダラボンという薬剤を発症後24時間以内に使用すると後遺症が軽減されます。
脳梗塞を起こした部位が1〜2日するとむくみが起こるので、抗脳浮腫療法により脳浮腫の原因となる水分を取り除きます。脳梗塞になって3時間以内の場合は血栓や塞栓を溶かす薬を使って治療します。薬が効いた場合には詰まった脳動脈が再度開通し、血流が流れます。脳循環の改善薬や血栓・塞栓を予防する薬を使います。
ある程度以上の障害が残った例では、言語のリハビリテーションを行う必要があります。
状態が安定し、座位耐久性が向上した時点で訓練室での言語治療を開始します。障害状況に応じ、発語訓練や聴覚的言語把持力の強化訓練、呼称訓練、文字と絵の対応訓練、復唱訓練、読解訓練、書字訓練、代償手段(ジェスチャーなど)の利用訓練といったことを行います。
現在、大山さんはリハビリや継続的な治療を行っているようです。ぜひとも、また元気なお姿を拝見できれば、と思われます。
【関連記事】
脳梗塞後のリハビリを語る−西城秀樹さん
脳梗塞発症時の症状を語る−西城秀樹
実は、脳梗塞の以下のような治療を進めていく過程で、失語症自体は検査してる間にも自然経過で改善する例もあります。
急性期には抗血栓療法、脳保護療法、抗脳浮腫療法があります。抗血栓療法には、血小板の働きを抑えて血栓ができるのを防止する抗血小板療法とフィブリンができるのを防止する抗凝固療法があります。
近年、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)という血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法が欧米では実施され、わが国でも2005年10月より健康保険に導入されました。脳保護療法には活性酸素の働きを防止するエダラボンという薬剤を発症後24時間以内に使用すると後遺症が軽減されます。
脳梗塞を起こした部位が1〜2日するとむくみが起こるので、抗脳浮腫療法により脳浮腫の原因となる水分を取り除きます。脳梗塞になって3時間以内の場合は血栓や塞栓を溶かす薬を使って治療します。薬が効いた場合には詰まった脳動脈が再度開通し、血流が流れます。脳循環の改善薬や血栓・塞栓を予防する薬を使います。
ある程度以上の障害が残った例では、言語のリハビリテーションを行う必要があります。
状態が安定し、座位耐久性が向上した時点で訓練室での言語治療を開始します。障害状況に応じ、発語訓練や聴覚的言語把持力の強化訓練、呼称訓練、文字と絵の対応訓練、復唱訓練、読解訓練、書字訓練、代償手段(ジェスチャーなど)の利用訓練といったことを行います。
現在、大山さんはリハビリや継続的な治療を行っているようです。ぜひとも、また元気なお姿を拝見できれば、と思われます。
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脳梗塞後のリハビリを語る−西城秀樹さん
脳梗塞発症時の症状を語る−西城秀樹