読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
脳動脈瘤の破裂が起こると、くも膜下出血が起こりえます。くも膜下出血をきたすと、その半数近くは死亡してしまうと言われているため、未破裂脳動脈瘤の治療は、くも膜下出血を予防するという観点で非常に重要となっています。
未破裂脳動脈瘤のほとんどは、くも膜下出血を起こさない限り無症状ですが(無症候性未破裂脳動脈瘤)、周囲の神経を圧迫し症状を出すことがあります。また、サイズの大きいものでは脳を圧迫し、症候性になる場合もあります(症候性未破裂脳動脈瘤)。症候性のものは、その症状出現が破裂の前兆(warning sign)の場合があるので、速やかに脳神経外科に相談する必要があります。
ただ、未破裂脳動脈瘤は成人の約5%に存在していると考えられており、脳ドックや診断機器の普及により、その無症候性の未破裂脳動脈瘤の発見される頻度が増加傾向にあります。
ただ、未破裂脳動脈瘤は成人の約5%に存在していると考えられており、脳ドックや診断機器の普及により、その無症候性の未破裂脳動脈瘤の発見される頻度が増加傾向にあります。
「70歳以下で5mm以上、治療に支障を生じる合併症がないこと」が治療の適応となり、10mm以上では積極的に治療が勧められます。3〜4mm未満または70歳を越える場合は、平均余命、大きさ、形態、部位、治療リスクなどを考慮し個別に判断します。
上記のケースの対応としては、以下のようなことがいえると思われます。
6ヶ月以内に画像により動脈瘤の大きさと形態変化の観察を行い、増大傾向や突出部分(ブレブ)の形成が認められるか、症状が出現した場合には治療を勧めます。変化のない場合は、その後1年ごとに経過観察を行い、高血圧などの危険因子の除外に努めます。
脳動脈瘤の治療法において従来から広く行われ、最も確実なのが開頭クリッピング術です。根治性は高く、治療後の再発はまれであるという利点があります。ただ、開頭術のため、血管内治療に比較して手術侵襲は大きくなることから、重度の全身合併症を有する症例や高齢者では血管内治療が行われます。
椎骨脳底動脈系や傍床突起部内頸動脈瘤などは、一般に開頭術による合併症の頻度が高いため、血管内治療が選択されることが多いです。
血管内治療とは、カテーテルにより動脈瘤をコイルで塞栓する方法です。原則として開頭術が困難な症例が対象となります。
動脈瘤頸部が体部に比して小さい場合、根治性は高いです。動脈瘤頸部が広い場合、コイルが親血管に逸脱するため塞栓が難しいです。塞栓し得た場合も、頸部へのコイル充填が不十分となりやすいです。そのため、再発する可能性があり、治療後も定期的な画像による経過観察が必要です。
手術の適応を含めて、まずはしっかりと主治医と話し合い、高血圧治療などを行うことが重要であると思われます。
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昨年末に脳ドックで「椎骨動脈の解離性動脈瘤」と診断され、その後、少し増大した疑いがあると言われました。破裂の恐怖におびえ、苦しい毎日です。(66歳女性)この相談に対して、東京慈恵医大病院脳神経外科医師の石橋敏寛先生は、以下のようにお答えになっています。
椎骨動脈は鎖骨のあたりから首の左右両側を通って脳に至る血管です。その内壁の一部が弱くなって裂け目が入り、血圧などで外側に膨らんで瘤になった状態が解離性動脈瘤で、脳内の動脈では椎骨動脈で起きることが多いようです。
血管の壁が弱くなる原因には、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病のほか、喫煙、大量の飲酒、外傷があります。もし瘤が脳幹や小脳を圧迫するくらいにまで大きくなれば、頭痛やめまいを起こしたり、ろれつが回らなくなったりする症状が出ます。
瘤の増大を指摘された場合、コンピューター断層撮影法(CT)などの画像診断で再検査することは大切です。ただ、検査の種類によって、瘤の計測結果に差が出ます。そのため計測された数値だけにとらわれず、瘤の形の変化に気をつけた方がいいでしょう。
何ミリ以上なら破裂しやすい、というようなデータはないものの、瘤が明らかに大きくなり、形が変われば、血管の内側にコイルを詰めて椎骨動脈を閉塞する治療法も考えられます。
脳動脈瘤の破裂が起こると、くも膜下出血が起こりえます。くも膜下出血をきたすと、その半数近くは死亡してしまうと言われているため、未破裂脳動脈瘤の治療は、くも膜下出血を予防するという観点で非常に重要となっています。
未破裂脳動脈瘤のほとんどは、くも膜下出血を起こさない限り無症状ですが(無症候性未破裂脳動脈瘤)、周囲の神経を圧迫し症状を出すことがあります。また、サイズの大きいものでは脳を圧迫し、症候性になる場合もあります(症候性未破裂脳動脈瘤)。症候性のものは、その症状出現が破裂の前兆(warning sign)の場合があるので、速やかに脳神経外科に相談する必要があります。
ただ、未破裂脳動脈瘤は成人の約5%に存在していると考えられており、脳ドックや診断機器の普及により、その無症候性の未破裂脳動脈瘤の発見される頻度が増加傾向にあります。
ただ、未破裂脳動脈瘤は成人の約5%に存在していると考えられており、脳ドックや診断機器の普及により、その無症候性の未破裂脳動脈瘤の発見される頻度が増加傾向にあります。
「70歳以下で5mm以上、治療に支障を生じる合併症がないこと」が治療の適応となり、10mm以上では積極的に治療が勧められます。3〜4mm未満または70歳を越える場合は、平均余命、大きさ、形態、部位、治療リスクなどを考慮し個別に判断します。
上記のケースの対応としては、以下のようなことがいえると思われます。
質問者は脳ドックで初めて見つかったので、無症状だったのでしょう。そうした患者では通常、大きくなることなく推移します。まずは、破裂率、自然歴、治療方法、治療成績などをしっかりと主治医と話し合って説明を受けることが必要であると思われます。その上で、治療を希望しない患者については経過観察を行います。
これ以上大きくしない対処法としては、高血圧、過度のストレスなどを避け、生活習慣を整えることが大切です。必要以上に心配することもストレスになりますので、あまり意識せず、今まで通りの生活を送るように心がけてください。
6ヶ月以内に画像により動脈瘤の大きさと形態変化の観察を行い、増大傾向や突出部分(ブレブ)の形成が認められるか、症状が出現した場合には治療を勧めます。変化のない場合は、その後1年ごとに経過観察を行い、高血圧などの危険因子の除外に努めます。
脳動脈瘤の治療法において従来から広く行われ、最も確実なのが開頭クリッピング術です。根治性は高く、治療後の再発はまれであるという利点があります。ただ、開頭術のため、血管内治療に比較して手術侵襲は大きくなることから、重度の全身合併症を有する症例や高齢者では血管内治療が行われます。
椎骨脳底動脈系や傍床突起部内頸動脈瘤などは、一般に開頭術による合併症の頻度が高いため、血管内治療が選択されることが多いです。
血管内治療とは、カテーテルにより動脈瘤をコイルで塞栓する方法です。原則として開頭術が困難な症例が対象となります。
動脈瘤頸部が体部に比して小さい場合、根治性は高いです。動脈瘤頸部が広い場合、コイルが親血管に逸脱するため塞栓が難しいです。塞栓し得た場合も、頸部へのコイル充填が不十分となりやすいです。そのため、再発する可能性があり、治療後も定期的な画像による経過観察が必要です。
手術の適応を含めて、まずはしっかりと主治医と話し合い、高血圧治療などを行うことが重要であると思われます。
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