以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。
『QT延長症候群』の"QT延長"とは、心電図上の特徴を指します。
そもそも"QT"とは、心電図のQ波の開始点から、T波の終了点までの時間をQT時間(間隔)のことを言います。0.4±0.04秒の範囲であれば正常と考えられていますが、性差があり、男性では0.42秒、女性では0.43秒までを正常とすることがあります。また、QT時間は心拍数によって変動するため、RR間隔で補正して評価します。
心筋細胞のイオンチャネルをコードする遺伝子の異常や薬剤などで、このQTが異常に延長すると、(トルサード・ド・ポアント型)心室頻拍や細動が生じやすくなります。そのような病態を、QT延長症候群といいます。
QT延長症候群には、先天性と後天性があり、発症年齢は様々です。先天性では非発作時の心電図でQT間隔が延長し、突然死・失神の家族歴を認めることが多いです。先天性QT延長症候群では、多くの遺伝子異常が発見されています(先天性QT延長症候群と考えられる症例でも、実際に遺伝子異常が発見されるものは多くない)。Romano-Ward症候群はLQT1〜LQT8、Jervell and Lange-Nielsen症候群はJLN1、JLN2に分けられています。
Romano-Ward(ロマノ-ワード症候群)とは、QT延長症候群の中で常染色体優性遺伝で先天性聾のないものを指します。先天性聾を伴う常染色体劣性遺伝のJervell and Lange-Nielsen症候群(イェルヴェル-ランゲ=ニールセン症候群)や遺伝性の認められない散発例よりも頻度が高いです。
後天性ではQT延長をきたす原因があります。たとえば、内服(抗不整脈薬や向精神薬、抗菌薬、抗ヒスタミン薬など)、電解質異常、心筋虚血、高度徐脈、脳血管障害などが関係して生じます。
発作時の心電図は、QT延長と特徴的なQRS波形(1拍ごとに変化して捻れているようにみえる)を呈する多形性心室頻拍(torsades de pointes)です。発作時の心電図でQT延長とtorsades de pointesを認めれば、QT延長症候群と診断できます。先天性の場合は、詳細な家族歴、家族の心電図、遺伝子解析で診断がより確実となります。後天性の場合は、QT延長の原因の検索が重要で、原因除去によりQT延長は正常化します。
QT延長症候群では、失神が初発症状であることが多いです。QT延長症候群では、運動負荷やストレス、緊張などで交感神経過緊張となると、多形性心室頻拍(torsades de pointes トルサード・ド・ポアント)が誘発されやすいです。
治療や予防としては、以下のような点に注意する必要があります。
イギリス・スウォンジーに住むチャーチ一家は、仲の良い家族。父サイモンは腕の良い大工、優しい母サマンサは娘エリスを連れての再婚だった。そして、二人の間にできたクロエとイーヴィー。しかし、一家の生活にはいつも恐怖が潜んでいた。朝になると、両親は慎重にクロエとイーヴィーの部屋に入り、ゆっくりカーテンを開け、二人の耳元でそっとささやき優しく起こす。両親はこうしてクロエとイーヴィーを毎日慎重過ぎる位恐る恐る起こし、大きな声を響かせることはない。それは命に関わるからだった。それが分かったのは数か月前のこと…。
母サマンサとイーヴィーは公園に来ていた。遊んでいて少し興奮したイーヴィーが突然しゃがみこんだ。「頭がぼーっとした」というイーヴィー。念のため病院で診てもらうと、心臓に異常があることがわかった。それは、『QT延長症候群』という原因不明の心臓病。脈拍が極端に下がり、動悸や不整脈が長く続くことで、心臓が力を弱めてしまうというもの。音や刺激に驚いて、弱った心臓が止まってしまうこともあるという。
『QT延長症候群』の"QT延長"とは、心電図上の特徴を指します。
そもそも"QT"とは、心電図のQ波の開始点から、T波の終了点までの時間をQT時間(間隔)のことを言います。0.4±0.04秒の範囲であれば正常と考えられていますが、性差があり、男性では0.42秒、女性では0.43秒までを正常とすることがあります。また、QT時間は心拍数によって変動するため、RR間隔で補正して評価します。
心筋細胞のイオンチャネルをコードする遺伝子の異常や薬剤などで、このQTが異常に延長すると、(トルサード・ド・ポアント型)心室頻拍や細動が生じやすくなります。そのような病態を、QT延長症候群といいます。
この病気にサイモンは心当たりがあった。サイモンの母ローズも同じ病気だったのだ。「QT延長症候群」は遺伝性の病気のため、父とその血を引くイーヴィーと姉のクロエは遺伝する可能性が高かった。そして大学病院で精密検査を受けた結果、イーヴィーとクロエが「QT延長症候群」と診断された。だが、この病気は発作さえ起こさなければ、普通に生活できる。その日から、発作を起こす原因を注意深く避け、静かな生活が始まった。
QT延長症候群には、先天性と後天性があり、発症年齢は様々です。先天性では非発作時の心電図でQT間隔が延長し、突然死・失神の家族歴を認めることが多いです。先天性QT延長症候群では、多くの遺伝子異常が発見されています(先天性QT延長症候群と考えられる症例でも、実際に遺伝子異常が発見されるものは多くない)。Romano-Ward症候群はLQT1〜LQT8、Jervell and Lange-Nielsen症候群はJLN1、JLN2に分けられています。
Romano-Ward(ロマノ-ワード症候群)とは、QT延長症候群の中で常染色体優性遺伝で先天性聾のないものを指します。先天性聾を伴う常染色体劣性遺伝のJervell and Lange-Nielsen症候群(イェルヴェル-ランゲ=ニールセン症候群)や遺伝性の認められない散発例よりも頻度が高いです。
後天性ではQT延長をきたす原因があります。たとえば、内服(抗不整脈薬や向精神薬、抗菌薬、抗ヒスタミン薬など)、電解質異常、心筋虚血、高度徐脈、脳血管障害などが関係して生じます。
発作時の心電図は、QT延長と特徴的なQRS波形(1拍ごとに変化して捻れているようにみえる)を呈する多形性心室頻拍(torsades de pointes)です。発作時の心電図でQT延長とtorsades de pointesを認めれば、QT延長症候群と診断できます。先天性の場合は、詳細な家族歴、家族の心電図、遺伝子解析で診断がより確実となります。後天性の場合は、QT延長の原因の検索が重要で、原因除去によりQT延長は正常化します。
QT延長症候群では、失神が初発症状であることが多いです。QT延長症候群では、運動負荷やストレス、緊張などで交感神経過緊張となると、多形性心室頻拍(torsades de pointes トルサード・ド・ポアント)が誘発されやすいです。
生活上、テレビはスイッチを入れた時に大音量がでないように、必ず音を小さくしてからスイッチを切る。目覚まし時計もやめた。電話やチャイムの音も小さく、キッチンや食卓などにテープを貼り、食器は必ずその内側に置いた。さらに、通学路も車の少ない道を選び、学校でも、全教師や児童たちに病気のことが説明された。
しかし、予期せぬ状況はある。今年3月、イーヴィーは学校の廊下で影から出てきた友達とぶつかったことがきっかけで、倒れてしまったのだ。病院に運ばれたイーヴィーは、幸い学校の対応が早かったため、大事には至らなかった。
そんな一家を訪ねてみると、母サマンサさんが音の出ない目覚まし時計を見せてくれた。時間が来ると光がどんどん強くなり、朝を知らせる仕掛けになっていた。そして彼女たちの楽しみは、ゲームで軽い運動をすることだという。常に危険と隣り合わせで生活する二人だが、「だんだん出来る事と出来ない事が分かるようになり、問題なく今まで通り過ごしている」と、学校や家族に守られながら前向きに発作を避ける日々を送っている。
治療や予防としては、以下のような点に注意する必要があります。
上記のケースでは、家族歴もあるようですので、先天性QT延長症候群であると考えられます。先天性QT延長症候群で遺伝子異常の型がわかっているものは、それぞれに応じて治療を行います。
たとえば、LQT1ではβブロッカーやKチャネルオプナー、メキシチレチンなどを用います。LQT2ではβブロッカー、カリウム摂取、LQT3ではメキシレチン、ペースメーカーなどを用います。
タイプがはっきりしない場合には、β-遮断薬が第一選択となります。徐脈に伴いQT延長を認める例では、メキシレチンなどを併用します。薬剤で全くコントロールが不良で、失神を繰り返す症例では、ICDを植え込むこともあります。
torsades de pointesの治療としては、直流除細動(心室細動移行時)、硫酸マグネシウム(マグネゾール:1mg/kg/分を停止まで)、一時ペーシング(LQT3など徐脈に伴う症例:心拍数を100以上に)などを行います。血清カリウムは、正常の上限に保ちます。
ほかにも、プロプラノロール(インデラル:0.1mg/kg静注)、ベラパミル(ワソラン:0.1mg/kg 静注)、メキシレチン(メキシチール:2mg/kg静注→LQT3では第一選択)、リドカイン(キシロカイン:2mg/kg静注)、イソプロテレノール(プロタノール:LQT3など徐脈に伴う症例で0.1〜0.5μg/kg/分)を行います。
Romano-Ward(ロマノ-ワード症候群)は、LQT1〜LQT8まで分けられています。それぞれによって遺伝子異常を起こしている部位は異なっており、LQT1は11p15;5、LQT2は7q35-36に遺伝子座があります。
LQT1では運動、特に水泳や精神的ストレスが誘因となりやすく、運動規制が必要となります。神経質な例では、QT延長をあまりきたさない精神安定薬などを投与することも必要となります。
LQT2では大きな音が発作の誘因となることがあり、目覚まし時計や電話の着信音を小さくするなどの注意が必要です。また、カリウム製剤やカリウムを多く含む食物の摂取、スピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬の投与なども有効と考えられます。
生活を送る上で、注意が必要となり、大変かとは思われます。是非、周囲も理解を示していただければ、と思われます。
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たとえば、LQT1ではβブロッカーやKチャネルオプナー、メキシチレチンなどを用います。LQT2ではβブロッカー、カリウム摂取、LQT3ではメキシレチン、ペースメーカーなどを用います。
タイプがはっきりしない場合には、β-遮断薬が第一選択となります。徐脈に伴いQT延長を認める例では、メキシレチンなどを併用します。薬剤で全くコントロールが不良で、失神を繰り返す症例では、ICDを植え込むこともあります。
torsades de pointesの治療としては、直流除細動(心室細動移行時)、硫酸マグネシウム(マグネゾール:1mg/kg/分を停止まで)、一時ペーシング(LQT3など徐脈に伴う症例:心拍数を100以上に)などを行います。血清カリウムは、正常の上限に保ちます。
ほかにも、プロプラノロール(インデラル:0.1mg/kg静注)、ベラパミル(ワソラン:0.1mg/kg 静注)、メキシレチン(メキシチール:2mg/kg静注→LQT3では第一選択)、リドカイン(キシロカイン:2mg/kg静注)、イソプロテレノール(プロタノール:LQT3など徐脈に伴う症例で0.1〜0.5μg/kg/分)を行います。
Romano-Ward(ロマノ-ワード症候群)は、LQT1〜LQT8まで分けられています。それぞれによって遺伝子異常を起こしている部位は異なっており、LQT1は11p15;5、LQT2は7q35-36に遺伝子座があります。
LQT1では運動、特に水泳や精神的ストレスが誘因となりやすく、運動規制が必要となります。神経質な例では、QT延長をあまりきたさない精神安定薬などを投与することも必要となります。
LQT2では大きな音が発作の誘因となることがあり、目覚まし時計や電話の着信音を小さくするなどの注意が必要です。また、カリウム製剤やカリウムを多く含む食物の摂取、スピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬の投与なども有効と考えられます。
生活を送る上で、注意が必要となり、大変かとは思われます。是非、周囲も理解を示していただければ、と思われます。
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