読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
この相談に対して、駿河台日大病院助手の藤田京子先生は、以下のようにお答えになっています。
中心性漿液性網脈絡膜症は、黄斑部に円形ないし長円形の境界鮮明な漿液性網膜剥離があり、隆起している状態を指します(片眼性の黄斑疾患)。30〜50歳の男子に好発し、原因は不明です。
網膜色素上皮細胞の局所の変性・壊死による血液網膜柵の破綻があり、蛍光眼底造影法で同部に一致した色素漏出として観察されます。
症状としては、網膜剥離の大きさに一致した中心暗点(視野の中心部が見えにくいか見えない状態)と軽度の視力低下、変視症(実際のものより大きくあるいは小さく見えたり、歪んで見えたりすることの総称)、小視症(変視症の一種で、実際のものよりも小さく見えること)の形で現れます。
通常、3〜6ヶ月後に自然治癒するといわれていますが、再発する傾向が強いともいわれています。
治療としては、以下のようなものがあります。
治療は薬物療法としてビタミンB1、血管拡張薬などの投与などがあります。再発・遷延する場合は、光凝固(レーザー治療)が行われることもあります。
光凝固は、レーザー光を眼組織に照射し、そのエネルギーで熱傷を作る方法です。その後に起こる組織の瘢痕癒着を目的として、主に網膜に対して行われます。
瘢痕癒着した網膜は剥離しにくくなるため、網膜剥離の治療に用いられ、ほかにも糖尿病網膜症や新生血管の予防、浮腫の治療などの目的で用いるほかに、多くの疾患に適応があります。
こうした治療を行う前に、やはり精査を行うことも重要であると思われます。鑑別疾患として加齢黄斑変性などの可能性も考慮し、その上で加療を行う必要があると思われます。
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3月に右目が「中心性漿液性脈絡網膜症」と診断されました。視力が下がり、日中はまぶしく、薄暗くなると見えません。細かい字も読めません。(46歳女性)
この相談に対して、駿河台日大病院助手の藤田京子先生は、以下のようにお答えになっています。
目をカメラに例えると網膜はフィルムに相当し、その中心に位置して物を見るために一番大切な部分を「黄斑」といいます。中心性漿液性脈絡網膜症は、黄斑の下に水のような液体がたまる病気で、20〜50歳代の男性がよく発症します。
原因はよくわかっていませんが、ストレスや疲労、睡眠不足が影響するといわれています。この病気では視力は比較的良好に保たれますが、「物がゆがんで見える」「小さく見える」「色が違って見える」「薄暗いところで見えづらい」「視野の中心に影のようなものが見える」などの症状がみられます。
ほとんどの場合、たまった液体が数か月のうちに自然に吸収され、症状も治まりますが、中にはたまったまま消えないこともあります。その場合には、眼底の血管造影検査を行い、結果によってはレーザー光線を当てて液体の吸収を促進する治療が必要になります。
中心性漿液性網脈絡膜症は、黄斑部に円形ないし長円形の境界鮮明な漿液性網膜剥離があり、隆起している状態を指します(片眼性の黄斑疾患)。30〜50歳の男子に好発し、原因は不明です。
網膜色素上皮細胞の局所の変性・壊死による血液網膜柵の破綻があり、蛍光眼底造影法で同部に一致した色素漏出として観察されます。
症状としては、網膜剥離の大きさに一致した中心暗点(視野の中心部が見えにくいか見えない状態)と軽度の視力低下、変視症(実際のものより大きくあるいは小さく見えたり、歪んで見えたりすることの総称)、小視症(変視症の一種で、実際のものよりも小さく見えること)の形で現れます。
通常、3〜6ヶ月後に自然治癒するといわれていますが、再発する傾向が強いともいわれています。
治療としては、以下のようなものがあります。
質問者の場合、発症から数か月たち、症状も強いようなので、検査でレーザー治療の可能性を調べることをお勧めします。
ただ、症状がよく似ていながら、治療法も予後も異なる「加齢黄斑変性」であれば、通常の眼底検査だけでは区別が難しい場合もあります。症状が治まらないか、逆に悪化する傾向にあれば、加齢黄斑変性の可能性も念頭に入れた再検査を受けた方がいいでしょう。
なお、日常生活では、十分な睡眠をとり、疲労やストレスをためないように心がけてください。
治療は薬物療法としてビタミンB1、血管拡張薬などの投与などがあります。再発・遷延する場合は、光凝固(レーザー治療)が行われることもあります。
光凝固は、レーザー光を眼組織に照射し、そのエネルギーで熱傷を作る方法です。その後に起こる組織の瘢痕癒着を目的として、主に網膜に対して行われます。
瘢痕癒着した網膜は剥離しにくくなるため、網膜剥離の治療に用いられ、ほかにも糖尿病網膜症や新生血管の予防、浮腫の治療などの目的で用いるほかに、多くの疾患に適応があります。
こうした治療を行う前に、やはり精査を行うことも重要であると思われます。鑑別疾患として加齢黄斑変性などの可能性も考慮し、その上で加療を行う必要があると思われます。
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