血糖値に応じて、光の強度が変わる微小センサーを、東京大生産技術研究所の竹内昌治准教授(微細加工学)の研究チームが開発した。19日発表した。ブドウ糖を多く取ったマウスの耳に埋め込んで、紫外線を当てると耳が明るく緑色に光った。今後、糖尿病患者の血糖値を常時計測するシステムの開発を目指す。
血糖値は食事や運動で大きく変わる。血糖値を下げるホルモン「インスリン」をタイミングよく注射するには、きめ細かく血糖値を測定するのが好ましいとされる。
開発したセンサーは、ブドウ糖に反応する蛍光物質を埋め込んだ寒天状のビーズで、大きさは約0.1 mm。普段は光らないが、紫外線を当てると光る。注射器の針の穴を通り抜けられるため、患者に負担をかけることなく埋め込めるという。
竹内准教授は「人では1個で十分計測できるはずだ。安全性を確かめ、10〜15年後には実用化したい」と話す。
([血糖値]増えると光る微小センサー開発 東大チーム)
血糖値とは、血液中のグルコース濃度を指します。グルコースは組織のエネルギー源であり、食事などの影響もあり、生理的変動血中のグルコース濃度は狭い範囲内に維持されています。
血糖値の制御因子の主なものはインスリン、グルカゴン、エピネフリン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモンであり、これらのホルモンの分泌に異常が生じると、血糖値は大きく変動します。食後血糖値で200 mg/dl以上、そして空腹時血糖値で126 mg/dl以上であれば高血糖となります。
血糖値を測るには、血中グルコース濃度を酵素、近赤外光などを用いて定量化するセンサーなどが用いられています。検出原理としてグルコースオキシダーゼ(GOD)を用いた観血的な酵素電極方式や比色方式が一般的です。
現在では、自動化学分析システムにより微量検体で試薬調整の必要なしに測定することができます。それらの機器としては、Ektachem DT60(KODAK)、富士ドライケム比色/酵素測定システム、Chem Pro 1000システム(SENTECH)などがあります。
ですが、これらも観血的(血液を採取して測定する)に血糖値を測定するものであり、わずかですが血液採取のために傷をつける必要があります。一方で、上記のような経皮的な測定法であれば、そうした侵襲がなく測定できるようになると考えられます。
こうした血糖値の測定は、高血糖(もしくは低血糖)の疾患を疑う場合に行われます。
高血糖は何らかの原因で血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇した状態で、一般にはインスリン分泌低下とインスリン抵抗性のいずれか、あるいは両者が合併する糖尿病でみられます。食後の一過性高血糖は、境界型糖尿病やステロイド糖尿病のほか、甲状腺機能亢進症やダンピング症候群でもみられることもあります。
糖尿病については、以下のように記すことができます。
血糖値は食事や運動で大きく変わる。血糖値を下げるホルモン「インスリン」をタイミングよく注射するには、きめ細かく血糖値を測定するのが好ましいとされる。
開発したセンサーは、ブドウ糖に反応する蛍光物質を埋め込んだ寒天状のビーズで、大きさは約0.1 mm。普段は光らないが、紫外線を当てると光る。注射器の針の穴を通り抜けられるため、患者に負担をかけることなく埋め込めるという。
竹内准教授は「人では1個で十分計測できるはずだ。安全性を確かめ、10〜15年後には実用化したい」と話す。
([血糖値]増えると光る微小センサー開発 東大チーム)
血糖値とは、血液中のグルコース濃度を指します。グルコースは組織のエネルギー源であり、食事などの影響もあり、生理的変動血中のグルコース濃度は狭い範囲内に維持されています。
血糖値の制御因子の主なものはインスリン、グルカゴン、エピネフリン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモンであり、これらのホルモンの分泌に異常が生じると、血糖値は大きく変動します。食後血糖値で200 mg/dl以上、そして空腹時血糖値で126 mg/dl以上であれば高血糖となります。
血糖値を測るには、血中グルコース濃度を酵素、近赤外光などを用いて定量化するセンサーなどが用いられています。検出原理としてグルコースオキシダーゼ(GOD)を用いた観血的な酵素電極方式や比色方式が一般的です。
現在では、自動化学分析システムにより微量検体で試薬調整の必要なしに測定することができます。それらの機器としては、Ektachem DT60(KODAK)、富士ドライケム比色/酵素測定システム、Chem Pro 1000システム(SENTECH)などがあります。
ですが、これらも観血的(血液を採取して測定する)に血糖値を測定するものであり、わずかですが血液採取のために傷をつける必要があります。一方で、上記のような経皮的な測定法であれば、そうした侵襲がなく測定できるようになると考えられます。
こうした血糖値の測定は、高血糖(もしくは低血糖)の疾患を疑う場合に行われます。
高血糖は何らかの原因で血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇した状態で、一般にはインスリン分泌低下とインスリン抵抗性のいずれか、あるいは両者が合併する糖尿病でみられます。食後の一過性高血糖は、境界型糖尿病やステロイド糖尿病のほか、甲状腺機能亢進症やダンピング症候群でもみられることもあります。
糖尿病については、以下のように記すことができます。
糖尿病とは、インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的な高血糖状態を指します。自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できます。
1型糖尿病は、自己免疫的機序により、膵臓のインスリン産生を行っているβ細胞の傷害によって起こると考えられます。故に、絶対的なインスリンの不足(産生自体が難しくなるため)が起こってきます。
臨床的には突然発症するかのように見えますが、発症に至るまでに、比較的長期にわたり、β細胞が序々に破壊されるという過程が存在します。1型糖尿病の基盤として、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子が関係しているといわれています
一方、2型糖尿病とは、生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。
症状としては、高血糖により口渇、多飲、多尿、脱水を生じ、重症例では昏睡などの意識障害をきたします。インスリン作用の不足により、体重減少、筋萎縮などをきたすこともあります。
いわゆる3大合併症としては、糖尿病網膜症による視力障害(失明に至ることも)、末梢神経障害による知覚障害や自律神経障害、糖尿病性腎症による浮腫、腎不全などが起こりえます。
また、糖尿病性ケトアシドーシスや非ケトン性高浸透圧性昏睡などを起こす重症例では、傾眠や昏睡などの意識障害を呈することもあります。
治療の基本としては、食事療法と運動療法を柱とする生活習慣の改善です。肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、高血糖のほか、高血圧、高脂血症をも併発する状態(メタボリック症候群)を引き起こし、心血管疾患のリスクを増すため、体重の減量だけでなくウエスト周囲径の減少も念頭に置いて行い、禁煙指導も重要です。
食事療法としては、標準体重=(身長m)2×22(kg)を計算し、これに25〜30kcalを乗じて1日の摂取カロリーとしますが、これは患者の生活活動度や肥満度、年齢によって適宜変える必要があります。栄養素のバランスをとるように指導し、脂肪の比率を25%以下とし、ショ糖摂取を減らし、食物繊維を十分に摂取します。
また、継続的な運動は肥満の軽減、インスリン感受性の改善、基礎代謝量の増加をもたらします。ウォーキングなどの有酸素運動は内臓脂肪燃焼に有効であり、1回20分以上週3回、できれば毎日行うようにします。
薬物療法は、十分な食事・運動療法を行っても血糖降下が不十分な症例において考慮します。αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ)、速効型インスリン分泌促進薬(ファスティック、スターシス、グルファスト)などを用います。
インスリン抵抗性の存在が疑われるものとしては、インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体アクトス)、あるいはビグアナイド剤(メルビン、グリコラン、ジベトスB )を用います。また、インスリンの基礎分泌が低下して,空腹時高血糖をきたしているものについては、インスリン分泌刺激薬であるスルホニルウレア(SU)剤を服用します。
生活指導や経口剤投与を十分に行っても、高血糖が持続する場合、手術前や感染症時には、インスリン投与を考慮します。食後のインスリン追加分泌を補う速効型あるいは超速効型を各食前に、加えて早朝血糖が高いものには夜間のインスリン基礎分泌を補う中間型インスリンを眠前に行う1日3〜4回投与を行います。
上記のような非侵襲的な検査法が行えるようになれば、より血糖値をコントロールするのに非常に有用であると考えられます。
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臨床的には突然発症するかのように見えますが、発症に至るまでに、比較的長期にわたり、β細胞が序々に破壊されるという過程が存在します。1型糖尿病の基盤として、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子が関係しているといわれています
一方、2型糖尿病とは、生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。
症状としては、高血糖により口渇、多飲、多尿、脱水を生じ、重症例では昏睡などの意識障害をきたします。インスリン作用の不足により、体重減少、筋萎縮などをきたすこともあります。
いわゆる3大合併症としては、糖尿病網膜症による視力障害(失明に至ることも)、末梢神経障害による知覚障害や自律神経障害、糖尿病性腎症による浮腫、腎不全などが起こりえます。
また、糖尿病性ケトアシドーシスや非ケトン性高浸透圧性昏睡などを起こす重症例では、傾眠や昏睡などの意識障害を呈することもあります。
治療の基本としては、食事療法と運動療法を柱とする生活習慣の改善です。肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、高血糖のほか、高血圧、高脂血症をも併発する状態(メタボリック症候群)を引き起こし、心血管疾患のリスクを増すため、体重の減量だけでなくウエスト周囲径の減少も念頭に置いて行い、禁煙指導も重要です。
食事療法としては、標準体重=(身長m)2×22(kg)を計算し、これに25〜30kcalを乗じて1日の摂取カロリーとしますが、これは患者の生活活動度や肥満度、年齢によって適宜変える必要があります。栄養素のバランスをとるように指導し、脂肪の比率を25%以下とし、ショ糖摂取を減らし、食物繊維を十分に摂取します。
また、継続的な運動は肥満の軽減、インスリン感受性の改善、基礎代謝量の増加をもたらします。ウォーキングなどの有酸素運動は内臓脂肪燃焼に有効であり、1回20分以上週3回、できれば毎日行うようにします。
薬物療法は、十分な食事・運動療法を行っても血糖降下が不十分な症例において考慮します。αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ)、速効型インスリン分泌促進薬(ファスティック、スターシス、グルファスト)などを用います。
インスリン抵抗性の存在が疑われるものとしては、インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体アクトス)、あるいはビグアナイド剤(メルビン、グリコラン、ジベトスB )を用います。また、インスリンの基礎分泌が低下して,空腹時高血糖をきたしているものについては、インスリン分泌刺激薬であるスルホニルウレア(SU)剤を服用します。
生活指導や経口剤投与を十分に行っても、高血糖が持続する場合、手術前や感染症時には、インスリン投与を考慮します。食後のインスリン追加分泌を補う速効型あるいは超速効型を各食前に、加えて早朝血糖が高いものには夜間のインスリン基礎分泌を補う中間型インスリンを眠前に行う1日3〜4回投与を行います。
上記のような非侵襲的な検査法が行えるようになれば、より血糖値をコントロールするのに非常に有用であると考えられます。
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