阪神・赤星憲広外野手(33)が12日、横浜20回戦(甲子園)の3回の守備で首を痛めて途中交代した。内川の右中間への打球にダイビングした際に全身を強打。自力で起き上がることができずトレーナーに背負われて退場。兵庫県内の病院に入院した。13日の試合は欠場して様子を見る。

慢性的な腰痛に加え、頸椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアも抱えている赤星は7月にも首痛で出場選手登録を外れている。山脇守備走塁コーチは「いつもはしびれが取れるようだが、今回は取れないといっていた」と話した。
(赤星首痛めて背負われ退場→入院)

頸椎椎間板ヘルニアとは


椎間板ヘルニアは、頚椎、胸椎、腰椎のどこにでも発生する可能性があります。ですが、特に後縦靱帯、脊椎骨の構造の差から、頸椎より腰椎に生じやすく、胸椎にはまれなものであるといわれています。

そもそも椎間板ヘルニアとは、この椎間板に異常な外力が加わり、線維輪を破って中心の髄核が流れ出ることによって生じます。結果、脱出した椎体の部分が神経根を圧迫して、腰痛や坐骨神経痛(下肢痛)などを生じます。

簡単に言ってしまえば、椎体(骨)と椎体(骨)の間にあるクッションである椎間板、それが飛び出して神経を圧迫している状態です。

特に、L4/5間(第4腰椎と第5腰椎の間)、L5/S間(第5腰椎と仙椎の間)のヘルニアがほとんどを占めます。したがって、神経根としてはL5(第5腰椎)、S1(第1仙椎)の障害が最も多く、膝以下から足部の疼痛、知覚障害や筋力低下などが主立った症状となります。

末梢神経では、S1を主とする坐骨神経、深腓骨神経、浅腓骨神経、脛骨神経などに添った疼痛があり、坐骨神経痛などがよく起こるようです。

頚椎では、腰椎で観察されやすい「変性の少ない椎間板でのヘルニア発生」がみられにくいです。椎間板内の水平裂、軟骨板に達する垂直裂、軟骨板の断片化と進み、軟骨板を含む椎間板組織片が後縦靱帯深層を穿破し、その結果として頸椎椎間板ヘルニアとなります。

そのため、腰椎に比べておおよそ10年遅いといわれています(腰椎のヘルニアは、10〜20歳代でも発生します)。したがって、頚椎のヘルニアは中高年齢層で生じることが多いです。10歳代の例は皆無であり、20歳代も稀です(ただ、頚椎の椎間板変性は20歳代ころに始まっているといわれています)。

神経根症を来すヘルニアの椎間板高位はC6-7(第6〜第7頸椎)椎間が最も多く、次いでC5-6、C7-T1(第7頸椎〜第1胸椎)、C4-5椎間の順です。脊髄症では、C5-6椎間が最も多く、次いでC4-5、C3-4、C6-7椎間の順です。

頸椎椎間板ヘルニアの診断


症状としては、多くが手指のしびれで発症します。両側同時の発症もありますが、左右いずれかに生じて、まもなく両側性となる例が多いです。続いて、手指のもつれ、箸使い、書字、ボタンはめが困難といった手指の巧緻(こうち)運動障害が現れます。

やがて、足のひきずり、もつれといった痙性歩行が出現し、足先あるいは下肢、体幹に及ぶしびれ、さらに排尿障害が加わります。下肢の感覚障害は、しびれでなく、冷える、ほてるといった温度覚の異常で自覚されている場合が少なくないです。

発症後早期に、頚椎を後屈すると上肢あるいは下肢への電撃性ショック(電気が走ったような衝撃があります)、あるいは四肢の脱力、体幹の熱感といった症状が再現されることが多いです。

神経学的所見では、上肢に筋力低下、腱反射低下、知覚障害がみられます。加えて、Hoffmann徴候(患者さんの手を回内[内側に曲げる]し、中指の末節骨を下から弾いて伸展反射を起こさせ、反射的に母指と示指を屈曲すれば陽性。その場合、錐体路障害が示唆されます)、下肢腱反射の亢進、下肢の知覚障害がみられます。稀に、下肢症状で発症する場合があります。

診断にあたっては、神経学的所見や疼痛部位と、単純腰椎X線、MRIなどによるヘルニアの高位と横断位が一致した場合に、診断が確定されます。

ヘルニアの腫瘤は、単純X線像では描出されません。ですが、神経根症あるいは脊髄症があり、側面像で椎間板腔に狭小化の所見がなければ、ほぼヘルニアが脊柱因子であると考えられます。

MRIでは、ヘルニアが最もよく描出されます。脊髄に変形がみられ、T2強調像で脊髄内に高輝度領域が見られればヘルニアが原因と診断できます。

頸椎椎間板ヘルニアの治療


頸椎椎間板ヘルニアの治療としては、以下のようなものがあります。
神経根症であれば、まず保存的治療を行います。軽症例では日常生活上の指導に加えて消炎鎮痛剤を投与することで、良好な改善が期待できます。

重症例では、頚部の安静をとらせるために入院させ、Glisson(グリソン)牽引(ベルト状のものを顎と後頭骨に装着して、錘をつけて牽引します。介達牽引)を行い、硬膜外あるいは神経根のブロックを併用する場合があります。それらの中間の例では、頚椎カラーによる固定が有用です。

一般に症状の改善は治療後4ヶ月までに著しく、その後に少ないです。したがって、4ヶ月を経て頚部〜上肢、手指にかけての痛み、しびれが強く残存し、就労能力あるいは生活の質(QOL)が損なわれていれば、手術の適応となりえます。

脊髄症であれば、ほとんどで保存的治療が無効なために手術が適応されます。手術では、一般に前方除圧固定術が行われ、確実で安全なヘルニア摘出に、縦・横幅ともに広い掘削溝が望ましいです。

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