読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
この相談に対して、社会保険中央総合病院長である万代恭嗣先生は以下のようにお答えになっております。
胆道ジスキネジーとは、胆嚢を含む胆道系に何らの器質的障害が存在しないにもかかわらず、腹痛、発熱、黄疸などの胆道疾患様症状を呈する病態を指します。上記のように、胆石やその手術など、はっきりとした炎症の原因がないのにも関わらず、腹痛などが現れます。
原因としては、胆道系にある括約筋群の攣縮、または胆汁排泄機構の機能不全による胆汁うっ滞、ないし胆道内圧亢進が本態と考えられています。簡単にいってしまえば、胆汁がうまく流せなくなるため、胆道内の圧力が高まり、胆道のある右上腹部か、みぞおちに痛みが表れてきます。
胆道ジスキネジーは、緊張亢進性、運動亢進性、緊張低下性に分類されます。緊張亢進性はさらに胆嚢頸部および胆嚢管痙攣による胆嚢頸部型と、オッディ括約筋の過緊張によるオッディ括約筋型に分けられます。ちなみに、オッディ括約筋とは、十二指腸の壁を貫く部分の総胆管と膵管および両者が合流してできた膨大部(ファーター膨大部)の3者の周囲を輪状に取り囲む括約筋を指します。
胆道ジスキネジーの治療としては、以下のようなものがあります。
上記のように、症状や血液検査の結果により治療を選択していくことになります。慢性痛に陥った症例では、塩酸クロミプラミンの点滴静注や絶食療法、行動療法などの心身医学的治療などが行われることもあります。
まずは消化器疾患の専門家のもと、しっかりと検査を行い、その上で主治医と相談し、納得した上で治療法を選択されてはいかがでしょうか。
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約2週間前、右脇腹の辺りに、急に強い痛みが出て1日中続き、注射でやっと止まりました。「胆道ジスキネジー」の疑いと言われたのですが、どんな病気ですか。(58歳女性)
この相談に対して、社会保険中央総合病院長である万代恭嗣先生は以下のようにお答えになっております。
肝臓で作られた胆汁がたまる場所が胆のう、十二指腸に分泌される際に通るのが胆管で、それらを総称して胆道と呼びます。ジスキネジー(運動障害)とは、胆道が炎症を起こして狭まるか、胆管の末端にある「乳頭括約筋」が過度の緊張でけいれんして胆汁を流せなくなることを指し、主に痛みの症状がでます。
質問者は、胆石やその手術など、はっきりとした炎症の原因がないようなので後者だと思われます。その場合、胆道内の圧力が高まり、胆道のある右上腹部か、みぞおちに痛みが表れ、多くは胆汁がうまく分泌されないために、血液検査で「胆道系酵素」と呼ばれる「ガンマGTP」「ALP」などの値が上がります。
また、脂肪を多く含んだ検査食で胆汁の分泌を促し、超音波検査で胆管に滞留していないか確かめたり、胆汁に取り付く放射性同位元素を使った画像検査「胆道シンチグラフィー」で流れを観察したりということも診断には必要です。
胆道ジスキネジーとは
胆道ジスキネジーとは、胆嚢を含む胆道系に何らの器質的障害が存在しないにもかかわらず、腹痛、発熱、黄疸などの胆道疾患様症状を呈する病態を指します。上記のように、胆石やその手術など、はっきりとした炎症の原因がないのにも関わらず、腹痛などが現れます。
原因としては、胆道系にある括約筋群の攣縮、または胆汁排泄機構の機能不全による胆汁うっ滞、ないし胆道内圧亢進が本態と考えられています。簡単にいってしまえば、胆汁がうまく流せなくなるため、胆道内の圧力が高まり、胆道のある右上腹部か、みぞおちに痛みが表れてきます。
胆道ジスキネジーは、緊張亢進性、運動亢進性、緊張低下性に分類されます。緊張亢進性はさらに胆嚢頸部および胆嚢管痙攣による胆嚢頸部型と、オッディ括約筋の過緊張によるオッディ括約筋型に分けられます。ちなみに、オッディ括約筋とは、十二指腸の壁を貫く部分の総胆管と膵管および両者が合流してできた膨大部(ファーター膨大部)の3者の周囲を輪状に取り囲む括約筋を指します。
胆道ジスキネジーの治療
胆道ジスキネジーの治療としては、以下のようなものがあります。
治療では、内視鏡で胆道を見ながら乳頭括約筋を切り開き、胆汁を流れやすくします。ただ、すべての患者に効果があるわけではないため、症状や検査結果から、最重症と判断された方に対してのみ行います。
一方、検査値に異常が見られない程度に症状が軽い方には、乳頭括約筋の過度の緊張を抑える抗けいれん薬などをお勧めします。痛みが繰り返す場合は、胆汁の分泌につながる脂肪分を控えた食事も、症状の軽減につながります。
上記のように、症状や血液検査の結果により治療を選択していくことになります。慢性痛に陥った症例では、塩酸クロミプラミンの点滴静注や絶食療法、行動療法などの心身医学的治療などが行われることもあります。
まずは消化器疾患の専門家のもと、しっかりと検査を行い、その上で主治医と相談し、納得した上で治療法を選択されてはいかがでしょうか。
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