行方不明だった人気漫画「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人(本名・臼井義人)さん(51)について、同県と長野県にまたがる荒船山(標高1423メートル)で見つかった方を臼井さんと確認したと発表した。歯型などが一致したという。

臼井さんは荒船山の絶壁「艫(とも)岩」の頂上付近から転落したとみられ、遺体は艫岩の真下120メートル付近で見つかった。約50メートル離れた斜面に臼井さんのリュックサックやカメラも落ちていた。リュックには携帯電話と財布、衣類が残されていた。

19日午前に登山者の男性が発見し、ヘリコプターが20日午後に現場からつり上げて収容した。下仁田署で検視した結果、11日午後ごろ、全身強打による肺挫滅で死亡したとみられる。
([クレヨンしんちゃん]作者の臼井さんと確認)

肺挫傷とは


肺挫傷とは、直達外力(交通事故などの外力)が胸壁に作用し、肺内圧が急激に高まり肺胞を過伸展させるため、肺胞と肺毛細血管壁に生ずる損傷です。

組織学的には肺胞内と間質内に浮腫と出血を来し、そのため肺内シャント(肺胞で酸素を受け取ることができない静脈血が、左心房に還流してしまう)の増加と肺コンプライアンス(肺が膨らみにくくなる)の低下を生じます。鈍的胸部外傷に多く発生し、肺実質損傷のうち、最も多く経験される疾患です。

肺挫傷の診断


診断は、標準的な外傷初期診療に従い、受傷機転による胸部外傷の可能性の有無からその存在を念頭に置き、視診、触診、聴診、打診を行います。

胸郭の変形や打撲痕、皮下気腫、ラ音の聴取や呼吸音の減弱や左右差、鼓音の有無や左右差などの何らかの異常身体所見や、血痰や喀血、酸素化能(SpO2や動脈血酸素分圧)低下が認められれば、肺損傷(気管・気管支損傷も)の存在が疑われます。

確定診断は、胸部単純X線写真や胸部CT画像によってなされますが、その画像所見は肺区域に一致しない境界不明瞭な斑状・網状陰影、あるいは肺内血腫による腫瘤様の高濃度陰影などがみられます。

初期には、胸部X線写真で明らかな異常所見を呈さないこともあり、注意が必要です。肺裂創、肺内血腫、外傷性肺嚢胞の存在や肋骨骨折の有無、気胸や血胸等の存在を含めた詳細な胸部外傷の全体像の診断には胸部CT画像が優れています。そのため、呼吸循環動態の安定を確保したうえで胸部CTを実施することが望ましいです。

肺挫傷の治療


肺挫傷の治療としては、以下のようなものがあります。
胸部外傷の損傷形態を問わず、治療の主体は、気道確保と酸素投与による低酸素血症の是正、無気肺予防のための体位ドレナージや、呼吸理学療法による気道内の血液や分泌物の喀出と疼痛管理にあります。

肺挫傷のみの場合には、通常外傷後数時間で発症し、24時間前後で症状や画像上ピークとなり、1週間程度で治癒します。肺内血腫、外傷性肺嚢胞が認められる場合には画像上の治癒は遅延し、まれに感染を併発する場合があります。

十分な酸素吸入と気胸や血胸に対する胸腔ドレナージを施行してもPaO2が80mmHg未満の場合には、気管挿管下に人工呼吸管理を開始し、重症例ではECMO(体外式膜型人工肺)の導入も考慮される場合があります。

抗菌薬の予防投与は必須ではありませんが、人工呼吸や胸腔ドレナージが施行された場合には考えられます。

この訃報を耳にするにあたり、小学生のころからずっと今まで、コミックスの発売日を楽しみにし続けている一ファンとして、非常に大きなショックを受けました。ご冥福をお祈りいたします。

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