認知症で闘病中の女優・南田洋子(76)が、17日にくも膜下出血を起こし、都内の病院に緊急入院していたことが19日、分かった。所属事務所によれば、現在も入院治療中だが、意識の有無など詳細は不明で、病状が心配される。夫で俳優の長門裕之(75)はこの日、南田が入院している病院を訪れたが、憔悴(しょうすい)の表情。20日に会見して病状を説明する。南田は今年4月にも意識混濁で緊急入院していた。
二人三脚で病気と闘っている夫婦が、またもショッキングな事態に見舞われた。
所属事務所がこの夜、マスコミに送ったFAXによれば、南田は17日午後9時ごろ、自宅で体調を崩し、救急車で都内の大学病院に搬送されたという。すぐに検査を受けた結果、「くも膜下出血」と診断されたといい、現在も病院で治療を続けている。
意識の有無など病状の詳細は明らかにされていないが、一部では「意識混濁で搬送」「こん睡状態」「手術した」などの情報も。
夫の長門はこの日、舞台の休演日。午後3時すぎに関係者を伴い、南田の入院先の病院を訪れた。足取りはしっかりしていたが、最愛の妻の再入院に気落ちし、伏し目がちな様子。待ち受けた報道陣にも無言だったが、関係者が「まだ話せませんので…」とそのつらい心情を代弁した。
(南田洋子 くも膜下出血で緊急搬送)
くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)は、くも膜下腔に出血が生じ、脳脊髄液中に血液が混入した状態をいいます。
くも膜とは髄膜の一部です。脳と脊髄を覆う3層の膜を髄膜といいますが、髄膜は脳・脊髄の表面に密着した軟膜、その外側にあるくも膜、最外側にある硬膜からなります。この髄膜のうち、くも膜と軟膜との間に存在するやや広い空間のことを「くも膜下腔」といいます。この部分に出血が生じたのが「くも膜下出血」というわけです。
脳卒中の10%前後を占め、原因のほとんどは脳動脈瘤の破裂で、まれに血管奇形やもやもや病、出血傾向など脳動脈瘤以外の原因もあります。
原発性くも膜下出血の原因として重要なものは、「脳動脈瘤の破綻」と、「脳動静脈奇形からの出血」です。脳動脈瘤の破綻は、くも膜下出血の75〜90%以上を、脳動静脈奇形からの出血は5〜10%を占めています。
脳動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血は、40〜60歳をピークとした成人に多くみられますが、20歳代の若年やまれに小児に起こることもあります。男女差は50歳頃まではほとんどありませんが、高齢者ほど女性の比率が多くなります。人口10万人に対して、10〜20人程度が発症するといわれています。
最近では、脳ドックを受けられる方も多くなり、未破裂脳動脈瘤の発見頻度が増加して、約2%の発見率(未破裂脳動脈瘤は成人の約5%に存在していると考えられている)といわれています。そうした場合、破裂してくも膜下出血を起こす前に手術を行うことができます。
くも膜下出血の症状としては、「(バットで殴られたような)突然起こる激しい頭痛」と表現される頭痛が有名です。その表現のように、今までに感じたことのないような頭痛がみられます。さらに悪心・嘔吐を伴い、頭痛が持続します。
約半数が意識障害を起こすといわれています(一過性のことが多いようですが)。約20%が初発で亡くなってしまいます。重症なものでは5分以内に急死することもあります。いつもとは感じの異なる頭痛(突然の激しい頭痛)や、持続性の頭痛があった場合、やはり受診されることが望ましいと思われます。
出血が激しければ意識障害を伴い、昏睡や呼吸停止となり即死する場合もあります。意識障害は約半数近くにみられますが、多くは一過性で、数分ないし1時間以内で回復します。しかし錯乱や健忘が1〜2日持続することもあります。発症時は昏睡でも、救急車の中であるいは入院後に意識が清明となることもあり、刻々と症状は変化したりします。軽微な出血では軽い頭痛のために歩いて受診することもあり、感冒や緊張型頭痛、片頭痛などと診断されてしまうこともあります。
診断はくも膜下腔に出血を証明することで、発症当日や2〜3日以内ならCTでくも膜下腔や脳槽に出血の高吸収域を認めます。軽い出血の数日後には、CT上異常を認めない場合もありますが、くも膜下出血は否定できないので腰椎穿刺による髄液検査を行います。
頭部CTの後、脳血管造影によるSeldinger法で両側の内頸動脈、椎骨動脈撮影(4vessel study)を行い、破裂脳動脈瘤を発見します。約20%の症例では動脈瘤が2個以上発見されますが、動脈瘤の大きさ、形、CT所見を総合すれば、破裂動脈瘤(責任病巣)の診断はほぼ100%可能となります。
また、キサントクロミー(黄色調)髄液なら、くも膜下出血であったことを示唆します。血性(赤色)の時は腰椎穿刺による血管損傷と区別するため、遠心分離してキサントクロミーの有無を調べます。疑わしければ、脳動脈瘤を直接証明できるMR angiography(MRA)や3D-CTAなどの非侵襲的検査を行います。
CT angiography、MR angiographyなどは脳血管撮影より非侵襲的な方法であり、画像の精度もよくなってきていますが、未破裂動脈瘤の診断(スクリーニング的検査)に用いられる場合が多く、くも膜下出血例ではいまだ一般的な検査とはいえない状況にあります。
確定診断では、突発した激しい頭痛と嘔気・嘔吐(意識障害を伴うことも多い)の存在や、頭部CTによるくも膜下腔の血腫の証明、脳血管撮影による脳動脈瘤の証明などが重要です。
くも膜下出血の治療としては、以下のようなものがあります。
二人三脚で病気と闘っている夫婦が、またもショッキングな事態に見舞われた。
所属事務所がこの夜、マスコミに送ったFAXによれば、南田は17日午後9時ごろ、自宅で体調を崩し、救急車で都内の大学病院に搬送されたという。すぐに検査を受けた結果、「くも膜下出血」と診断されたといい、現在も病院で治療を続けている。
意識の有無など病状の詳細は明らかにされていないが、一部では「意識混濁で搬送」「こん睡状態」「手術した」などの情報も。
夫の長門はこの日、舞台の休演日。午後3時すぎに関係者を伴い、南田の入院先の病院を訪れた。足取りはしっかりしていたが、最愛の妻の再入院に気落ちし、伏し目がちな様子。待ち受けた報道陣にも無言だったが、関係者が「まだ話せませんので…」とそのつらい心情を代弁した。
(南田洋子 くも膜下出血で緊急搬送)
くも膜下出血とは
くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)は、くも膜下腔に出血が生じ、脳脊髄液中に血液が混入した状態をいいます。
くも膜とは髄膜の一部です。脳と脊髄を覆う3層の膜を髄膜といいますが、髄膜は脳・脊髄の表面に密着した軟膜、その外側にあるくも膜、最外側にある硬膜からなります。この髄膜のうち、くも膜と軟膜との間に存在するやや広い空間のことを「くも膜下腔」といいます。この部分に出血が生じたのが「くも膜下出血」というわけです。
脳卒中の10%前後を占め、原因のほとんどは脳動脈瘤の破裂で、まれに血管奇形やもやもや病、出血傾向など脳動脈瘤以外の原因もあります。
原発性くも膜下出血の原因として重要なものは、「脳動脈瘤の破綻」と、「脳動静脈奇形からの出血」です。脳動脈瘤の破綻は、くも膜下出血の75〜90%以上を、脳動静脈奇形からの出血は5〜10%を占めています。
脳動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血は、40〜60歳をピークとした成人に多くみられますが、20歳代の若年やまれに小児に起こることもあります。男女差は50歳頃まではほとんどありませんが、高齢者ほど女性の比率が多くなります。人口10万人に対して、10〜20人程度が発症するといわれています。
最近では、脳ドックを受けられる方も多くなり、未破裂脳動脈瘤の発見頻度が増加して、約2%の発見率(未破裂脳動脈瘤は成人の約5%に存在していると考えられている)といわれています。そうした場合、破裂してくも膜下出血を起こす前に手術を行うことができます。
くも膜下出血の診断
くも膜下出血の症状としては、「(バットで殴られたような)突然起こる激しい頭痛」と表現される頭痛が有名です。その表現のように、今までに感じたことのないような頭痛がみられます。さらに悪心・嘔吐を伴い、頭痛が持続します。
約半数が意識障害を起こすといわれています(一過性のことが多いようですが)。約20%が初発で亡くなってしまいます。重症なものでは5分以内に急死することもあります。いつもとは感じの異なる頭痛(突然の激しい頭痛)や、持続性の頭痛があった場合、やはり受診されることが望ましいと思われます。
出血が激しければ意識障害を伴い、昏睡や呼吸停止となり即死する場合もあります。意識障害は約半数近くにみられますが、多くは一過性で、数分ないし1時間以内で回復します。しかし錯乱や健忘が1〜2日持続することもあります。発症時は昏睡でも、救急車の中であるいは入院後に意識が清明となることもあり、刻々と症状は変化したりします。軽微な出血では軽い頭痛のために歩いて受診することもあり、感冒や緊張型頭痛、片頭痛などと診断されてしまうこともあります。
診断はくも膜下腔に出血を証明することで、発症当日や2〜3日以内ならCTでくも膜下腔や脳槽に出血の高吸収域を認めます。軽い出血の数日後には、CT上異常を認めない場合もありますが、くも膜下出血は否定できないので腰椎穿刺による髄液検査を行います。
頭部CTの後、脳血管造影によるSeldinger法で両側の内頸動脈、椎骨動脈撮影(4vessel study)を行い、破裂脳動脈瘤を発見します。約20%の症例では動脈瘤が2個以上発見されますが、動脈瘤の大きさ、形、CT所見を総合すれば、破裂動脈瘤(責任病巣)の診断はほぼ100%可能となります。
また、キサントクロミー(黄色調)髄液なら、くも膜下出血であったことを示唆します。血性(赤色)の時は腰椎穿刺による血管損傷と区別するため、遠心分離してキサントクロミーの有無を調べます。疑わしければ、脳動脈瘤を直接証明できるMR angiography(MRA)や3D-CTAなどの非侵襲的検査を行います。
CT angiography、MR angiographyなどは脳血管撮影より非侵襲的な方法であり、画像の精度もよくなってきていますが、未破裂動脈瘤の診断(スクリーニング的検査)に用いられる場合が多く、くも膜下出血例ではいまだ一般的な検査とはいえない状況にあります。
確定診断では、突発した激しい頭痛と嘔気・嘔吐(意識障害を伴うことも多い)の存在や、頭部CTによるくも膜下腔の血腫の証明、脳血管撮影による脳動脈瘤の証明などが重要です。
くも膜下出血の治療
くも膜下出血の治療としては、以下のようなものがあります。
くも膜下出血の治療法としては、手術療法が第一選択となり、Hunt & Kosnikの分類によりその適応が考えられます。
Hunt & Kosnikの分類
この分類にて、grade1、2が最もよい適応で、grade3、4は状態の改善傾向があれば適応となり、grade5は根治手術の適応となりません。
手術は、再出血が起こる前の発症後数時間以内のきわめて早期に行うことが多いです。手術法としては、直接手術法(動脈瘤のクリッピング、コーティング)、間接手術法(血管内手術として動脈瘤のコイル塞栓術)などがあります。
他にも、3H療法とよばれる高血圧(Hypertension)・高循環血液量(Hypervolemic)・血液希釈(Hemodilusion)療法が行われます。これは、血管攣縮の予防、並びに脳浮腫の状態でも動脈潅流を維持するため、高張輸液の大量投与、時には高カロリー輸液やアルブミンの投与を行います。
急性期では頭痛が強いと血圧が上昇し再破裂の誘引にもなるので、十分な鎮痛と鎮静をはかります。場合によっては完全に麻酔することもあります。セルシンやペンタジン、ロヒプノールなどを用います。
また、くも膜下出血後の高血圧は再出血の誘引になるので、降圧薬の持続的投与が行われます。意識障害を伴い、鎮静する場合も多いので、注射剤が使用しやすいです。ペルジピンやヘルベッサーなどが用いられます。また、脳圧を下げる浸透圧利尿薬の使用は、再破裂の危険もあり通常は控えますが、頭蓋内圧亢進による切迫脳ヘルニアで危険な場合にはグリセオールなどを使用します。
この保存的な治療法は、最重症例で症状が改善するまでの間や手術適応とならない場合にも行われます。再出血の防止、脳循環障害の改善、脳浮腫の改善などを目的に行います。
破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血と診断された時点で、意識状態がよければ早急な脳動脈瘤治療が必要となります。意識が昏睡の重症例では、脳動脈瘤治療の適応にはならないことが多いですが、脳出血や水頭症を伴うなどの病態によっては適応となり、総合的に判断する必要があります。
脳動脈瘤は開頭クリッピング手術か血管内治療(動脈瘤コイル塞栓術)で治療されます。通常は開頭クリッピング術を行いますが、脳底動脈瘤など急性期の開頭クリッピング手術が困難な場合や高齢者(80歳以上)には、コイル塞栓術が優先されることもあります。
【関連記事】
くも膜下出血で闘病中の妻のため番組降板-松本方哉さん
クモ膜下出血−突然の激しい頭痛を感じた55歳女性
Hunt & Kosnikの分類
・grade0:未破裂動脈瘤
・grade1:無症状か、最小限のずつうおよび軽度の項部硬直
・grade1a:急性の髄膜または脳症状をみないが、固定した神経学的失調のあるもの
・grade2:中等度から重篤な頭痛、項部硬直を見るが、脳神経麻痺以外の神経学的失調をみない。
・grade3:傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの。
・grade4:昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある。
・grade5:深昏睡状態で除脳硬直を示し、瀕死の様相を示すもの。
この分類にて、grade1、2が最もよい適応で、grade3、4は状態の改善傾向があれば適応となり、grade5は根治手術の適応となりません。
手術は、再出血が起こる前の発症後数時間以内のきわめて早期に行うことが多いです。手術法としては、直接手術法(動脈瘤のクリッピング、コーティング)、間接手術法(血管内手術として動脈瘤のコイル塞栓術)などがあります。
他にも、3H療法とよばれる高血圧(Hypertension)・高循環血液量(Hypervolemic)・血液希釈(Hemodilusion)療法が行われます。これは、血管攣縮の予防、並びに脳浮腫の状態でも動脈潅流を維持するため、高張輸液の大量投与、時には高カロリー輸液やアルブミンの投与を行います。
急性期では頭痛が強いと血圧が上昇し再破裂の誘引にもなるので、十分な鎮痛と鎮静をはかります。場合によっては完全に麻酔することもあります。セルシンやペンタジン、ロヒプノールなどを用います。
また、くも膜下出血後の高血圧は再出血の誘引になるので、降圧薬の持続的投与が行われます。意識障害を伴い、鎮静する場合も多いので、注射剤が使用しやすいです。ペルジピンやヘルベッサーなどが用いられます。また、脳圧を下げる浸透圧利尿薬の使用は、再破裂の危険もあり通常は控えますが、頭蓋内圧亢進による切迫脳ヘルニアで危険な場合にはグリセオールなどを使用します。
この保存的な治療法は、最重症例で症状が改善するまでの間や手術適応とならない場合にも行われます。再出血の防止、脳循環障害の改善、脳浮腫の改善などを目的に行います。
破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血と診断された時点で、意識状態がよければ早急な脳動脈瘤治療が必要となります。意識が昏睡の重症例では、脳動脈瘤治療の適応にはならないことが多いですが、脳出血や水頭症を伴うなどの病態によっては適応となり、総合的に判断する必要があります。
脳動脈瘤は開頭クリッピング手術か血管内治療(動脈瘤コイル塞栓術)で治療されます。通常は開頭クリッピング術を行いますが、脳底動脈瘤など急性期の開頭クリッピング手術が困難な場合や高齢者(80歳以上)には、コイル塞栓術が優先されることもあります。
【関連記事】
くも膜下出血で闘病中の妻のため番組降板-松本方哉さん
クモ膜下出血−突然の激しい頭痛を感じた55歳女性