以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。
赤ちゃんの未知の力が母の命を救う!2005年、イギリス・エセックス州。ローレンは、優しい夫と生まれたばかりの長女エリーの3人で幸せに暮らしていた。しかし、不思議な事が・・・エリーは、片方のおっぱいから母乳を飲むことを嫌がった。なぜか、いつも飲むのは左のおっぱい。
ローレンは、定期健診で医師に相談してみた。医師からは、乳管が詰まって出にくくなる事があるので、乳房をマッサージしてみては?と提案された。言われた通り右の乳房をマッサージしてみたが、エリーは相変わらず右の母乳を飲もうとしない。搾乳し、哺乳瓶に入れてエリーに与えてみたが、それでも右の母乳は飲まなかった。左右で味が違うのかと、夫が搾乳した左右の母乳を味見してみたが、違いは分からなかった。その後もエリーは左の母乳しか飲まなかったが、病気一つせず成長。ローレン達もこの事を忘れていった。
2007年。エリーは2歳、この年の春、長男ジョシュアが誕生した。しかし、ジョシュアもまた絶対に右から母乳を飲もうとしなかった。その原因は恐るべきものだった!気になったローレンは、ネットで自分に当てはまる症状を検索。すると、「赤ちゃんが片方のお乳を拒む場合、それは乳ガンのサインの可能性がある」という驚愕の内容が書かれていのだ。
まさかとは思ったが、彼女は直ぐに病院で右の乳房を検査。すると、なんと、右の乳房(乳腺)にガン細胞が発見された。実は日本でもこうした例は報告されているが、片方の母乳を飲まないことと、ガンの関係性はまだ解明されていない。また、乳腺炎など、ガン以外の理由で片方の母乳を飲まなくなるケースもたくさん存在するという。
ローレンのケースは、「2人の子どもが片方のおっぱいを飲まなかった事で、母親のガンを発見」と新聞で大々的に報じられた。ローレンはすぐに乳腺の切除手術を受けた。彼女は、「2人の子どもがガンを教えてくれたに違いない」と思っている。
このような現象を「Milk-rejection sign」というそうです。Milk-rejection sign(直訳すれば、ミルク拒否サイン)は、授乳中の子供が片方の乳房から突然ミルクを飲まなくなり、のちに授乳を拒絶された乳房に癌が見つかるというもので、授乳期乳癌の発見動機として報告されています(Milk-rejection signを呈した乳癌の1症例)。
機序は不明ですが、 その徴候から乳汁中の味覚・臭いに変化を与える物質の存在が推測されています。
乳癌とは、乳房にある乳腺組織に発生する悪性腫瘍のことです。乳癌罹患は年間約4万人で、女性が罹る癌の中でトップであり、年々増加傾向にあります。年間死亡は約1万人で、罹患のピークが40〜50歳代にあります。そのため、働き盛りの女性の罹患する癌の中で、乳癌は罹患率・死亡率とも第1位となっております。
乳癌罹患者数は1970年の約3倍で、食事内容の変化(脂肪摂取量の増加や初経年齢の低年齢化などで)今後も増加し、2015年には年間約48000人の女性が乳癌に罹患すると予測されています。年々増加の一途をたどり、現在、年間約1万人が死亡しています。
多くの女性が乳癌に最初に気づくのは、ほとんどが自分で「しこり」に気づいています。そのほか皮膚陥凹、乳頭からの血性分泌物、乳頭のびらん、疼痛などがみられることもあります。
患者さんは、「乳房にしこりがある」と訴え、痛みを伴わないことがほとんどですが、気がついてから、よく触れるために痛みや圧痛を伴うようになったと訴えることもあります。触れたしこりの大きさの変化も重要な情報となります。
こうして「しこりに気づいて」受診されているということは、逆に言えば、検診にて発見されるのは、たった2割でしかないと日本乳癌学会の大規模調査で判明しています。ただ、胸を触る自己診断で見つかる乳癌の大きさは平均約2cmで、自然に気づく場合は3cm以上が多いとのことです。
早期癌は、直径2cm以下とされています。ですが、発見時には43%が2.1〜2.5cmに達しており、発見時にリンパ節に転移していた人も、3分の1を占めています。リンパ節に転移しない乳癌の10年後の生存率は約9割と高いが、転移をしていると7割以下に落ちるといいます。
一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。早期がんの発見には、マンモグラフィ検診が有効です。乳癌の死亡率を下げるには、集団検診の受診率を上げることが不可欠とされています。
しこりの訴えがある場合は、その部位を念頭において、まず問診を行います。乳房腫瘤に気づくきっかけ、疼痛、乳頭分泌、腫瘤増大の有無を聴取し、さらに、月経状況、出産・授乳歴、乳腺疾患の既往、乳癌の家族歴、ホルモン補充療法の有無を聴取することが重要です。乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫であり、これらを鑑別することが重要です。
問診の次は、視・触診を行います。腫瘤上の皮膚の陥凹(Delle)、浮腫、発赤、皮膚への癌の浸潤、潰瘍形成などが乳癌の所見としては有名ですが、これらは進行した癌でみられるようです。早期の乳癌や良性腫瘍、乳腺症などでは皮膚所見はほとんどみられません。
また、上肢を挙上したり、手を腰に当てて胸を張ったときに、乳房の一部に陥凹(slight dimple)が現れないかどうかをみておくことも必要となります。これは、Cooper(クーパー)靭帯に乳癌が浸潤し、皮膚との距離が短縮されたために起こる現象です。
乳房の触診は仰臥位で、両手を頭の後ろで手を組み、肘を張って、胸を張るようにした体位で行います。乳癌の特徴的な触診所見は、弾性がやや乏しい硬い腫瘤として触知し、表面は粗いか凸凹で、周囲の乳腺組織との境界がやや不明瞭となります。また、両側の鎖骨上窩と腋窩を触診し、リンパ節の腫脹の有無を調べることも重要です。リンパ節を触知した場合は、個数とともに、それぞれのリンパ節の大きさ、硬さ、可動性などを調べます。
検査としては、超音波検査あるいはマンモグラフィーを行います。
超音波検査では、正常の乳腺は皮膚の下のエコー輝度の低い脂肪に囲まれたエコー輝度の高い均一な像として描出されます。一方、乳腺に腫瘍性病変があるとこの組織構成が崩されて、低エコーの像として描出されることが多くなります。
マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像から、その腫瘤の良・悪性を診断していくことになります。乳癌の典型的な像としては、放射状陰影(spicule)を有する不整形の腫瘤陰影で、周辺の透明帯(halo)を伴わないか、伴ったとしても不均一なものです。また、形状不整の集蔟した微小石灰化像は、乳癌を疑う所見となります。
病歴情報や身体所見、超音波検査やマンモグラフィーの結果に基づき、腫瘍の存在が疑われたときには穿刺吸引細胞診へ進みます。診断は通常の細胞診と同様に細胞の異型度から、class ?(正常)から class ?(癌)の5段階で行われます。
乳癌の治療としては、以下のようなものがあります。
赤ちゃんの未知の力が母の命を救う!2005年、イギリス・エセックス州。ローレンは、優しい夫と生まれたばかりの長女エリーの3人で幸せに暮らしていた。しかし、不思議な事が・・・エリーは、片方のおっぱいから母乳を飲むことを嫌がった。なぜか、いつも飲むのは左のおっぱい。
ローレンは、定期健診で医師に相談してみた。医師からは、乳管が詰まって出にくくなる事があるので、乳房をマッサージしてみては?と提案された。言われた通り右の乳房をマッサージしてみたが、エリーは相変わらず右の母乳を飲もうとしない。搾乳し、哺乳瓶に入れてエリーに与えてみたが、それでも右の母乳は飲まなかった。左右で味が違うのかと、夫が搾乳した左右の母乳を味見してみたが、違いは分からなかった。その後もエリーは左の母乳しか飲まなかったが、病気一つせず成長。ローレン達もこの事を忘れていった。
2007年。エリーは2歳、この年の春、長男ジョシュアが誕生した。しかし、ジョシュアもまた絶対に右から母乳を飲もうとしなかった。その原因は恐るべきものだった!気になったローレンは、ネットで自分に当てはまる症状を検索。すると、「赤ちゃんが片方のお乳を拒む場合、それは乳ガンのサインの可能性がある」という驚愕の内容が書かれていのだ。
まさかとは思ったが、彼女は直ぐに病院で右の乳房を検査。すると、なんと、右の乳房(乳腺)にガン細胞が発見された。実は日本でもこうした例は報告されているが、片方の母乳を飲まないことと、ガンの関係性はまだ解明されていない。また、乳腺炎など、ガン以外の理由で片方の母乳を飲まなくなるケースもたくさん存在するという。
ローレンのケースは、「2人の子どもが片方のおっぱいを飲まなかった事で、母親のガンを発見」と新聞で大々的に報じられた。ローレンはすぐに乳腺の切除手術を受けた。彼女は、「2人の子どもがガンを教えてくれたに違いない」と思っている。
このような現象を「Milk-rejection sign」というそうです。Milk-rejection sign(直訳すれば、ミルク拒否サイン)は、授乳中の子供が片方の乳房から突然ミルクを飲まなくなり、のちに授乳を拒絶された乳房に癌が見つかるというもので、授乳期乳癌の発見動機として報告されています(Milk-rejection signを呈した乳癌の1症例)。
機序は不明ですが、 その徴候から乳汁中の味覚・臭いに変化を与える物質の存在が推測されています。
乳癌とは
乳癌とは、乳房にある乳腺組織に発生する悪性腫瘍のことです。乳癌罹患は年間約4万人で、女性が罹る癌の中でトップであり、年々増加傾向にあります。年間死亡は約1万人で、罹患のピークが40〜50歳代にあります。そのため、働き盛りの女性の罹患する癌の中で、乳癌は罹患率・死亡率とも第1位となっております。
乳癌罹患者数は1970年の約3倍で、食事内容の変化(脂肪摂取量の増加や初経年齢の低年齢化などで)今後も増加し、2015年には年間約48000人の女性が乳癌に罹患すると予測されています。年々増加の一途をたどり、現在、年間約1万人が死亡しています。
多くの女性が乳癌に最初に気づくのは、ほとんどが自分で「しこり」に気づいています。そのほか皮膚陥凹、乳頭からの血性分泌物、乳頭のびらん、疼痛などがみられることもあります。
患者さんは、「乳房にしこりがある」と訴え、痛みを伴わないことがほとんどですが、気がついてから、よく触れるために痛みや圧痛を伴うようになったと訴えることもあります。触れたしこりの大きさの変化も重要な情報となります。
こうして「しこりに気づいて」受診されているということは、逆に言えば、検診にて発見されるのは、たった2割でしかないと日本乳癌学会の大規模調査で判明しています。ただ、胸を触る自己診断で見つかる乳癌の大きさは平均約2cmで、自然に気づく場合は3cm以上が多いとのことです。
早期癌は、直径2cm以下とされています。ですが、発見時には43%が2.1〜2.5cmに達しており、発見時にリンパ節に転移していた人も、3分の1を占めています。リンパ節に転移しない乳癌の10年後の生存率は約9割と高いが、転移をしていると7割以下に落ちるといいます。
乳癌の診断
一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。早期がんの発見には、マンモグラフィ検診が有効です。乳癌の死亡率を下げるには、集団検診の受診率を上げることが不可欠とされています。
しこりの訴えがある場合は、その部位を念頭において、まず問診を行います。乳房腫瘤に気づくきっかけ、疼痛、乳頭分泌、腫瘤増大の有無を聴取し、さらに、月経状況、出産・授乳歴、乳腺疾患の既往、乳癌の家族歴、ホルモン補充療法の有無を聴取することが重要です。乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫であり、これらを鑑別することが重要です。
問診の次は、視・触診を行います。腫瘤上の皮膚の陥凹(Delle)、浮腫、発赤、皮膚への癌の浸潤、潰瘍形成などが乳癌の所見としては有名ですが、これらは進行した癌でみられるようです。早期の乳癌や良性腫瘍、乳腺症などでは皮膚所見はほとんどみられません。
また、上肢を挙上したり、手を腰に当てて胸を張ったときに、乳房の一部に陥凹(slight dimple)が現れないかどうかをみておくことも必要となります。これは、Cooper(クーパー)靭帯に乳癌が浸潤し、皮膚との距離が短縮されたために起こる現象です。
乳房の触診は仰臥位で、両手を頭の後ろで手を組み、肘を張って、胸を張るようにした体位で行います。乳癌の特徴的な触診所見は、弾性がやや乏しい硬い腫瘤として触知し、表面は粗いか凸凹で、周囲の乳腺組織との境界がやや不明瞭となります。また、両側の鎖骨上窩と腋窩を触診し、リンパ節の腫脹の有無を調べることも重要です。リンパ節を触知した場合は、個数とともに、それぞれのリンパ節の大きさ、硬さ、可動性などを調べます。
検査としては、超音波検査あるいはマンモグラフィーを行います。
超音波検査では、正常の乳腺は皮膚の下のエコー輝度の低い脂肪に囲まれたエコー輝度の高い均一な像として描出されます。一方、乳腺に腫瘍性病変があるとこの組織構成が崩されて、低エコーの像として描出されることが多くなります。
マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像から、その腫瘤の良・悪性を診断していくことになります。乳癌の典型的な像としては、放射状陰影(spicule)を有する不整形の腫瘤陰影で、周辺の透明帯(halo)を伴わないか、伴ったとしても不均一なものです。また、形状不整の集蔟した微小石灰化像は、乳癌を疑う所見となります。
病歴情報や身体所見、超音波検査やマンモグラフィーの結果に基づき、腫瘍の存在が疑われたときには穿刺吸引細胞診へ進みます。診断は通常の細胞診と同様に細胞の異型度から、class ?(正常)から class ?(癌)の5段階で行われます。
乳癌の治療
乳癌の治療としては、以下のようなものがあります。
乳癌はホルモン療法や化学療法への感受性があり、全身病としての認識が確立しています。ですが、治療はやはり手術が基本で、病期?までの約9割は手術療法の適応となります。
術後には、全身に対する補助療法を行うのが標準的な治療法です。間質浸潤がない乳管内癌はリンパ節を含め転移はないため、手術だけで治癒できますが、エストロゲン受容体(ER)陽性のことが多く、ホルモン療法を付加するのが一般的です。遠隔転移がある場合は全身療法を行いますが、局所の疼痛や出血、壊死により日常生活に支障をきたすような場合は、手術を行うこともあります。
手術方法としては
があります。最近では胸筋温存乳房切除術(非定型的乳房切除術および、乳房温存手術が主流となり、乳房温存手術が半数以上に行われています。
乳房温存手術は、超音波検査やマンモグラフィー、CTやMRIで広範囲な乳管内進展巣のない腫瘍径3cm以下の腫瘍に対し、マージンを十分とった乳腺部分切除と腋窩リンパ節郭清を行った後、残存乳房に対する放射線治療(通常50グレイ)を付加することが原則となっています。さらに、センチネルリンパ節生検を行い、転移の有無を病理組織学的に検索し郭清を省略することも行われています。
進行乳癌では、根治が期待できる全身状態の良いものに対しては術後治療に準じた根治的治療を行います。乳癌の組織学的悪性度(HER2/neu 遺伝子)、ホルモン感受性を調べたうえで、抗癌剤や内分泌療法剤、抗体[トラスツズマブ(ハーセプチン)]を使った乳癌標的療法などを組み合わせて治療します。
さらに、最近では「ラジオ波熱凝固療法」といった治療法も行われています。「ラジオ波熱凝固療法」の原理としては、直接数mmの針を腫瘍に直接刺して、AMラジオと同じ波帯の電波(460-480 KHz)を照射し、60-70度の熱を加えて、癌細胞を焼く(正確には100度前後の熱で凝固させる)というもの。原理的には電気メスと同じです。周囲への浸潤を含めて、腫瘍径が2cm以下でリンパ節転移がみられない方が適応となります。
乳癌細胞の7割が女性ホルモン受容体を有し、癌の発育はホルモン療法に感受性があるといわれています。ホルモン療法には、ホルモン受容体拮抗薬(閉経前)やLH-RHアナログ(閉経前)、合成黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン)などがもちいられています。
ホルモン感受性乳癌に対しては、術後5年間のタモキシフェン投与が有用であるといわれています。また、閉経前乳癌であれば、卵巣機能抑制療法が有用であり、LH-RHアナログが推奨されています。
上記のようなサインが出ればさらに、そして、こうしたサインがなくても、できれば乳癌検診を受けていただければ、と思われます。
【関連記事】
乳癌の再発および肺や骨髄への転移を告白−川村カオリさん
卵巣癌と診断された11歳の少女−奇跡の妊娠・出産
術後には、全身に対する補助療法を行うのが標準的な治療法です。間質浸潤がない乳管内癌はリンパ節を含め転移はないため、手術だけで治癒できますが、エストロゲン受容体(ER)陽性のことが多く、ホルモン療法を付加するのが一般的です。遠隔転移がある場合は全身療法を行いますが、局所の疼痛や出血、壊死により日常生活に支障をきたすような場合は、手術を行うこともあります。
手術方法としては
?胸筋合併乳房切除術(定型的乳房切除術:Halsted手術)
?拡大乳房切除術
?胸筋温存乳房切除術(非定型的乳房切除術)
?乳房温存手術
?単純乳房切除術
があります。最近では胸筋温存乳房切除術(非定型的乳房切除術および、乳房温存手術が主流となり、乳房温存手術が半数以上に行われています。
乳房温存手術は、超音波検査やマンモグラフィー、CTやMRIで広範囲な乳管内進展巣のない腫瘍径3cm以下の腫瘍に対し、マージンを十分とった乳腺部分切除と腋窩リンパ節郭清を行った後、残存乳房に対する放射線治療(通常50グレイ)を付加することが原則となっています。さらに、センチネルリンパ節生検を行い、転移の有無を病理組織学的に検索し郭清を省略することも行われています。
進行乳癌では、根治が期待できる全身状態の良いものに対しては術後治療に準じた根治的治療を行います。乳癌の組織学的悪性度(HER2/neu 遺伝子)、ホルモン感受性を調べたうえで、抗癌剤や内分泌療法剤、抗体[トラスツズマブ(ハーセプチン)]を使った乳癌標的療法などを組み合わせて治療します。
さらに、最近では「ラジオ波熱凝固療法」といった治療法も行われています。「ラジオ波熱凝固療法」の原理としては、直接数mmの針を腫瘍に直接刺して、AMラジオと同じ波帯の電波(460-480 KHz)を照射し、60-70度の熱を加えて、癌細胞を焼く(正確には100度前後の熱で凝固させる)というもの。原理的には電気メスと同じです。周囲への浸潤を含めて、腫瘍径が2cm以下でリンパ節転移がみられない方が適応となります。
乳癌細胞の7割が女性ホルモン受容体を有し、癌の発育はホルモン療法に感受性があるといわれています。ホルモン療法には、ホルモン受容体拮抗薬(閉経前)やLH-RHアナログ(閉経前)、合成黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン)などがもちいられています。
ホルモン感受性乳癌に対しては、術後5年間のタモキシフェン投与が有用であるといわれています。また、閉経前乳癌であれば、卵巣機能抑制療法が有用であり、LH-RHアナログが推奨されています。
上記のようなサインが出ればさらに、そして、こうしたサインがなくても、できれば乳癌検診を受けていただければ、と思われます。
【関連記事】
乳癌の再発および肺や骨髄への転移を告白−川村カオリさん
卵巣癌と診断された11歳の少女−奇跡の妊娠・出産