■うつ病にも“シーズン限定”のものがある!
「毎年、冬になると気分がうつうつしてすぐれない…」「春になると治るのに、どうして冬だけ極端に気分が落ち込むのだろう……」こんな悩みをもっている人はいませんか?
うつ病のなかにも、ある一定のシーズンにだけ症状が現れるものがあります。これが「季節性うつ病」と呼ばれるものです。このうつ病の特徴は、そのシーズンが終わると症状が回復し、もとの状態に戻れることです。
季節性うつ病のほとんどは、秋から冬にかけて症状の現れる「冬季うつ病」です。夏に現れる「夏季うつ病」もありますが、前者に比べれば少ないものです。
では、なぜ冬季なのでしょう? ひとつには日照が関係していると考えられています。冬は、他の季節に比べて日照時間が短くなります。特に、緯度の高い地方では極端に日照時間が短くなるため、このうつ病にかかる人の割合も増えます。
■冬季うつ病の代表的な症状とは?
では、冬季うつ病の症状はどんなものなのでしょう。
といったものが、代表的な症状です。
実際、冬季うつ病ではない人でも、冬にはいつもよりたっぷり眠りたくなったり、多めに食べたくなったりしますよね。これは、冬という厳しい季節に立ち向かうため、体がいつもより休息を必要としたり、エネルギーを蓄えようとするためです。
しかし、上記4つの症状が明らかに強い場合には、冬季うつ病の可能性もあります。
■心身の健康には「もっと光を!」
冬季うつ病の治療法には、「高照度光療法」というものが有効だと考えられています。これは、2,200〜3,500ルクスの強い蛍光灯の光を、1日15 分〜2時間程度浴びる治療法です。これにより、ホルモンの分泌や体温のリズムを整えていくことができます。また、あわせて抗うつ薬の投与も行います。
光を必要とするのは、植物だけではないのです。人間も光をある程度浴びないと、心身の健康に影響します。日頃から昼夜が逆転した生活を送っている人、また、日中もカーテンを閉めて薄暗い中で過ごすことが多いという人も、“光不足”にならないようくれぐれもご用心ください。
(「冬季うつ病」にご用心!)
季節性にみられる情動疾患を季節性感情障害(seasonal affective disorder;SAD)といいます。季節性感情障害ともいい、毎年ほぼ同じ時期に起こり、同じ時期に自然寛解します。
頻度の高いタイプは冬季うつ病で、午前中の過眠、意欲低下、食欲亢進、体重増加、炭水化物の嗜好を呈し、春季に全ての症状が寛解するといった特徴があります。
簡単にいってしまえば、毎年のように秋・冬にうつ状態を繰り返し、春になると自然に寛解するうつ病です。冬期の日照不足によるとされ、高緯度地域での発症率が高いといわれています。
一般的なうつ病の亜型とも言われることもあります。一般的なうつ病では、気分障害の一種であり、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患です。これらの症状からしても、冬季うつ病とはかなり異なるのがおわかりになるかと思われます。
さらに、うつ病の診断は、DSM-IVの診断基準などを参考にして行われます。これには、2つの主要症状が基本となります。それは「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」です。この2つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされています。
「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどです。「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態です。
ただ、最近の傾向としては、身体症状を前景とする軽症うつ病(仮面うつ病)が増加しているそうです。うつ病の8割が、一般診療科を受診するという報告もあります。身体に多彩な症状がみられ、症状の部位によって、多くの診療機関を受診(いわゆるドクター・ショッピング)しています。
よくある症状は、「睡眠障害」「全身倦怠・疲労」「全身のいろいろな部位の疼痛」の3つです。うつ病と診断された患者が初診時にどのような身体症状を訴えていたかを調べた結果(新臨床内科学第8版)、消化器症状が63%と最も多く、次に循環器症状20%、呼吸器症状14%、泌尿・生殖器症状6%、運動感覚器症状4%といわれています。
中でも、うつ病と消化器症状はきわめて関連が深いそうです。うつ病に伴う消化器症状として食欲不振78%、体重減少56%、便通異常44%、ガス症状33%、悪心・嘔吐29%、咽喉頭部・食道の異常感26%、腹痛23%、胃部不快感20%、口内異常感14%、胸やけ・げっぷ10%などが認められています。
こうした症状が、実はうつ病によるものがあり、内科などから精神科へ紹介受診となることもあります。
冬季うつ病の治療としては、以下のようなものがあります。
「毎年、冬になると気分がうつうつしてすぐれない…」「春になると治るのに、どうして冬だけ極端に気分が落ち込むのだろう……」こんな悩みをもっている人はいませんか?
うつ病のなかにも、ある一定のシーズンにだけ症状が現れるものがあります。これが「季節性うつ病」と呼ばれるものです。このうつ病の特徴は、そのシーズンが終わると症状が回復し、もとの状態に戻れることです。
季節性うつ病のほとんどは、秋から冬にかけて症状の現れる「冬季うつ病」です。夏に現れる「夏季うつ病」もありますが、前者に比べれば少ないものです。
では、なぜ冬季なのでしょう? ひとつには日照が関係していると考えられています。冬は、他の季節に比べて日照時間が短くなります。特に、緯度の高い地方では極端に日照時間が短くなるため、このうつ病にかかる人の割合も増えます。
■冬季うつ病の代表的な症状とは?
では、冬季うつ病の症状はどんなものなのでしょう。
・無気力感に襲われる
・睡眠時間が長くなり、眠くてたまらない
・とにかく食べたい(とくに炭水化物)
・体重の増加が著しい
といったものが、代表的な症状です。
実際、冬季うつ病ではない人でも、冬にはいつもよりたっぷり眠りたくなったり、多めに食べたくなったりしますよね。これは、冬という厳しい季節に立ち向かうため、体がいつもより休息を必要としたり、エネルギーを蓄えようとするためです。
しかし、上記4つの症状が明らかに強い場合には、冬季うつ病の可能性もあります。
■心身の健康には「もっと光を!」
冬季うつ病の治療法には、「高照度光療法」というものが有効だと考えられています。これは、2,200〜3,500ルクスの強い蛍光灯の光を、1日15 分〜2時間程度浴びる治療法です。これにより、ホルモンの分泌や体温のリズムを整えていくことができます。また、あわせて抗うつ薬の投与も行います。
光を必要とするのは、植物だけではないのです。人間も光をある程度浴びないと、心身の健康に影響します。日頃から昼夜が逆転した生活を送っている人、また、日中もカーテンを閉めて薄暗い中で過ごすことが多いという人も、“光不足”にならないようくれぐれもご用心ください。
(「冬季うつ病」にご用心!)
冬季うつ病とは
季節性にみられる情動疾患を季節性感情障害(seasonal affective disorder;SAD)といいます。季節性感情障害ともいい、毎年ほぼ同じ時期に起こり、同じ時期に自然寛解します。
頻度の高いタイプは冬季うつ病で、午前中の過眠、意欲低下、食欲亢進、体重増加、炭水化物の嗜好を呈し、春季に全ての症状が寛解するといった特徴があります。
簡単にいってしまえば、毎年のように秋・冬にうつ状態を繰り返し、春になると自然に寛解するうつ病です。冬期の日照不足によるとされ、高緯度地域での発症率が高いといわれています。
一般的なうつ病の亜型とも言われることもあります。一般的なうつ病では、気分障害の一種であり、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患です。これらの症状からしても、冬季うつ病とはかなり異なるのがおわかりになるかと思われます。
さらに、うつ病の診断は、DSM-IVの診断基準などを参考にして行われます。これには、2つの主要症状が基本となります。それは「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」です。この2つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされています。
「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどです。「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態です。
ただ、最近の傾向としては、身体症状を前景とする軽症うつ病(仮面うつ病)が増加しているそうです。うつ病の8割が、一般診療科を受診するという報告もあります。身体に多彩な症状がみられ、症状の部位によって、多くの診療機関を受診(いわゆるドクター・ショッピング)しています。
よくある症状は、「睡眠障害」「全身倦怠・疲労」「全身のいろいろな部位の疼痛」の3つです。うつ病と診断された患者が初診時にどのような身体症状を訴えていたかを調べた結果(新臨床内科学第8版)、消化器症状が63%と最も多く、次に循環器症状20%、呼吸器症状14%、泌尿・生殖器症状6%、運動感覚器症状4%といわれています。
中でも、うつ病と消化器症状はきわめて関連が深いそうです。うつ病に伴う消化器症状として食欲不振78%、体重減少56%、便通異常44%、ガス症状33%、悪心・嘔吐29%、咽喉頭部・食道の異常感26%、腹痛23%、胃部不快感20%、口内異常感14%、胸やけ・げっぷ10%などが認められています。
こうした症状が、実はうつ病によるものがあり、内科などから精神科へ紹介受診となることもあります。
冬季うつ病の治療
冬季うつ病の治療としては、以下のようなものがあります。
上記のように、高照度光療法が有効であるといわれています。高照度光療法とは、2,500lux(ルクス)を超える強い光によって、ヒトでも松果体からのメラトニンの分泌が抑制されることが明らかにされて、高照度の光が生体リズムや行動に影響を及ぼすことが想定され、開発された治療法です。
季節によってうつ病が発症・悪化する季節性感情障害(SAD)のうち、冬季うつ病の患者に対し、眼前で2,500lux以上の人工照射光を浴びせ、著しい改善がみられたことに始まっています。すなわち、高照度光療法は冬季うつ病がきっかけで開発されました。
また、今日ではSADのみでなく、概日リズム睡眠障害や月経前緊張症(PMS)などにも応用されています。
毎年「冬のシーズンになると落ち込みやすくてツラい…」といった症状が心当たりの方は、一度、精神科などでご相談されてはいかがでしょうか。
【関連記事】
うつ病や夏バテ、慢性疲労の共通症状とは
産後うつ病のメンタル・ケアや治療の拡充を
季節によってうつ病が発症・悪化する季節性感情障害(SAD)のうち、冬季うつ病の患者に対し、眼前で2,500lux以上の人工照射光を浴びせ、著しい改善がみられたことに始まっています。すなわち、高照度光療法は冬季うつ病がきっかけで開発されました。
また、今日ではSADのみでなく、概日リズム睡眠障害や月経前緊張症(PMS)などにも応用されています。
毎年「冬のシーズンになると落ち込みやすくてツラい…」といった症状が心当たりの方は、一度、精神科などでご相談されてはいかがでしょうか。
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産後うつ病のメンタル・ケアや治療の拡充を