タレント・神田うの(34)が13日、夫でレジャー産業グループ社長の西村拓郎氏(39)が、重度の腸炎と腹膜炎で入院していたことを、12日付の自身のブログで明かした。
今月1日に腹痛に見舞われ、深夜2時に緊急入院。11日に退院したという。「この10日間は精神的にも肉体的にも辛かったですが、無事に快復し、退院致しましたので本当によかったです」。
(神田うの、夫入院をブログで告白)
腹膜は、腹壁の内面を覆う壁側腹膜と、腹腔内臓器の外面を覆う臓側腹膜とに分けられます。これら2つの腹膜に包まれた体腔が腹膜腔(腹腔)です。
腹膜炎は細菌感染や悪性腫瘍、あるいは機械的、化学的刺激などによって起こる腹膜の炎症であり、その臨床経過、病因、炎症の進展範囲あるいは腹水の性状により分類されます。
急性腹膜炎は、腹腔内に炎症および感染が起こり、激しい腹痛をもたらす病態で、腹膜炎の起炎菌はただちに血液中に移行し、敗血症へ至る危険な状態です。
急性腹膜炎は、炎症の進展範囲により、急性汎発性腹膜炎と急性限局性腹膜炎とに分けられます。急性汎発性腹膜炎は炎症が拡大・進展し、腹膜全体に及ぶものです。腹部に激痛を認め、腹膜刺激症状により嘔気・嘔吐も出現します。
急性限局性腹膜炎は、炎症が生体の防御機構により腹腔の一部分に限局する場合で、腹痛や全身症状の程度は汎発性腹膜炎と比較し軽度で、時に炎症性腫瘤を触知することがあります。
腹腔内に原因となる感染病巣が存在しないのに生じるものが原発性腹膜炎で、遠隔諸臓器からの血行性あるいはリンパ行性感染や、卵管経由の感染が原因となります。また、腹水を伴う非代償性肝硬変患者でみられるもの(特発性腹膜炎)も原発性腹膜炎に分類されます。
続発性腹膜炎は、消化管の穿孔・破裂によって引き起こされるものが多く(穿孔性腹膜炎)、急性腹膜炎の大部分を占めます。上記のケースでも、こちらではないかと考えられます。
原因疾患としては虫垂炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢炎、潰瘍性大腸炎、胃癌、大腸癌、消化管肉腫、腸チフス、憩室炎などに起因します。このほか、外傷性腹膜炎や胆汁性腹膜炎、あるいは感染を起こした腹部臓器からの血行性あるいは伝播性のものも続発性腹膜炎に含まれます。
起因菌としては、大腸菌によるものが多いですが、クレブシエラ、肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、淋菌などもあげられます。
急性腹膜炎では、激しい腹痛、腹膜の刺激による悪心、嘔吐を認めます。汎発性腹膜炎における腹痛は、次第に腹部全体に及びます。また、発熱、呼吸促迫、頻脈もみられます。顔貌は苦悶状を呈し、病状が進行して脱水も加わると腹膜炎顔貌(ヒポクラテス顔貌)となります。
腹膜炎の診断は、こうした患者さんの身体所見や血液検査、ならびに腹部単純X線像やエコー、CT検査などによって行われます。しかし、緊急性を要する例では、開腹術が先行して行われた後に診断の確定する場合もあります。
また、腹水穿刺により得られた腹水の性状は鑑別診断(漏出性腹水と滲出性腹水の鑑別)に有用です。
腹部所見では、触診で圧痛、Blumberg徴候、筋性防御がみられ、病状の進行とともに腹筋は板状強直(板状硬)を示しますが、高齢者ではこれらの所見が明らかではない腹膜炎もみられるので注意が必要です。
血液検査では、白血球増多とCRP陽性または赤沈の亢進が認められますが、重篤になると逆に白血球数が減少することもあります。
腹部単純X線検査において、消化管穿孔では立位撮影で腹腔内遊離ガス像を横隔膜下に認めることが多いです。また、麻痺性イレウスを併発すれば、大量の腸管ガス像が観察されます。さらに炎症が後腹膜に波及すると腸腰筋陰影が不明瞭になり、歩行時に疼痛を訴えることがあります。
聴診では病初期に腸管の蠕動は亢進しますが、麻痺性イレウスへと進行すると腸雑音は聴取されなくなります。
直腸指診では、炎症がDouglas窩に波及し、ここに膿汁などが貯留する場合には、直腸指診により著明な圧痛をみることがあるので診断の一助となります。
急性腹膜炎では、腹部の激痛、腹腔内への滲出液貯留による脱水、敗血症などによってショックになりやすいです。バイタルサインをチェックしていくことはもちろんのこと、必要に応じて血液の細菌培養なども行います。
適切な治療がなされないと、肺水腫、肝不全、腎不全、循環障害、血液凝固障害、消化管出血などを併発し、MOF(多臓器不全)へと進展する場合もあります。
腹膜炎の治療としては、以下のようなものがあります。
今月1日に腹痛に見舞われ、深夜2時に緊急入院。11日に退院したという。「この10日間は精神的にも肉体的にも辛かったですが、無事に快復し、退院致しましたので本当によかったです」。
(神田うの、夫入院をブログで告白)
腹膜炎とは
腹膜は、腹壁の内面を覆う壁側腹膜と、腹腔内臓器の外面を覆う臓側腹膜とに分けられます。これら2つの腹膜に包まれた体腔が腹膜腔(腹腔)です。
腹膜炎は細菌感染や悪性腫瘍、あるいは機械的、化学的刺激などによって起こる腹膜の炎症であり、その臨床経過、病因、炎症の進展範囲あるいは腹水の性状により分類されます。
急性腹膜炎は、腹腔内に炎症および感染が起こり、激しい腹痛をもたらす病態で、腹膜炎の起炎菌はただちに血液中に移行し、敗血症へ至る危険な状態です。
急性腹膜炎は、炎症の進展範囲により、急性汎発性腹膜炎と急性限局性腹膜炎とに分けられます。急性汎発性腹膜炎は炎症が拡大・進展し、腹膜全体に及ぶものです。腹部に激痛を認め、腹膜刺激症状により嘔気・嘔吐も出現します。
急性限局性腹膜炎は、炎症が生体の防御機構により腹腔の一部分に限局する場合で、腹痛や全身症状の程度は汎発性腹膜炎と比較し軽度で、時に炎症性腫瘤を触知することがあります。
腹腔内に原因となる感染病巣が存在しないのに生じるものが原発性腹膜炎で、遠隔諸臓器からの血行性あるいはリンパ行性感染や、卵管経由の感染が原因となります。また、腹水を伴う非代償性肝硬変患者でみられるもの(特発性腹膜炎)も原発性腹膜炎に分類されます。
続発性腹膜炎は、消化管の穿孔・破裂によって引き起こされるものが多く(穿孔性腹膜炎)、急性腹膜炎の大部分を占めます。上記のケースでも、こちらではないかと考えられます。
原因疾患としては虫垂炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢炎、潰瘍性大腸炎、胃癌、大腸癌、消化管肉腫、腸チフス、憩室炎などに起因します。このほか、外傷性腹膜炎や胆汁性腹膜炎、あるいは感染を起こした腹部臓器からの血行性あるいは伝播性のものも続発性腹膜炎に含まれます。
起因菌としては、大腸菌によるものが多いですが、クレブシエラ、肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、淋菌などもあげられます。
腹膜炎の診断
急性腹膜炎では、激しい腹痛、腹膜の刺激による悪心、嘔吐を認めます。汎発性腹膜炎における腹痛は、次第に腹部全体に及びます。また、発熱、呼吸促迫、頻脈もみられます。顔貌は苦悶状を呈し、病状が進行して脱水も加わると腹膜炎顔貌(ヒポクラテス顔貌)となります。
腹膜炎の診断は、こうした患者さんの身体所見や血液検査、ならびに腹部単純X線像やエコー、CT検査などによって行われます。しかし、緊急性を要する例では、開腹術が先行して行われた後に診断の確定する場合もあります。
また、腹水穿刺により得られた腹水の性状は鑑別診断(漏出性腹水と滲出性腹水の鑑別)に有用です。
腹部所見では、触診で圧痛、Blumberg徴候、筋性防御がみられ、病状の進行とともに腹筋は板状強直(板状硬)を示しますが、高齢者ではこれらの所見が明らかではない腹膜炎もみられるので注意が必要です。
血液検査では、白血球増多とCRP陽性または赤沈の亢進が認められますが、重篤になると逆に白血球数が減少することもあります。
腹部単純X線検査において、消化管穿孔では立位撮影で腹腔内遊離ガス像を横隔膜下に認めることが多いです。また、麻痺性イレウスを併発すれば、大量の腸管ガス像が観察されます。さらに炎症が後腹膜に波及すると腸腰筋陰影が不明瞭になり、歩行時に疼痛を訴えることがあります。
聴診では病初期に腸管の蠕動は亢進しますが、麻痺性イレウスへと進行すると腸雑音は聴取されなくなります。
直腸指診では、炎症がDouglas窩に波及し、ここに膿汁などが貯留する場合には、直腸指診により著明な圧痛をみることがあるので診断の一助となります。
急性腹膜炎では、腹部の激痛、腹腔内への滲出液貯留による脱水、敗血症などによってショックになりやすいです。バイタルサインをチェックしていくことはもちろんのこと、必要に応じて血液の細菌培養なども行います。
適切な治療がなされないと、肺水腫、肝不全、腎不全、循環障害、血液凝固障害、消化管出血などを併発し、MOF(多臓器不全)へと進展する場合もあります。
腹膜炎の治療
腹膜炎の治療としては、以下のようなものがあります。
治療の原則は外科的処置による感染巣の除去(消化管穿孔部の修復、壊死組織の除去)と適切な腹腔ドレナージならびに抗菌化学療法や栄養管理による保存的治療を行います。抗菌薬としては、広域スペクトラムのセフェム系抗菌薬(セフォタックスなど)の投与を行います
感染に対しては抗生物質の投与、循環血漿の減少、代謝性アシドーシス改善のため輸液、輸血が必要です。また、胃・腸管内チューブ挿入、吸引を行います。
原発性腹膜炎や病変の限局したものを除き、汎発性の続発性細菌性腹膜炎に対する非手術的治療は一般に行われません。的確な診断をつけ、可及的速やかに外科的手術により、感染源の除去とドレナージ、腹腔内洗浄を施行します。
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十二指腸癌の手術を受けていた−清水國明さん
感染に対しては抗生物質の投与、循環血漿の減少、代謝性アシドーシス改善のため輸液、輸血が必要です。また、胃・腸管内チューブ挿入、吸引を行います。
原発性腹膜炎や病変の限局したものを除き、汎発性の続発性細菌性腹膜炎に対する非手術的治療は一般に行われません。的確な診断をつけ、可及的速やかに外科的手術により、感染源の除去とドレナージ、腹腔内洗浄を施行します。
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