以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。
大手商社に就職後、体は疲れているのに1時間以上も寝付けず、寝起きも悪い感じが続いたI・Hさん(35)。会社を度々遅刻し、上司から「意思が弱い」と非難されるようになりました。
目覚まし時計を3つに増やし、なんとか頑張っていましたが、10年後、インフルエンザにかかり1週間会社を休んだのをきっかけに、その後1週間連続で遅刻してしまいます。具体的には、以下のような症状が現れていました。
「概日リズム睡眠障害」とは、生体リズム特に概日リズム(サーカディアンリズム)の障害によって、患者の睡眠パターンと社会的行動(生活)上の望ましい睡眠パターンとの間に食い違いを生じ、生活上に支障を来すことを指します。
不適切な時間帯に睡眠が起こる結果として、患者さんは著しい入眠困難(不眠)または覚醒困難(過眠)あるいはその両方を訴えます。そのため、学業や仕事に支障を来し、不登校や欠勤などの原因となります。
睡眠障害が基本疾患である睡眠異常の1つで、睡眠相後退症候群や非24時間睡眠覚醒症候群のような持続性のものと、ジェットラグ(時差症候群)や交代勤務性睡眠障害のような一過性のものが含まれています。
そもそも、概日リズムとは、約1日の周期で繰り返す生理的または行動機能のリズムのことを指します。人の場合は、体内時計(哺乳類では、視床下部視交叉上核に生物時計が局在)を持っていますが、これは24時間より長い(25時間程度)と言われ、外部からの時刻を知ることや光、社会的接触などの同調因子(time cue)によって、およそ24時間のリズムに制御されていると考えられています。
I・Hさんが朝起きられず度々遅刻してしまったのも、このような概日リズムの乱れが原因であると考えられます。
特に、体内時計と重要な繋がりのある彼の時計遺伝子に関係があると思われます。「時計遺伝子」とは、脳内の視交叉上核という部分の細胞に存在している遺伝子です。その名の通り、時間を刻む遺伝子です。
そもそも1日を24時間として時計を作ったのは人間ですが、近年の研究で時計遺伝子そのものにも24時間を計る仕組みのある事が明らかになったのです。では一体、どうやって時間を計っているのでしょうか?
時計遺伝子はまず、細胞内にタンパク質を分泌させる指令を出します。このタンパク質が言わば、砂時計の「砂」の役割。細胞内にタンパク質が一杯になるまでが約12時間。次に一杯になったタンパク質を減らす指令を出します。これが砂時計をひっくり返した状態。こうして再びタンパク質が無くなるまでが、約12時間。こうやって1日のサイクル、24時間を計り、夜や朝を感知する事で、睡眠や血圧、体温など様々なリズムを司っていると考えられています。
しかし問題は、この体内時計が、人によって異なり、誰もが24時間ぴったりではないということ。検査の結果、I・Hさんの場合は、1日の時間が何と25時間に近いと推測されました。
毎朝、7時に起きなければならないI・Hさん。彼の体内時計は、人よりも1時間長い25時間周期なので、次の日は8時まで眠りたいところです。しかし、出勤のために朝7時に起きていました。つまりおよそ1時間分の睡眠が足りず、日中でも眠気が襲っていたのです。無論、この7時起きの習慣を毎日欠かさずしばらく続けていけば、徐々に身体が慣れていくはずなのですが、I・Hさんはここで大きな落とし穴にはまってしまいます。
それは睡眠不足を一気に解消しようとした週末の寝だめ。これで朝早い生活パターンに慣れ始めていた体内時計が、大きく狂ってしまいました。そのため週明けには朝起きる事ができず、遅刻をするようになってしまったのです。
人によって微妙に異なる体内時計。それは大きく5つのタイプに分類されています。朝型傾向の人は、1日の時間が24時間よりも短く設定。そのため寝付くのも起きるのも早い時間になりがちです。
一方、夜型傾向の人は、1日の時間が24時間よりも長い時間に設定されています。そのため、そのズレが日々の寝る時間を遅くさせていくため、寝る時間も起きる時間も遅くなる傾向が強いのです。I・Hさんの場合は、1日25時間という超夜型のタイプだったのです。
概日リズム睡眠障害の治療としては、以下のようなものがあります。
大手商社に就職後、体は疲れているのに1時間以上も寝付けず、寝起きも悪い感じが続いたI・Hさん(35)。会社を度々遅刻し、上司から「意思が弱い」と非難されるようになりました。
目覚まし時計を3つに増やし、なんとか頑張っていましたが、10年後、インフルエンザにかかり1週間会社を休んだのをきっかけに、その後1週間連続で遅刻してしまいます。具体的には、以下のような症状が現れていました。
1)眠ろうとしても眠れない
2)寝起きが悪い
3)目覚ましを止めた事に気付かない
概日リズム睡眠障害
「概日リズム睡眠障害」とは、生体リズム特に概日リズム(サーカディアンリズム)の障害によって、患者の睡眠パターンと社会的行動(生活)上の望ましい睡眠パターンとの間に食い違いを生じ、生活上に支障を来すことを指します。
不適切な時間帯に睡眠が起こる結果として、患者さんは著しい入眠困難(不眠)または覚醒困難(過眠)あるいはその両方を訴えます。そのため、学業や仕事に支障を来し、不登校や欠勤などの原因となります。
睡眠障害が基本疾患である睡眠異常の1つで、睡眠相後退症候群や非24時間睡眠覚醒症候群のような持続性のものと、ジェットラグ(時差症候群)や交代勤務性睡眠障害のような一過性のものが含まれています。
そもそも、概日リズムとは、約1日の周期で繰り返す生理的または行動機能のリズムのことを指します。人の場合は、体内時計(哺乳類では、視床下部視交叉上核に生物時計が局在)を持っていますが、これは24時間より長い(25時間程度)と言われ、外部からの時刻を知ることや光、社会的接触などの同調因子(time cue)によって、およそ24時間のリズムに制御されていると考えられています。
I・Hさんが朝起きられず度々遅刻してしまったのも、このような概日リズムの乱れが原因であると考えられます。
特に、体内時計と重要な繋がりのある彼の時計遺伝子に関係があると思われます。「時計遺伝子」とは、脳内の視交叉上核という部分の細胞に存在している遺伝子です。その名の通り、時間を刻む遺伝子です。
そもそも1日を24時間として時計を作ったのは人間ですが、近年の研究で時計遺伝子そのものにも24時間を計る仕組みのある事が明らかになったのです。では一体、どうやって時間を計っているのでしょうか?
時計遺伝子はまず、細胞内にタンパク質を分泌させる指令を出します。このタンパク質が言わば、砂時計の「砂」の役割。細胞内にタンパク質が一杯になるまでが約12時間。次に一杯になったタンパク質を減らす指令を出します。これが砂時計をひっくり返した状態。こうして再びタンパク質が無くなるまでが、約12時間。こうやって1日のサイクル、24時間を計り、夜や朝を感知する事で、睡眠や血圧、体温など様々なリズムを司っていると考えられています。
しかし問題は、この体内時計が、人によって異なり、誰もが24時間ぴったりではないということ。検査の結果、I・Hさんの場合は、1日の時間が何と25時間に近いと推測されました。
毎朝、7時に起きなければならないI・Hさん。彼の体内時計は、人よりも1時間長い25時間周期なので、次の日は8時まで眠りたいところです。しかし、出勤のために朝7時に起きていました。つまりおよそ1時間分の睡眠が足りず、日中でも眠気が襲っていたのです。無論、この7時起きの習慣を毎日欠かさずしばらく続けていけば、徐々に身体が慣れていくはずなのですが、I・Hさんはここで大きな落とし穴にはまってしまいます。
それは睡眠不足を一気に解消しようとした週末の寝だめ。これで朝早い生活パターンに慣れ始めていた体内時計が、大きく狂ってしまいました。そのため週明けには朝起きる事ができず、遅刻をするようになってしまったのです。
人によって微妙に異なる体内時計。それは大きく5つのタイプに分類されています。朝型傾向の人は、1日の時間が24時間よりも短く設定。そのため寝付くのも起きるのも早い時間になりがちです。
一方、夜型傾向の人は、1日の時間が24時間よりも長い時間に設定されています。そのため、そのズレが日々の寝る時間を遅くさせていくため、寝る時間も起きる時間も遅くなる傾向が強いのです。I・Hさんの場合は、1日25時間という超夜型のタイプだったのです。
概日リズム睡眠障害の治療
概日リズム睡眠障害の治療としては、以下のようなものがあります。
専門医の治療によって、現在は症状がかなり改善したというI・Hさん。医師から処方されているのは、メラトニンという睡眠を促進するホルモン剤。服用して5時間後には眠る事ができ、その分、起きる時間も早くする事が出来るのです。
ホルモンの一種であるメラトニンは、投与時刻に応じて生体時計の位相の変化を起こす作用があり、同様に概日リズム睡眠障害の治療に用いられています。
さらに大事なのが朝の光。目から入った太陽光は、体内時計を司る視交叉上核の時計遺伝子に直接働きかけ、体内時計をリセットしてくれます。毎日欠かさず同じ時間に起きて、朝の光を浴びていれば、徐々に朝型の生活パターンへ移行させる事ができるのです。
そのため、寝る前にカーテンをあえて開けて、朝の光が室内に届くように改善しました。起きた時には、ベランダに出て日光を浴びるなどの工夫をしています。
こうした治療は、高照度光療法として行われています。2,500〜3,000luxの高照度光を1〜2時間程度浴びることは生体時計の位相を変化させる効果があるといわれています。睡眠相後退症候群の場合には早朝の時間帯に光療法を行います。
また、ビタミンB12は生体時計の光への感受性を高める効果があるとされ、概日リズム睡眠障害の治療に高照度光療法とともに用いられることが多いです。
仕事を失ってしまうことにもなりかねないだけに、治療を行うことは非常に重要であると考えられます。お心当たりのある方は、一度、精神科などを受診されてはいかがでしょうか。
【関連記事】
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冬季うつ病とは−無気力感や睡眠時間延長などの症状
ホルモンの一種であるメラトニンは、投与時刻に応じて生体時計の位相の変化を起こす作用があり、同様に概日リズム睡眠障害の治療に用いられています。
さらに大事なのが朝の光。目から入った太陽光は、体内時計を司る視交叉上核の時計遺伝子に直接働きかけ、体内時計をリセットしてくれます。毎日欠かさず同じ時間に起きて、朝の光を浴びていれば、徐々に朝型の生活パターンへ移行させる事ができるのです。
そのため、寝る前にカーテンをあえて開けて、朝の光が室内に届くように改善しました。起きた時には、ベランダに出て日光を浴びるなどの工夫をしています。
こうした治療は、高照度光療法として行われています。2,500〜3,000luxの高照度光を1〜2時間程度浴びることは生体時計の位相を変化させる効果があるといわれています。睡眠相後退症候群の場合には早朝の時間帯に光療法を行います。
また、ビタミンB12は生体時計の光への感受性を高める効果があるとされ、概日リズム睡眠障害の治療に高照度光療法とともに用いられることが多いです。
仕事を失ってしまうことにもなりかねないだけに、治療を行うことは非常に重要であると考えられます。お心当たりのある方は、一度、精神科などを受診されてはいかがでしょうか。
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冬季うつ病とは−無気力感や睡眠時間延長などの症状