忘れかけていた頭痛に襲われ、突如意識を失ってしまった仁(大沢たかお)。その数日後、目を覚ました仁は「自分がタイムスリップしてしまった時のこと」を思い返し、正体不明のあの患者についても考えるのだが…その謎は解けぬままだった。
そんな中、野風(中谷美紀)の身請けの話が決まる。野風の強い希望によって最後の診察をすることになった仁は、咲(綾瀬はるか)と共に吉原へと向かうのだが、そこには身請け先の藩医も同席していた。
仁は、診察の途中で野風の体に、ある異変を感じるが、現代に残してきた恋人・未来(中谷美紀)の身を案ずるあまり、その事実を伝えることが出来ない。
そして、仁を想う気持ちが日に日に強くなっていく咲もまた、自分に縁談の話がきている事実を仁に打ち明けられずにいた。咲は、自分の気持ちを野風に相談する。「仁先生のことを、諦められますか?」という質問を投げかける咲。
「諦められた、と言えば良いのですか?こちらは、身請けを断ることはできない。ただ、大病を患えば、この話はご破算になる。母も若くして癌でなくなっているので、私も乳癌ではないだろうか。そうなれば、と思ったりもしたけれど、仁先生の診察で、問題ない、とわれている」と言う野風。
その言葉を受けて、もう一度診察をするように仁に提言するが、仁は「乳腺症の可能性もある。乳癌だとはいえない。乳癌と確定診断するには、この時代にない機械が必要になる」と断る。
咲は「未来さんですね?未来さんのために、野風さんを見殺しにするのですか?」と問い詰める。仁は、「鬼ですよね…」と、自身の行為を省みて言った。仁はこのとき、龍馬の「咲は仁に気がある」という言葉を受けて、診療所を移そうとしていた。
そんな中、龍馬は仁に「ペニシリンにより、幕吏と取引して無用な争いを無くそう」と提案する。その取引の帰り道、龍馬は襲われる。命の危機にある龍馬を、仁は助けようとする。その歳、仁がタイムスリップしてきた林の近くである河に、崖から転げ落ちてしまう。
一人、河の中から立ち上がる仁。その傍には、龍馬の姿は無かった。
(「仁-JIN-」第10話)
一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、視触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。早期がんの発見には、マンモグラフィ検診が有効です。乳癌の死亡率を下げるには、集団検診の受診率を上げることが不可欠とされています。
しこりの訴えがある場合は、その部位を念頭において、まず問診を行います。乳房腫瘤に気づくきっかけ、疼痛、乳頭分泌、腫瘤増大の有無を聴取し、さらに、月経状況、出産・授乳歴、乳腺疾患の既往、乳癌の家族歴、ホルモン補充療法の有無を聴取することが重要です。乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫であり、これらを鑑別することが重要です。
問診の次は、視・触診を行います。腫瘤上の皮膚の陥凹(Delle)、浮腫、発赤、皮膚への癌の浸潤、潰瘍形成などが乳癌の所見としては有名ですが、これらは進行した癌でみられるようです。早期の乳癌や良性腫瘍、乳腺症などでは皮膚所見はほとんどみられません。
また、上肢を挙上したり、手を腰に当てて胸を張ったときに、乳房の一部に陥凹(slight dimple)が現れないかどうかをみておくことも必要となります。これは、Cooper(クーパー)靭帯に乳癌が浸潤し、皮膚との距離が短縮されたために起こる現象です。
乳房の触診は仰臥位で、両手を頭の後ろで手を組み、肘を張って、胸を張るようにした体位で行います。乳癌の特徴的な触診所見は、弾性がやや乏しい硬い腫瘤として触知し、表面は粗いか凸凹で、周囲の乳腺組織との境界がやや不明瞭となります。また、両側の鎖骨上窩と腋窩を触診し、リンパ節の腫脹の有無を調べることも重要です。リンパ節を触知した場合は、個数とともに、それぞれのリンパ節の大きさ、硬さ、可動性などを調べます。
ドラマ「仁-JIN-」でも、腕を上げて胸を張るような感じで触診が行われていました。ただ、こうした触診だけでは、「しこりがある」と分かっても、乳癌と確定することはできません。
乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫です。外来診察時の頻度は、乳腺専門外来か一般外来かにより大きく異なります。
3大疾患の好発年齢は、線維腺腫は20〜40歳代、乳腺症は30〜50歳代、乳癌は乳腺症よりさらに5〜10歳高いです。頻度は低いですが鑑別が必要な疾患としては、乳管内乳頭腫(血性乳頭分泌を伴う)、葉状腫瘍(急速増大する)、腺腫(乳癌との鑑別は難しい)、副乳、脂肪壊死、異物肉芽腫などがあげられます。
検査としては、超音波検査あるいはマンモグラフィーを行います。これらは、以下のような検査です。
そんな中、野風(中谷美紀)の身請けの話が決まる。野風の強い希望によって最後の診察をすることになった仁は、咲(綾瀬はるか)と共に吉原へと向かうのだが、そこには身請け先の藩医も同席していた。
仁は、診察の途中で野風の体に、ある異変を感じるが、現代に残してきた恋人・未来(中谷美紀)の身を案ずるあまり、その事実を伝えることが出来ない。
そして、仁を想う気持ちが日に日に強くなっていく咲もまた、自分に縁談の話がきている事実を仁に打ち明けられずにいた。咲は、自分の気持ちを野風に相談する。「仁先生のことを、諦められますか?」という質問を投げかける咲。
「諦められた、と言えば良いのですか?こちらは、身請けを断ることはできない。ただ、大病を患えば、この話はご破算になる。母も若くして癌でなくなっているので、私も乳癌ではないだろうか。そうなれば、と思ったりもしたけれど、仁先生の診察で、問題ない、とわれている」と言う野風。
その言葉を受けて、もう一度診察をするように仁に提言するが、仁は「乳腺症の可能性もある。乳癌だとはいえない。乳癌と確定診断するには、この時代にない機械が必要になる」と断る。
咲は「未来さんですね?未来さんのために、野風さんを見殺しにするのですか?」と問い詰める。仁は、「鬼ですよね…」と、自身の行為を省みて言った。仁はこのとき、龍馬の「咲は仁に気がある」という言葉を受けて、診療所を移そうとしていた。
そんな中、龍馬は仁に「ペニシリンにより、幕吏と取引して無用な争いを無くそう」と提案する。その取引の帰り道、龍馬は襲われる。命の危機にある龍馬を、仁は助けようとする。その歳、仁がタイムスリップしてきた林の近くである河に、崖から転げ落ちてしまう。
一人、河の中から立ち上がる仁。その傍には、龍馬の姿は無かった。
(「仁-JIN-」第10話)
乳癌の診断
一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、視触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。早期がんの発見には、マンモグラフィ検診が有効です。乳癌の死亡率を下げるには、集団検診の受診率を上げることが不可欠とされています。
しこりの訴えがある場合は、その部位を念頭において、まず問診を行います。乳房腫瘤に気づくきっかけ、疼痛、乳頭分泌、腫瘤増大の有無を聴取し、さらに、月経状況、出産・授乳歴、乳腺疾患の既往、乳癌の家族歴、ホルモン補充療法の有無を聴取することが重要です。乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫であり、これらを鑑別することが重要です。
問診の次は、視・触診を行います。腫瘤上の皮膚の陥凹(Delle)、浮腫、発赤、皮膚への癌の浸潤、潰瘍形成などが乳癌の所見としては有名ですが、これらは進行した癌でみられるようです。早期の乳癌や良性腫瘍、乳腺症などでは皮膚所見はほとんどみられません。
また、上肢を挙上したり、手を腰に当てて胸を張ったときに、乳房の一部に陥凹(slight dimple)が現れないかどうかをみておくことも必要となります。これは、Cooper(クーパー)靭帯に乳癌が浸潤し、皮膚との距離が短縮されたために起こる現象です。
乳房の触診は仰臥位で、両手を頭の後ろで手を組み、肘を張って、胸を張るようにした体位で行います。乳癌の特徴的な触診所見は、弾性がやや乏しい硬い腫瘤として触知し、表面は粗いか凸凹で、周囲の乳腺組織との境界がやや不明瞭となります。また、両側の鎖骨上窩と腋窩を触診し、リンパ節の腫脹の有無を調べることも重要です。リンパ節を触知した場合は、個数とともに、それぞれのリンパ節の大きさ、硬さ、可動性などを調べます。
ドラマ「仁-JIN-」でも、腕を上げて胸を張るような感じで触診が行われていました。ただ、こうした触診だけでは、「しこりがある」と分かっても、乳癌と確定することはできません。
乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫です。外来診察時の頻度は、乳腺専門外来か一般外来かにより大きく異なります。
3大疾患の好発年齢は、線維腺腫は20〜40歳代、乳腺症は30〜50歳代、乳癌は乳腺症よりさらに5〜10歳高いです。頻度は低いですが鑑別が必要な疾患としては、乳管内乳頭腫(血性乳頭分泌を伴う)、葉状腫瘍(急速増大する)、腺腫(乳癌との鑑別は難しい)、副乳、脂肪壊死、異物肉芽腫などがあげられます。
検査としては、超音波検査あるいはマンモグラフィーを行います。これらは、以下のような検査です。
超音波検査では、正常の乳腺は皮膚の下のエコー輝度の低い脂肪に囲まれたエコー輝度の高い均一な像として描出されます。一方、乳腺に腫瘍性病変があるとこの組織構成が崩されて、低エコーの像として描出されることが多くなります。
マンモグラフィーとは、専用のX線撮影装置を用いて乳房を強く挟んで病変前後の乳腺を排除して撮影するものです。二方向で撮影あるいは圧迫スポット撮影を行って評価します。
非触知乳癌の発見や乳房腫瘤の良悪性の鑑別、乳癌の拡がり診断に有効であるといわれています。マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像から、その腫瘤の良・悪性を診断していくことになります。
マンモグラフィーにおける乳癌の典型的な像としては、放射状陰影(spicule)を有する不整形の腫瘤陰影で、周辺の透明帯(halo)を伴わないか、伴ったとしても不均一なものです。また、形状不整の集蔟した微小石灰化像は、乳癌を疑う所見となります。
病歴情報や身体所見、超音波検査やマンモグラフィーの結果に基づき、腫瘍の存在が疑われたときには穿刺吸引細胞診へ進みます。診断は通常の細胞診と同様に細胞の異型度から、class I(正常)から class V(癌)の5段階で行われます。
とうとう、来週で最終回のようです。(続編)映画化の話もあるようであり、果たしてどのような結末が用意されているのか、非常に楽しみなところです。
【関連記事】
トリアージ、気管切開での救命活動−『仁-JIN-』第09話
マンモグラフィーとは、専用のX線撮影装置を用いて乳房を強く挟んで病変前後の乳腺を排除して撮影するものです。二方向で撮影あるいは圧迫スポット撮影を行って評価します。
非触知乳癌の発見や乳房腫瘤の良悪性の鑑別、乳癌の拡がり診断に有効であるといわれています。マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像から、その腫瘤の良・悪性を診断していくことになります。
マンモグラフィーにおける乳癌の典型的な像としては、放射状陰影(spicule)を有する不整形の腫瘤陰影で、周辺の透明帯(halo)を伴わないか、伴ったとしても不均一なものです。また、形状不整の集蔟した微小石灰化像は、乳癌を疑う所見となります。
病歴情報や身体所見、超音波検査やマンモグラフィーの結果に基づき、腫瘍の存在が疑われたときには穿刺吸引細胞診へ進みます。診断は通常の細胞診と同様に細胞の異型度から、class I(正常)から class V(癌)の5段階で行われます。
とうとう、来週で最終回のようです。(続編)映画化の話もあるようであり、果たしてどのような結末が用意されているのか、非常に楽しみなところです。
【関連記事】
トリアージ、気管切開での救命活動−『仁-JIN-』第09話